平成28年3月11日 衆議院内閣委員会速記録(議事速報) ◇この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いい たします。 ○西村委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 民主党の小宮山泰子でございます。  久しぶりに内閣委員会で質問させていただきます。  また、本日、委員会冒頭にも、東日本大震災から五年目を迎え、黙祷していただいたこと、そして私自身も、本当に被災後に入らせていただき、多くの犠牲があり、その方々の御冥福と、そしてお見舞いを改めて申し上げ、国会としても、議員としても、一人の日本人としても、多くの方々がさらに生活を再建されることを心から願っております。  いまだ十七万四千人からの避難者が出ておりますし、また県外に五万人から非難をされている。  福島からは、子供の将来を考え、また健康を願い、いまだに母子避難など、さまざまな困難の中、暮らしがなされております。少しでもその皆さんに私たちも寄り添いたいというふうに思っております。  さて、質問に入らせていただきますが、三月八日、国際女性デーでありました。二十世紀初頭のアメリカでの運動が起源と言われますが、国連で、一九七五年、国際婦人年に最初の国際女性デーが実施され、一九七七年、国連総会にて、三月八日をインターナショナル・ウィメンズ・デー、国際女性デーとして決議されました。  三月七日の日には、女性差別撤廃条約の実施状況を審査する国連の女性差別撤廃委員会より最終見解も示されました。  最終見解の中で、日本に対しての勧告として、前回、二〇〇九年の勧告以降の取り組みを認めるものの、夫婦別姓や再婚禁止期間など含めて、過去の勧告への対応がいまだ不十分であると指摘もされました。  国内の取り組みや事実と異なる誤った認識も見受けられる部分もありますならば、しっかりと意見を表明していくのも必要ではないかと思っております。また、言うまでもございませんが、逆に、条約批准国として、なお不断の取り組みを重ねていくことも怠ってはならないと考えております。  そこで、前回の内閣委員会で法案質疑の際、選択議定書が未締結となっていることに関して、当時の有村大臣に御所見を求めました。有村大臣からは、外務省の所管であり、外務省を初め関係省庁との連絡でどのように進められるかということに私も傾注したいという答弁でございました。  私は、女性の活躍について所管する大臣が置かれ、また内閣委員会において質疑、答弁の機会がある中で、ほかの大臣、ほかの省庁がやっているから注視するというのは、何か他人事に聞こえてなりませんでした。そして、違和感を感じたものです。女性の活躍を所管される大臣として、もっと積極的に率先していただきたいと当時考えておりました。  そこで、改めて、女性活躍担当大臣の任にある加藤大臣より、選択議定書が不採択であることについての御見解、御所見をお尋ねしたいと思います。 ○加藤国務大臣 御指摘の女子差別撤廃条約の選択議定書は、条約に定める権利の侵害に関する個人通報制度を主として規定しているというふうに認識をしております。  昨年十二月に閣議決定いたしました第四次男女共同参画基本計画において、「早期締結について真剣に検討を進める。」というふうにされているところでございます。  今委員のお話にもありました、所管は外務省ということでありますが、を中心に、さまざまな課題、例えば日本の裁判所の判決と委員会の見解、これは法的拘束力はないわけでありますが、その辺をどうするのか、あるいはこうした通報への対応の仕組みをどうするのか等々、さまざまな課題があるというふうに承知をしておりまして、今、各方面の意見を踏まえながら検討中ということでございます。  共同参画計画にも「真剣に検討を進める。」と書いてありますので、その検討状況、我々の立場としては注視するということでありますけれども、よくそれを、しっかり検討が進んでいくように促していきたいと思います。 ○小宮山委員 選択議定書の中身を考えますと、やはりまだまだ検討は必要なのかもしれません。  これを、ほかの大臣やその省庁だからといって逃げることなく、正面からしっかりと取り組んでいただきたいと思います。  