平成28年3月30日 衆議院国土交通委員会速記録(議事速報) ◇この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いい たします。 ○谷委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 民進党の小宮山泰子でございます。  民進党になりまして初めての質疑でもございます。多岐にわたっておりますが、どうぞよろしくお願いいたします。  さて、一番最初は、水循環基本法に関してでございます。  水は生命の源であり、人の生活に潤いを与え、また産業や文化の発展に重要な役割を果たしてまいりました。  一昨年七月一日に水循環基本法が施行され、同年七月十八日、水循環政策本部の第一回会合が持たれたそうです。昨年七月十日には水循環基本計画が閣議決定されております。平成二十七年度中に先行的に幾つかの流域で流域水循環協議会を立ち上げ、その後、速やかに当該流域で流域水循環計画を作成していき、それらを受けて計画の作成を全国に水平展開していくという予定が示されております。  ここでまずお伺いいたしますのは、流域水循環協議会の設置状況など、現在の取り組み状況及び今後の取り組みとスケジュール感について御説明をいただきたいと思います。 ○北村政府参考人 お答えいたします。  平成二十六年七月一日に施行されました水循環基本法につきましては、流域連携の推進、水の適正かつ有効な利用の促進、健全な水循環に関する教育の推進、国際的な連携の確保等が基本的施策として位置づけられ、各府省庁が連携して取り組んでいるところでございます。  これらの水循環施策を総合的かつ計画的に推進するため、昨年七月十日に水循環基本計画が閣議決定されました。  中でも主要な施策である流域連携の推進については、個別の流域において水環境や地下水等、水に関する課題を解決するため、関係する行政機関、事業者、団体、住民等が連携して活動する流域マネジメントに取り組むこととしています。  具体的な取り組み状況といたしましては、例えば福井県大野盆地に係る流域や千葉県印旛沼の流域において、水循環基本計画の趣旨を踏まえて、既存の協議会の改組や新たな計画策定が検討をされています。  このような取り組みを広めていくため、現在、内閣官房を中心に、協議会運営や計画策定のための手引や先進的な取り組みを集めた事例集を作成しているところです。  また、健全な水循環に関する教育の推進については、水循環基本法において、国民の間に広く健全な水循環の重要性についての理解と関心を深めるようにするため、八月一日を水の日として定めているところです。  水の日の中央行事である「水を考えるつどい」を初め、各府省庁においてさまざまな行事を開催しており、より多くの国民の皆様に参加していただくことが重要であると考えているところです。  このため、なお一層、各府省庁とも連携して、PRの方法についても工夫してまいりたいと思います。  さらに、これら政府が水循環に関して講じた施策や地域の取り組み状況については、水循環基本法に基づく最初の白書として本国会に報告する予定です。  今後とも、各方面の声や地域の実情をよく把握しながら、水循環施策のさらなる推進のための取り組みを進めてまいります。 〔委員長退席、小島委員長代理着席〕 ○小宮山委員 丁寧な御説明、ありがとうございました。  国交大臣におかれましては、さまざまな機会で接することもあるかと思いますが、なかなか水循環担当大臣としての答弁というのは少ないのかと思っております。また、所信のときにも余りこの分野に関しては話される時間もなかったのかなというふうに感じております。  八月一日は水の日でもございます。また、つい先日、三月二十二日は世界水の日であります。また、最初に触れましたけれども、水というのは全ての源になっていく、経済やそして文化など、さまざまな潤いをもたらし、発展に大変重要な要素だと思っております。  そういった中におきまして、水は公共のものであることなどを含め、今後の取り組みについて、また、この水循環基本法を通じ、水循環政策担当大臣としての御決意、また、今後の活動につきましての御見解をお聞かせいただければと思います。 ○石井国務大臣 水は人々の生活に潤いを与え、産業や文化の発展を支えているものでありまして、水のもたらす恵沢を将来にわたり享受できるよう、健全な水循環を確保することは非常に重要であると認識をしております。  