さて、女性の性商品化や労働力など、人身売買、人身取引について、昨今、日本人も被害に遭っているという記事が多く見られるようになりました。  この問題について伺いたいんですが、実は官房長官の答弁をいただくところでもございます。お戻りになってからしたいと思います。ちょっと順番を、先に進めさせていただきたいと思います。  三月八日、国際婦人デーということもあり、国会、院内においてもクオータ制度推進の会合が複数開催されました。  前日である三月七日に最終見解を公表した国連女性差別撤廃委員会においても、日本の国会議員など主導的な立場における女性議員の少なさについて批判的意見も出されております。  議員に占める女性の比率が高い、言いかえれば男女比率がより半々に近い国においてしばしば見受けられる方法に、いわゆるクオータ制の導入が挙げられます。私もIPUの国際会議等に行ったときに、ほかの国の女性議員から、何で日本はこんなに少ないんだ、早く制度を入れたらいいのではないかということを勧められた経験がございます。  議員になる女性がふえることがイコール女性の活躍をあらわすものと端的に捉えることはできませんが、今の現状は、多様な意見を反映させるには不十分だと言わざるを得ません。  そこで、国会、都道府県議会、市町村議会や首長など、選挙によって選出される議員、首長における男女比率について、並びに、一部に導入を求める声も上がっているクオータ制に対し、また女性の立候補者数がそもそも少ない、そのような社会の現実、背景についてどのように考えているのか、またこの改善に関し、女性活躍担当大臣の御所見がありましたら、お聞かせください。 ○加藤国務大臣 我が国の政治分野における女性の参画状況は、今委員の御指摘もありました、国際的な比較をしても、下院、一院制における女性議員比率は、平成二十七年十二月、九・五%、百九十カ国中百五十四位ということでありまして、日本における女性活躍の総合的な指標を下げている大きな要因の一つであるというふうにも認識をしております。  そうした国会議員、女性議員の女性候補者が少ない理由としては、出産、育児と政治活動との両立がなかなか難しい、伝統的な男女の役割分担に係る意識、あるいはロールモデルがなかなか多くないということで、そうしたものが不足している、こういったことがあるんだというふうに思います。  政治分野における女性の参画拡大は非常に大事なポイントだというふうに思っておりますし、先ほど申し上げた第四次男女共同参画基本計画においても、衆議院議員及び参議院議員の候補者に占める女性の割合を平成三十二年までに三〇%とする目標を、政府が政党に働きかける際に示す努力目標とするというふうにも定めております。  これに基づいて、政府としては、各政党に対して、行動計画の策定、情報開示等に向けた自主的な取り組み、あるいは両立支援体制の整備等、女性議員が活躍しやすい環境の整備、こういったことについて積極的に働きかけをしていきたいというふうに思っております。  今、政治のクオータ制度のお話がございました。  クオータ制度については、もう議員御承知のとおり、大きく、法令によって、性別による議席を割り当て、政党に候補者の一定割合の代表比率を割り当てる、そういうやり方のものと、法令によるものではなく、政党がいわば自主的に党規約等によって候補者の男女比率を定めるなどのやり方があるというふうに承知をしております。  男女共同参画会議においては、法令によるクオータ制度の義務化については、憲法の平等原則との関係において慎重に検討すべきじゃないかとされているわけでありますけれども、先ほどの第四次男女共同参画基本計画に基づいて、各政党には、候補者の一定比率を女性に割り当てるクオータ制も含め、自主的なポジティブアクションを導入するということに向けての検討を要請していきたい、こういうふうに思っております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  クオータ制など、そういった多様な価値観というものが議会に入ること、そして社会というものが成り立っていくことを私たち議員や議会がしっかりと受けとめられる、そういった議論をしなければならないんだと思っております。  そして、つけ加えるならば、女性が議会等に参画ができないその背景には、本日一番最初の質疑に立たれました阿部委員の方からもありましたが、やはり経済的な格差、選挙にかけたり、そういった費用が出せない。また、社会的になかなか、発言をする、決定権を女性に持たせるのはまだ厳しい。また、女性自身も決定権を持つということにちゅうちょがある。それをするといろいろなことが言われます。  私も、二十年前の県議会時代のときには随分と言われたものであります。当時は自民党で県議会でしたけれども、朝から本当に余り品のよくないお話が飛び交っている中に、六十四名いた中で一人だけ女性でございました。本当につらい経験もいたしました。  こういったものを一つ一つ取り除き、男性であれ女性であれLGBTであれ、一人一人の個性を認められるような、そんな豊かな日本にしていただくために、不断の努力をまた大臣には続けていただきたいと思います。  さて、本題にまた戻りますけれども、女性の性商品化、人身売買、人身取引について質問させていただきます。  米国の人身売買報告書では、日本について厳しい指摘を続けております。二〇一五年七月二十七日公表の報告書においても「日本は、強制労働および性的搾取の人身取引の被害者である男女、および性的搾取の人身取引の被害者である児童が送られる国であり、被害者の供給・通過国である。」との記述があります。報告書では、日本人女性の人身売買被害者についても「日本人、特に、家出した十代の少女や外国人と日本人の間に生まれて日本国籍を取得した児童もまた、性的搾取の人身取引の被害にさらされる。「援助交際」という現象や、さまざまな形態の「JK(女子高生)ビジネス」が、日本人児童の買春を依然として助長している。」など、指摘がされています。  女性の問題は人権の問題につながります。女性が尊厳を持ち、家庭や職業を持ち働ける社会は、障害や病気、宗教、人種、LGBTなど、それぞれの存在を社会が認め合える差別のない社会に重なっていくと考えております。年間二千万人を超える訪日観光客、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックが開催される日本のグローバルスタンダードに適した環境を整えなくてはなりません。  そこで、人身売買、人身取引の事犯の現状についてお聞かせください。 ○種谷政府参考人 お答えいたします。  警察が人身取引事犯として計上しておりますのは、いわゆる人身取引議定書に定義されているところの、売春等の性的搾取等の目的で、暴力、詐欺等の手段を用いて人を獲得、輸送する等の行為を行った事犯でございます。  この定義に当てはめますと、平成二十七年の警察における人身取引事犯の検挙は、売春防止法違反、入国管理法違反など四十四件、四十二人で、前年と比較いたしまして十二件、九人の増加となっております。また、警察が保護や支援をした人身取引の被害者は四十九人でありまして、前年と比較して二十五人増加しているところでございます。  特徴といたしましては、日本人女性が出会い系サイトを悪用した売春を強要されたり、外国人女性がホステスとして稼働を強要されるなどの事案が目立っているほか、児童が被害に遭うケースも見受けられ、依然として憂慮すべき状況にあります。  このため、警察としては、引き続き、関係機関、団体との連携を図りながら、人身取引事犯の的確な把握及び取り締まり、被害者の保護や支援に努めてまいる所存でございます。 ○小宮山委員 今報告された人数ですけれども、世界のデータなどを見ると、実際に検挙される率というのは本当は一部しかない、氷山の一角であるというふうに言われております。NGOの調査によります。  また、私も、この件に関しまして警察庁の方から本当にじっくりヒアリングもさせていただきました。残念ながら、まだ現在ある法律でしか人身取引などを捕まえることができない、そういう中でなるべくさまざまな形をとって努力していることは認めますが、この点の法整備等も必要なのではないかとヒアリングをしながら感じたものでもございます。  また、人身取引の支援をされているNGOや弁護士さんなどのさまざまな記述を見ても、日本においても人身取引の取り締まりがもっとできて、人権が守られる、救われる方をふやせる、そういった法制度の必要性も求められております。  