水の問題は多岐にわたることから、水循環にかかわる施策の実施に当たりましては、各府省庁が一体となって、また、地域レベルでも連携体制をしっかり構築しながら進めていくことが必要です。  このため、昨年七月に閣議決定をいたしました水循環基本計画のもとで、内閣官房が中心となり、流域マネジメントの推進、水循環に関する普及啓発の促進など、さまざまな施策に取り組んでまいります。  今後とも、各方面の声を聞きながら、水循環施策の積極的な推進に努めてまいります。 ○小宮山委員 今大臣も触れられましたが、大変多岐にわたるのが、水循環基本法に携わる、この問題の難しいところかと思います。  一例で言えば、下水道、生活排水の処理であります。  これは以前より、国交大臣、また農水大臣、環境大臣、そういった連携のもとで行われています。  しかし、現実に現場に行ってみれば、各地方自治体、そういう意味では、交付金の関係がございます。総務省も入らなければ、起債の問題等、解決できないところもあります。  やはりこの点に関しましては、水循環政策担当大臣として、さまざまな省庁と連絡調整をし、そして本当の意味で豊かな国、そして自然とともにある、蛇口をひねれば水が飲めるという、技術等、水を大切にしてきた私たちの暮らしの仕方、こういったものをさらに守っていただきたいと思いますし、この政策に関しましては、さらなる推進をしていただきたいと思います。  あわせて、八月一日の水の日、華やかというわけではないですけれども、もう少し広報にも努めていただきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。こちらは要望であります。  さて、私自身、水というものに大変興味を持ったのは、もともとは、父が長年、下水道の整備を進めるということでありました。農村にいても都会にいても、同じような化学的な洗剤を使い、洗濯をし、下水道やそういった生活排水で汚れる、それをしっかり直して、自然に戻すことというのがやはり文明国家として必要であろうということで努力をしてまいりました。  私自身も、埼玉県議会議員のころに、埼玉は海はございません。しかし、そちらを正すためには、水源涵養の問題ということも大変必要で、そういう意味においては、山を守り、木をしっかりと育てるということが大変重要であるという流れの中で携わってまいりました。  そこで、私自身も、木造住宅、そういった、木を守るということが、ひいては水を守るということにつながるんだという思いで、つながった政策の延長上にいる者でもあります。  そこで、現行の伝統的構法による木造建築物についての質問をあわせてさせていただきたいと思います。  現行の建築基準法では、原則、土台の設置、つまり土台の基礎への固定などが求められており、石場建てなど古くからの伝統的構法による建築が実現しにくくなっていると伺っています。  一応は、限界耐力計算を行うことで、土台の基礎への固定という求められる仕様規定を外すことは可能となっておりますが、計算に多大な時間と経費がかかるということがあり、実用性は極めて低いというのが現状ではないでしょうか。  伝統的構法は、もともと、それぞれの地域の職人の間で長年の経験から伝承された技術により受け継がれてきたものであり、建築基準法の中に明確に位置づけられることはまた難しく、そして、現代における工学的研究としての進化は非常に難しいものがあったという背景があると考えられます。  埼玉県内の大工さん、工務店さんなどが中心となって呼びかけ、全国の木造建築の実務者が年一回集まって意見交換する、伝統的な木造軸組住宅等に係る意見交換会が数回にわたり開催が重ねられております。このような活動があり、国土交通省木造住宅振興室もかかわって、「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会が設置されたとも聞いております。  一期は平成二十年度から二年間、二期は平成二十二年度から三年間。研究者だけでなく、大工さんや工務店関係者、建築士など実務者も参加する画期的な委員会で、伝統構法にかかわる者からの期待も大変大きいものでありました。  検討委員会第一期で実施された要素技術実験の幾つかは評価書としてまとめられており、設計実務に利用できる状態にあると伺っています。  