そこで、こういった事件、そして被害者をなくすことは大変重要だと思っております。女性活躍担当大臣並びに国家公安委員長より、この件につきまして御所見をお聞かせください。 ○加藤国務大臣 今委員のお話がありましたように、人身取引の被害者の多くが女性であり、女性の活躍を考えていく上でもこれにしっかりと取り組んでいかなければならないというふうに思っております。  第四次男女共同参画基本計画においても、女性に対するあらゆる暴力の根絶に関する分野の一つの項目として人身取引対策の推進を位置づけ、防止、撲滅そして被害者支援などをしっかり進めていくということにしております。  また、内閣府では、女性に対する暴力をなくす視点で、人身取引に関する国民の意識啓発にしっかりと努めて、引き続き努めていきたい、こう思っております。 ○河野国務大臣 人身取引は、被害者の心身に著しい苦痛をもたらす重大な人権侵害でございます。  昨年度、検挙人員、検挙件数あるいは被害者数、いずれも増加しているということを重く受けとめて、徹底した取り締まりと、支援団体、関係団体と幅広く連携をした被害者の保護、支援といったことを積極的にできるよう、警察を指導してまいりたいと思います。 ○小宮山委員 また、こういった問題の中においては、やはり表現の自由と児童ポルノの問題、こういったものも入っております。次々と新手の手法も見られます。例えばJKビジネス問題が指摘される中、クールジャパン戦略担当大臣の所見をお願いいたします。  なかなか日本が、かわいいという言葉はあるかもしれませんが、その中で、結局、性的に見るような、それは女児も男児もそうです、そういった被害者を出さないためにも、こういった部分からもしっかりと見守らなきゃいけないと思います。  この点に関して、クールジャパン担当大臣の所見をお願いいたします。 ○島尻国務大臣 御指摘の問題に関しましては、違法なコンテンツを扱えないというのは当然でございます。  ただ一方、委員の御指摘にもございましたけれども、漫画やアニメなどのコンテンツ産業というものは表現にかかわる問題でございまして、表現の自由とのバランス、あるいは社会通念上許される範囲を考慮する必要があるというふうに思っております。  ある企業は、販売する商品の選定に当たりまして、業界の倫理基準よりも厳格なガイドラインを策定し、適切に社内審査を通ったもののみ取り扱っている、そういう企業もあるというふうに聞いております。  いずれにいたしましても、私としては、多くの外国人にクールだ、クールジャパンについてはいろいろな御意見もあるということは承知しておりますけれども、そう受け取っていただけるような我が国の魅力を発信する、そして日本に好意的なイメージを持つ外国人をふやすように、また努力していきたいと考えています。 ○小宮山委員 大手ゲームメーカーが、アメリカだったと思いますけれども、そのコンテンツが人種差別だったりさまざまな問題に係る、日本では問題がなかったものでも、海外に行くとその地域の方々の心証を傷つけるというようなことで、全ての販売をそのときやめて、修正をしたというふうに聞いております。  日本で確かに育ったかわいいやクールジャパンの感覚というものが世界に合わない、そして、日本に来たときに、いまだに車内づりやさまざまなところで女性の裸の姿とかいったものが大量に掲示されている、こういったことも世界じゅうではなかなかあり得るものではございません。  そういったことも含めて、本当にマナーのいいというんでしょうか、どの国の方が見てもクール、格好いい、すてきだと思えるような、そんな政策、またしっかりとその点の基準も含めて担当大臣には御検討いただき、そして日本が本当の意味で世界からいかがわしく見られないような、そういったコンテンツをつくることにもぜひ努力をしていただきたいと思います。ありがとうございます。  そこで、この人身売買、人身取引は、さまざまな分野に重なってまいります。先ほど河野公安委員長からも、関係省庁と努力するとありましたけれども、本当に、通報する、相談ができる電話番号など、さまざまな番号が各省庁にございます。  