しかし、検討委員会二期については、分厚い報告書は作成されたにもかかわらず、参加した委員などにこれらは配付はされているそうですが、委員会で実施された要素技術実験のデータは評価書といった形にはまとめられておらず、実際の設計に利用できる状態にはないとの声が伝統構法にかかわる方々から聞こえてまいりました。大変費用もかけ、委託をし、データを出したにもかかわらず、実際に使えないというものであれば、もったいないという気もいたします。  そこで、伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験検討委員会の目的を確認するとともに、目的が達成されているのかどうか、この点に関しまして、国交省の評価をお伺いいたします。 〔小島委員長代理退席、委員長着席〕 ○由木政府参考人 お答えいたします。  伝統的な構法によります木造の建物につきましては、地震に対する安全性の確認のために、お話にございましたように、建築基準法により、限界耐力計算と呼ばれております精緻な構造計算が事実上要求されております。  お尋ねの委員会でございますけれども、こういった伝統的構法による木造の建物をより建てやすくするために、実験などにより性能を検証いたしまして、伝統的構法の設計方法について作成できるように検討を行うことを目的に設置をされたものでございます。  お話ございましたように、平成二十年度から二十四年度の五カ年間にわたりまして、建築物の実大振動台実験、あるいはそうした構法に用いられる材料の強度等に関する実験などが行われたところでございます。  こうした検討によりまして、実験を行いました建築物について、地震のときにどのような変形が生じるのか、あるいは伝統的な構法に用いられます部材がどの程度の強度を有するのかといったデータが蓄積されるなど、伝統的に用いることができる仕様を開発していく上で、ベースとなる知見が相当程度得られたというふうに考えております。  また、これらは、今回、告示案を二つ出しておりますけれども、そういったものも含めまして、個別の仕様の告示案の提案につながる基礎となっているというふうに考えております。  このように、伝統的構法の仕様を建築基準で位置づけることにつながっているという意味で、事業者が行いましたものに対する補助事業として所要の成果を上げたものというふうに評価をしているところでございます。 ○小宮山委員 第一期のデータは大変わかりやすい評価書という形でまとめられておりますが、第二期の方は現実的には大変使いづらい形での報告書のみとなっております。  この点に関しましては、やはり三年間にわたって同じところが受け持っているようでもございますので、実用面で使える評価書という形に落とし込んで第一期と同じように提出をするのが、やはり補助事業としては正しいあり方ではないかと私は思うところであります。  この点に関しまして、今後どのようにされるのか、現在どういう状態になっているのか、お聞かせください。 ○由木政府参考人 お答えいたします。  いわゆる第一期の平成二十年度、二十一年度の成果につきましては、報告書を作成いたしましたほかに、住宅を構成いたします各部材の構造実験の結果を評価書という形で取りまとめて、お話しいただきましたように、いずれも、事業を実施いたしました事業者のホームページで公表がなされております。  第二期の平成二十二年あるいは二十四年度の成果につきましては、報告書についてはホームページで公表がされております。ただ、一期と同じような評価書という形につきましては、もともと事業計画になかったこともございまして、作成、公表ということには至っておりません。  現在データがどうなっているかということでございますが、専門的な知識のある研究者であれば理解し活用することができるというふうに判断されます実験のデータそのものにつきましては、事業者に申し出た研究者等がインターネット上で閲覧ができるという仕組みにはなっております。  ただ、お話しいただきましたように、調査の成果を実務者を初めとして広く活用することができるようにすることは大変重要な問題であるというふうに認識しております。今後、さらに私どもの方で事業者とも調整を行った上でデータを整理して幅広く公開できるように、その手法等について検討してまいりたいというふうに考えております。 ○小宮山委員 かなり膨大なデータになっているそうですので、早急にこれは多くの方が実用可能な形にしていただくことを要望いたします。  さて、国土交通省における伝統構法の構造設計に関連した取り組みとして、平成二十六年度建築基準整備促進事業における垂れ壁つき独立柱、だぼ入れにより水平方向のみ拘束した柱脚等で構成された木造建築物の設計基準に関する検討による成果をもとに、伝統的構法の利用促進のための規定の合理化を趣旨とした建築基準法施行令改定に関して、ことしの一月に締め切りになりますパブリックコメントが行われました。同じく同様に、三月にもパブリックコメントが行われております。  この結果を受けて、二点の施行令、告示改定ともつながったと認識をしております。  そこで、「伝統的構法の設計法作成及び性能検証実験」検討委員会のメンバーと、今回の建築基準法施行令、告示改定のもととなる平成二十六年度建築基準整備促進事業の関係者は重複する委員も見受けられますが、これらの関係性について、またその意義についてお聞かせいただければと思います。 ○由木政府参考人 お答えいたします。  先ほど御紹介をいただきましたいわゆる検討委員会、五年間やりました検討委員会でございますけれども、これにつきましては、先ほど御説明いたしましたとおり、伝統的な構法の安全性を確認するために、建築物の実大振動台実験や、あるいはその材料の強度等に関する実験等を行ってまいっております。  こうした実験等によりまして、伝統的な構法の建築物について、先ほど御説明しましたような、地震のときの変形のぐあいでございますとか、あるいは部材の強度、こういったものについての知見が得られたところでございます。  御紹介いただきました今般の建築基準法の施行令の改正及び告示案につきましては、こうした伝統構法で用いられます基礎と柱との接合方法、それから床の仕様のうちで、こうした実験の成果を活用しつつ、安全性が確認をできたものについて規定をしようとしているものでございます。  この具体の二つの方法についての安全性の確認につきましては、想定をいたします具体の仕様ごとにさらに詳細な実験や解析が必要であったことから、別途、学識経験者から成る委員会を設置して検討していただいたところでございます。  当初の五年間の委員会の委員長と重複をしているかどうかという点でございますけれども、後で設置をいたしました委員会の委員長及び委員、九名いらっしゃいますけれども、そのうちの七名がさきの五年間の検討委員会のメンバーと重複をしているところでございます。  そうした意味でも、十分この成果が受け継がれる形での検討がなされているものというふうに認識をいたしております。 ○小宮山委員 ぜひ、よき部分というものには引き続きかかわっていただければと思っております。  そこで、実務者がかかわっていない研究者だけによる改定では実用性の薄いものしか提示されないのではないかという危惧もよく聞くところであります。今回のわずかなというんでしょうか、資料の厚みからすると、二点だけという仕様の提示となる告示改定を実用的なものと考えているのか、この点に関して所見を伺いたいと思います。  あわせて、施行令、告示改定のパブリックコメントの結果について、その内容、及びいかに対応していくのか、今後の予定についても御説明いただければと思います。 ○由木政府参考人 お答えいたします。  ちょっと細かい話になりまして恐縮でございますけれども、今回、二点の内容、すなわち、だぼ継ぎ等による水平方向のみに結束をいたしました柱と、それから、木板というふうに言っておりますが、いわゆる板張りの床でございます、これについて告示案で仕様提示をさせていただいているところでございます。これはいずれも伝統的な構法で、かねてより用いられている仕様でございます。  こうした仕様について、構造安全性につきまして、実験や解析を行うことにより、その安全性が確認できましたので、この仕様を基準として位置づけるという告示案の今意見募集を行ったというところでございます。  これまでは、冒頭申し上げましたように、こうした仕様を用いるためには、建築確認の際に限界耐力計算という非常に精緻な構造計算をして検証する必要がございましたけれども、これが告示化された暁には、今申し上げました二点につきましては、そうした精緻な計算、検証を経ることなく採用できることになりますので、十分実用にたえ得るものというふうに考えているところでございます。  また、この施行令案それから告示案につきましては、それぞれパブリックコメントを行っております。  