窓口は政府としてもさまざまつくってはいるけれども、なかなかそこに必ずしもアクセスができない。  特に、場合によっては、日本でドラッグ漬けにされて働かされていたり、また、家出をしてきた人が優しく受け入れられて、そこで人身取引に出されて、でも、この人はいいからといって逃げ出さない、さまざまな状況が現実には起こっているそうです。また、監禁をされ、逃げ出そうともできない、逃げ出すことも諦めてしまっているような、そんな状況に置かれた方々をしっかりと救える、そのための取り組みというものは、本当に政府として全力を挙げていただきたいと思います。  そして、特に、女性に関しては、シェルターやDV、さまざまなところで支援の方策が、都道府県においてもさまざま努力をされていますが、例えば外国人男性の被害者、語学ができない、労働力として入れられた方々に関しては、まだ、シェルターなども含めて、避難をする、身柄をちゃんと安全に確保するというんでしょうか、できる場所というのも大変少ないと聞いております。  このための日本でのさまざまな支援体制、そしてこの人身売買、人身取引を撲滅するために政府として今後どのように取り組んでいくのか、その決意をお聞かせいただければと思います。 〔委員長退席、平委員長代理着席〕 ○菅国務大臣 委員からいろいろ御指摘をいただきましたけれども、まさに人身取引は重大な人権侵害であるとともに深刻な国際問題であって、その対策については、政府の重要課題の一つとして取り組んでいるところであります。  今日まででありますけれども、政府は、平成十六年に関係省庁の局長による連絡会議を開催して、人身取引対策行動計画を取りまとめてまいりました。それに基づいて行ってきたわけでありますけれども、平成二十六年の十二月に、局長級から閣僚級に上げまして、人身取引対策行動計画二〇一四をまず関係閣僚会議で決定して、その後に、関係閣僚で構成する人身取引対策推進会議を開催いたしました。  そして、毎年この年度報告というものを求めておりまして、ここの関係閣僚の推進会議の中で、各省庁から、その一年間の取り締まりの実績だとかあるいは問題点、そうしたものを提出していただいて、全体として、やはり必要であれば、これは省庁横断的なものが非常に必要でありますので、そこはしっかり対応するような形にさせていただいております。しっかり対応していきます。 ○小宮山委員 しっかり対応していただきたいと思います。  島尻大臣、ありがとうございました。  さて、障害者差別解消支援地域協議会の設置について、続いて質疑をさせていただきたいと思います。  障害者の期待を背負って、来月、四月から施行される障害者差別解消法について、その実施体制に関して質問をいたします。  解消法で禁止する障害者差別の問題、合理的配慮について紛争が生じた場合、解消法独自の紛争解決の仕組みをつくらず、既存の相談機関等を使うこととなっており、この点について、当事者の方々、関係の方々から不安が上がっていると聞いております。  今までは、差別であると思った件について相談しても、たらい回しになったり、相談自体を諦めたりすることが多かったそうです。  この問題を補うための一つの方策として、障害者差別解消支援地域協議会を設置できるような法体制になっておりますが、全国の自治体における設置に向けての動きが低調との報道もございました。  そこで、障害者差別解消支援地域協議会が、現時点で、どの程度、何カ所ぐらいの自治体によって設置される見込みがあるのか、伺います。また、今後、設置推進のための予算措置や取り組み状況などについてもお聞かせください。 ○武川(光)政府参考人 お答えいたします。  来月施行される障害者差別解消法におきましては、地域の実情に応じた差別の解消のための取り組みを主体的に行うネットワークとして、障害者差別解消支援地域協議会を組織できる旨を記してございます。  お尋ねの、現在の設置に向けた取り組みでございますが、地方公共団体におきまして、現在、都道府県と政令指定都市について調べておりまして、その八割以上が設置に向けて具体的に取り組んでいるという状況にございます。  