特に、まず一つ目の、いわゆる柱とそれから基礎との緊結の部分でございますけれども、これにつきましては、告示案で示された仕様だけでなくて、もっと多様な仕様を認めてほしいという御意見があった一方で、告示案で提示された仕様のままでは、地震時は非常に挙動が複雑でございますので、もう少し安全確保上の余裕を持たせる必要があるのではないかといったような意見もいただきました。  それから、板張りの床の方でございます。これにつきましては、特に構造安全にかかわるような御意見はございませんでしたけれども、これまでも一般的に運用で認められてきました構造用の合板が使えるのかどうかといった確認を求めるような意見が寄せられております。 現在、こういったいただいた意見も踏まえた上で、最終的に告示案に関しまして検討を行っているところでございます。できる限り速やかに成案を得て、告示をつくってまいりたいというふうに考えております。 ○小宮山委員 今回も、実務者の方々からは、伝統的構法の発展性が期待できるという声もあるのは事実であります。しかし、この改定はごく一部で、限定的な内容について扱われておりまして、伝統構法を網羅するものではないと私は認識をしております。  今後も、ほかの内容について検討が継続されるのか否か。より積極的に取り組んでいくには、研究者だけではなく実務者も加えた、場合によっては新たな委員会を設置し直すことも必要かと考えます。国交省の見解をお聞かせください。 ○由木政府参考人 お答え申し上げます。  五年間続けてまいりました検討委員会によります実大振動台実験の結果等、たくさんの実験等を踏まえまして、地震時の挙動等に関するデータはかなり蓄積をされております。伝統的な構法に関しまして一般的に用いることができる仕様を開発していく上でベースとなる知見は一定程度得られたものというふうに考えております。  今回、この知見を踏まえた上で、二点について告示案を提案いたしましたが、お話しいただいたような、さらにほかの部分についても伝統的な構法の仕様がございますので、そういった点についても個別の実験や検証の検討を続けて、できるものから告示化を進めていくということに取り組んでまいりたいというふうに考えております。  その検討に当たりましての体制でございますが、例えば実験データや解析データの分析を行う際には、当然、関連分野の研究者の方の御意見を聞くということが必要になってまいると思っております。また、現場での施工方法を踏まえて、具体的な仕様を設定する場合には、実務者の方から御意見を伺うということが必要だと思っております。  それぞれ、検討の内容に応じて、適切に検討体制を構築して、検討が進められるように努めてまいりたいというふうに考えております。 ○小宮山委員 建築現場においては、時間と手間をかけて本当によい建築物、居住して満足感のある建築物をつくろうと職人と施主が努力をしております。しかし、時間と費用で大きな負担も伴う限界耐力計算が必要となるなど、一軒ごとに違う伝統的構法を活用した建築に係る手続は大変高いハードルとなるのが現状であって、これを改善していくことも、建築物にかかわる行政の役割ではないでしょうか。  日本の文化、風土の中で育まれた建築技術が、西洋文化の普及とともに例外規定として建築が可能になっていることにも私自身は違和感を感じているところであります。  そこで、湿度などさまざまな点においては、伝統構法というのはやはり日本の風土に合った建築物であるということで、昨年も建築物省エネ法の際に質疑をさせていただきましたけれども、この点に関しまして、引き続きお聞かせいただければと思います。  昨年十二月十八日、社会資本整備審議会建築分科会第十四回建築環境部会において、外皮基準の適用を除外できる住宅の判断に関するガイドライン案が示されております。  国交省の全国共通のガイドライン作成の進捗状況はいかがでしょうか。あわせまして、指針作成を行わない地域における、ほかの自治体などで作成された指針の活用はどのような基準で選択するのか。例えば都道府県内でいくのか、距離でいくのか、気候風土にするのか、この点に関しましての御見解を御説明いただければと思います。 ○由木政府参考人 お答え申し上げます。  現在、三百平米を超えます新築住宅につきましては、省エネ基準への適合の有無など、届け出をしていただくことになっております。  しかしながら、お話しいただきました、いわゆる伝統的な木造の住宅につきましては、土塗り壁や縁側などの大きな開口部を有するという特徴もございますので、一般的に、高い断熱性を確保するということが非常に難しい面がございます。  このため、こうした住宅につきましては、所管の行政庁、建築担当部局でございますが、ここが地域の気候及び風土に応じた住まいづくりの観点から適切というふうに認定をいたしました場合には、こうした基準のうち、外皮、いわゆる壁とか屋根とかの基準でございます、こういった基準は適用除外にできる。また、一次エネルギー使用量に関する基準についても緩和ができるという緩和規定を置いているところでございます。  この認定を地方公共団体でございます所管行政庁が円滑に行っていただけるように、有識者の御意見も伺った上でガイドラインを策定いたしておりまして、明日にも公表できる運びでございます。  所管行政庁はこのガイドラインを参考に認定を行っていただくということになりますが、地域固有の構法の場合には、それぞれの地域独自の認定指針を別途おつくりいただくということも当然できることにいたしております。そうしたガイドラインに基づく認定、それから地域独自に策定をいたしました認定指針に基づく認定、いずれでも、公共団体の判断でやっていただければと思います。  その際に、御指摘をいただいた、他の地域でつくった指針を参考に認定をするということ、これは当然あり得るというふうに思っております。例えば気候が似た地域でございますとか、あるいは同一の文化圏を歴史的に持っているような地域であれば、建築の構法についても同一の構法がとられているというケースがございますので、そういった場合には、認定に当たって、あくまで特定行政庁の判断ではございますけれども、他の地域でつくられた指針を参考に認定を行うということは当然あり得るものというふうに考えております。  そのため、国としては、やはり各自治体がきちんとした判断が下せるように、各地域でどんな認定指針がつくられているのかといったことや、あるいは具体にどんな認定が行われているのかといった情報について、できるだけ幅広く、公共団体の皆さんや、あるいは実務者の方に対しても周知を行うことが大切だというふうに思っておりますので、そうした円滑な認定が行われるような環境整備に努めてまいりたいというふうに考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  この法案でのキーとなるのは、高断熱、高気密を基本としているということであり、部屋全体、家全体を暖める、あるいは冷却するなどして室温を均一にしようとするような建築物省エネ法であります。  例えば、こたつのある生活などで、室温を均一にしないままの住まい方というのは、エコではありますけれども、建築物省エネ法では評価されるものではありません。ヒートショックの予防といったような、健康に害を及ぼしかねないことについては十分配慮されることは必要だと思いますが、こたつを活用するライフスタイル、夏季における密閉された室内で起きる熱中症などの防止、高気密、高断熱とともに、開放型の建築に関しても丁寧な対応が必要だと考えております。  法は、大規模の非住宅建築物からの規制であって、小規模の住宅については二〇二〇年に向けての検討にとどまっており、国土交通省からも、その部分への規制は難しいと以前の審議においても伺っております。これは、前の太田大臣のときの質疑だと思います。  改めて大臣に、戸建て住宅などへの省エネ基準に対する現在の国交省の考え方を確認させていただきたいと思います。 ○石井国務大臣 日本再興戦略におきましては、規制の必要性や程度、バランス等を十分に勘案しながら、二〇二〇年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネ基準への適合を義務化する方針が閣議決定をされているところであります。  住宅の省エネ基準適合義務化については、慎重な検討が必要と考えておりまして、基準への適合状況の推移を見ながら、規制による費用負担と効果のバランス、規制の必要性に対する国民の理解、建築主などの申請側と審査側の体制整備の状況などを総合的に勘案しながら検討を進めていきたいと考えております。 ○小宮山委員 建築基準法、省エネ基準などを優先したために、伝統的な構法の町並みが少しずつ変化していくのではないかと心配しております。  それは、伝統構法が例外規定のため、王道の、基準法を学んで常識としている、設計や建築許可をおろす側からは遠い存在となりつつあると感じているからです。  私の地元も、古い、小江戸川越といって、江戸時代の風情を残した町並みが整っております。この中にも新しい建築物ができるたびに、何となく軒が合っているようですけれども、現代の建築であるというのが明らかにわかる、そんな建築物がちらほら見え始めてしまっています。  古きよき景観や構法を次世代へ引き継ぐことへの配慮について、国交大臣の御所見をお聞かせください。 ○石井国務大臣 構造安全性の確保及び省エネの推進を図りつつ、町の景観に配慮した伝統的な構法を継承するという課題に対応するためには、まず第一点には、伝統的な構法の特性を踏まえ、省エネ性能を適切に評価すること、二点目には、伝統的な構法を用いた上で、構造安全性の確保や省エネの推進を図ることができる技術を開発すること、三点目には、景観上もすぐれた伝統的な住まいを継承することの三つに取り組むことが必要と考えております。  まず一点目の省エネ性能の評価につきましては、土塗り壁などを用いた伝統的な構法の住宅には、高い断熱性能を確保する上で難しい面がございますので、所管行政庁が地域の気候及び風土に応じた住まいづくりの観点から適切と認定した住宅に対し、省エネ基準を一部緩和できることとしております。この認定を円滑に行うためのガイドラインを策定し、あすにも公表する予定であります。  二点目の技術開発につきましては、構造安全性について実験や解析により性能が確認された仕様について、建築基準法上、一般に用いることができる構法として位置づけ、伝統的な構法が使われやすい環境を整備しているところであります。  省エネ性能につきましては、伝統的な構法を用いた上で一定の性能を確保した住宅を整備する先導的な取り組みに対する新たな補助事業の創設を平成二十八年度予算に盛り込んでいるところであります。  三点目の、景観上もすぐれた伝統的な住まいの継承については、関係省庁と連携してPRのための冊子「和の住まいのすすめ」を取りまとめ、各地域でシンポジウムを展開する等、日本の住まいの知恵や美しさの普及を図っているところであります。  これらの施策により、町の景観にも配慮した伝統的な構法の継承に取り組んでまいります。 ○小宮山委員 省エネ基準に関しては、仮に設計基準に適合しない建物であっても、実際の一次消費エネルギー量は基準値を下回る事例が多くあることは昨年の委員会でも紹介させていただきましたし、本年二月十六日に議員会館内で開催されたJIAの建築士などからの報告会でも紹介されております。  ぜひとも、長年、それぞれの町の歴史やその土地土地の風土を育んできた、そして、景観が損なわれることにつながってしまうことのないように配慮しつつ取り組んでいただきますよう御要望いたします。  さて、最後に、時間がなくなってきて駆け足になってまいりますが、日本の観光戦略についてお伺いさせていただきます。  訪日旅行の内容の質にも視点を向けた戦略的プロモーションに取り組んでいくべきと考えておりますけれども、この点に関しまして、観光庁の取り組みと見解についてぜひお伺いをしたいと思います。よろしくお願いします。 ○田村政府参考人 お答えいたします。  観光庁といたしましては、質の高い観光立国を目指すことは非常に重要であって、そのために戦略的な訪日プロモーションを行っていくということが必要であるというふうに考えております。  このため、従来のように訪日数の増加を目指すだけではなくて、訪日外国人旅行者の長期滞在あるいは消費拡大、こういうことを促進し、質の高い旅行サービスを実現していくために、政府を挙げて諸施策を講ずることとしております。  特に、訪日プロモーションにつきましては、欧州や米国、オーストラリア、こういったところ、あるいは富裕層などをターゲットにすることによりまして新しい市場を開拓してまいります。  観光庁といたしましては、データ分析に基づいた戦略的訪日プロモーションを実施するとともに、関係省庁と連携し、政府一丸となって質の高い観光立国の実現を目指して積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ぜひデータ分析を通じてというところは支援をしたいと思います。  実は先週末、三月二十六日、私の地元小江戸川越におきまして春祭りの開会式が行われました。  同日の午後ですけれども、一番街商店街振興会におきまして、二升五合市、ますます繁盛とは二升五合と書いていますけれども、これの取り組みの中で「小江戸川越 江戸の日」というイベントが行われました。これは、地元の皆さんが江戸の町並みを楽しむのに対し、迎え入れる側もやはり江戸時代の扮装、中にはかつらでちょんまげの方がいたり日本髪の方がいたり、途中で捕り物とか人情話の時代劇が突然町の角で行われる、時の鐘のそばの角には人相書きで立て札が上がっていたりと、大変おもしろい、実験的な挑戦を地元の若い人を中心に行われたと聞いております。私自身も着物を着てこの中に入り、多くの方とさまざまなお話もさせていただき、こういったソフトの面で 観光というのは大変重要だなということ、そして、これにおける可能性というものを多く感じたものであります。  しかし、実際、いろいろ日本文化というものを多くの海外の方も楽しむ、そして日本人も楽しむということではありますが、残念ながら、今、日本の伝統文化というものにどれだけ日本人が精通をし、理解をし、そして自分のものとしているのか疑問に思うところもあります。簡易宿泊所の新しい形態であれば、映画に出てくるような富士山の絵が描かれたふすま絵があったりと非常に派手派手しいものであって、日本人の考えるというか、日本の本来の伝統文化にはないような色彩とか絵柄、そういった室内装飾のものが随所にあり、これが日本であると思われてもいけないし、海外の方にはたまに、いまだに、おいらんが町中にいるのではないか、忍者はどこかにいるのかというよ うなことを言われるということも聞いたこともございます。そして、それを迎える側においてもなかなか伝統というものを理解していない。結局のところ、日本の本来、携われてきた伝統というものが提供できないという、資源を失っているのではないかという心配をしております。  そこで、最後になるかと思いますけれども、日本の伝統文化、日本らしさの継承について、観光振興の面から大臣の基本的認識をぜひお伺いさせてください。 ○石井国務大臣 本日、委員会出席、若干遅参をいたしましたが、きょう午後、官邸におきまして明日の日本を支える観光ビジョン構想会議が開催をされまして、新たな観光ビジョンが取りまとめられたところでございます。この観光ビジョンにおきましては、観光資源の魅力向上、観光産業の革新、快適な旅行環境の実現の三つの視点から、さまざまな施策を取りまとめております。  今御指摘がありました日本の伝統文化につきましては、我が国の魅力を世界に伝える上で重要な観光資源でありまして、外国人旅行者にとって、我が国への訪問を動機づけるものとなると思っております。そして、伝統文化は、鑑賞する人にその歴史や意義もあわせて理解してもらうことにより、一層魅力が高まるものと考えております。  このため、国土交通省におきましては、外国人旅行者が我が国の文化財やお祭り等の伝統文化を正しく理解でき、旅の満足度を高められるように、地域の観光資源の掘り起こし、磨き上げ、魅力の発信、また、文化庁と協力して、ソフト、ハード両面ありますが、文化財の本来の価値、魅力をわかりやすく外国人旅行者に伝えるための英語解説の改善充実等に取り組んでまいりました。  今後、我が国の伝統文化を観光資源としてさらに積極的に活用するため、伝統文化を活用した観光拠点の整備や、わかりやすい多言語解説の充実等を推進することとしております。  国土交通省といたしましては、関係省庁と連携をして、これらの取り組みを推進し、我が国に継承されている伝統文化を用いた質の高い観光立国の実現を目指してまいります。 ○小宮山委員 質の高い伝統文化を含めた文化の提供というもののために、まず日本人がその文化を理解しなければいけないなと感じております。  それは、例えば、着物のレンタルをして町歩きをするのが随分あちらこちら、はやってはおります。しかし、真冬に浴衣を着て出させたりという会社もあるようで、また、それを見て何も感じない日本人もいるということもあります。また、国会においても、開会日に着物を着られますが、御自身で着物が着られる議員がどれだけいるんでしょうか。  やはりさまざまなところで日本文化というものが失われている。そのよさ、そして気候風土から育った文化というのを日本人自身が大切にしなければいけないと思います。  本日予定していた質疑、文化戦略についてはまた今後引き続き質疑させていただきますので、よろしくお願いします。  ありがとうございました。