また、内閣府といたしましては、これの設置をさらに進めるために、これまでも、地域協議会の在り方検討会やあるいはモデル事業をやったり、地方にアドバイザーを派遣したりしておりましたけれども、来年度におきましては、十分な予算を確保するとともに、年度当初に前倒ししてこれらを派遣して、実効性が上がるようにしっかり取り組んでまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 また引き続き質問しますけれども、最終的には、障害者差別解消に対しては、やはりそれぞれ症状も違います、対応の仕方というのも大変専門性というものを求められてくるんだと思います。  そのようなときに、ADR、裁判外紛争解決手続や消費者被害救済委員会のような仕組みも必要ではないかという意見もございます。この点に関しましてどのような考えをお持ちなのか、お聞かせください。 ○加藤国務大臣 委員御承知のように、障害者差別解消法第十四条において、国及び地方公共団体は、障害者等からの相談に的確に応じ、紛争の防止または解決を図ることができるよう必要な体制整備を図ることとされております。  これについては、行政肥大化防止等の観点から、必ずしも新たな機関を設置するということではなくて、既存の機関等の活用、充実を図っていきたいと思います。  ただ、そこにおいて担当する職員の方が、しっかり障害ということを認識して、適切な対応をしていかなきゃならないわけでありまして、法の趣旨及び対応要領の徹底、障害のある方から話を伺う機会を設けるなど各種の研修をいたしまして、それぞれ対応する職員の方の障害に関する理解の促進を図っていきたい、また障害に知見のある方を相談窓口に配置するというようなことをしていきたいと思っております。  それから、今お話しありました地域協議会でありますけれども、障害者の状況を適切に踏まえ、関係機関の連携による差別解消に向けた取り組みの中の中核として期待をされるわけでありますが、地方公共団体の中には、地域協議会にあっせん機能を設け、さらに、あっせんによっても事案解決が困難な場合には、審議の結果、知事に勧告を要請できるとする紛争解決の機能を設ける事例も検討がされているということでございます。  私どもとしては、そうしたそれぞれの地域の状況を広く共有することによって、まずは地域協議会の設置、そして機能の充実をしっかり図っていきたい、こう思っております。 ○小宮山委員 現在、議員立法でございますけれども、成年後見人制度の利用促進に関する法律を準備しております。この中でも、やはり今現実に障害をお持ちの方で利用している方々が、なかなか不備がある点を指摘もされています。そして、自分たちの意思というものがある、それを確認する、海外ではもうこれをするのは当たり前になっているにもかかわらず、日本はそういった法体系になっていない、そんなことも見かけます。  ぜひ、共生社会の担当大臣といたしまして、こういう障害をお持ちの方々、難病をお持ちの方も、もしこの法案が通りましたら、内閣府の方に協議会が設置されます、しっかりと、必ずそういった当事者の方が入り、どの方にも使いやすい制度になるように御配慮いただければと思います。うなずいていただいておりますので、通告はしておりませんが、もし何かあれば。 ○加藤国務大臣 まさに、また後で御質問もあるかもしれませんけれども、対応指針をつくるときにおいても、そういった障害の団体の方々からもお話を聞きながら進めさせていただきました。  やはり実態に即応した形で対応していくことが大事なことだというふうに思っておりますので、よくそうした皆さん方の声をしっかり聞きながら対応させていただきたいと思います。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  さて、解消法が施行されますと、多くの方にもっと周知をしなければならない。特に、民間の方々については、やはりもっと知っていただきたいという思いがございます。  その取り組み状況をまず簡潔にお聞かせいただき、引き続いて、また、民間事業者に解消法の周知を進める必要も恐らく実施をされてから出てくるんだと推測されます。具体的に、他省庁との協力をしながら周知活動を行う予定はあるのか、障害者団体を交えて引き続きさまざまな事業者に対する周知活動を行うべきか、大臣にもお伺いしたいと思います。 ○加藤国務大臣 今御指摘がありますように、施行を円滑に進めていくためにも、民間事業者の方々に周知をし啓発を図っていくということが大変重要だというふうに思います。先ほどちょっと申し上げましたが、対応指針においても、そうした障害者団体のみならず事業者団体の方からも話を聞きながら、そうした機運も盛り上げさせていただきました。  また、事業を所管する各府省において、各事業者団体等を通じて各事業者に周知を行っていく、事業者向けの説明会を開催しておりますし、また内閣府においても、障害者差別の解消に向けたフォーラム、これを今年度でいえば十回開催させていただき、またリーフレット、ポスター等さまざまな手段を通じて事業者への周知を図っていきたいというふうに思います。  御指摘がありますように、法の施行というのは、ゴールではなくて、むしろそれからスタートするということであります。施行後も、法の趣旨が事業者はもとより国民一般の皆さん方にもしっかりと浸透していくよう、障害者団体を初め関係者の意見も状況状況でよく聞きながら、政府全体でしっかりと周知啓発に取り組んでいきたいと思います。  まさに、障害のある方も活躍できる社会、それが一億総活躍社会ということですから、その実現に向けてしっかり取り組みをさせていただきたいと思います。 ○小宮山委員 私がなぜこの質問をするかといいますと、昨年、国会を包囲した、政府提出の安全保障法制に対して抗議をする十万人近くの方が来られました。  その中で、私自身も、見守り隊の国会議員有志の一人として現場にいさせていただいたときに、たまたまなんでしょうけれども、若い警察官が、知的障害を持つと思われる女性に、ここをどけとどなりつけて威嚇をしているところに居合わせました。それを受けて、彼女は逆に、動けなくなるほど萎縮をしていました。その結果、本当に動けなくなり、さらにどなられるという悪循環を招いておりましたが、たまたま数十分前に私は彼女に別のところで話しかけていたということもあって、両方に声をかけて、少し安全な場所に移動してもらったんです。  でも、そのときに、彼女がいなくなった後に、実は私、この若い警察官に、こういうときにどなりつけたら余計萎縮するから配慮してほしいと頼んだんですが、頼んだら、かえって私自身がにらみつけられた。職務に物すごく忠実に行われていたんでしょうけれども、私も、これが警察官で、障害者のことを理解していないんじゃないか、接したことがないんじゃないかという非常に悲しい思いもしておりました。  また、現場には、多くの高齢者や視覚障害者の方も来られておりました。そして、気分の悪くなった高齢者が市民団体の用意した救護所に行こうとするのを、柵を乗り越えるなと言って阻む姿。  また、三十代ぐらいでしょうか、女性の方が、気分が悪くなったと言って付き添いの方と救護所に行った。ほどなく回復をされたようであります。  まず、そこの救護所に行かせるための押し問答も相当長くいたしまして、私も支援をさせていただいたんですが、それがわかっていた、これもまたそこそこ若い警察官がそれを見て、すぐ治ったじゃないかと言って、私の脇を通るときにわざと聞こえるように話していく。  後で、治療した方に私もその女性のことを聞きました。急激に気分が悪くなる、でも水を飲んだり少し安心すれば治るものであります、女性によくある症状だというふうな説明を受け、納得いたしました。  こういった女性特有の体調の変化など、そういった高齢者のこと、特にこのときは夏の暑い、まだ残暑厳しい時期であり、救護所はつくれましたけれども、給水所の方は残念ながらたしか置けなかったり、そんなような場所、また、土地柄もそうですけれども、トイレなども数が少ない中での出来事でありました。  私は、その若い警察官の、少しリーダー格というんでしょうか、その場を仕切っている方に、ぜひ、障害を持っている方、高齢者やそういった女性には配慮してほしいということは依頼をしたんですけれども、そういった声があの中でしっかりと、これは警察発表の三万人のエリアの中でありますので、そういったことがちゃんと委員長の方には届いているんでしょうか。非常に疑問に思いました。ぜひ合理的配慮を。  また、経験のない、接したことがない方にはなかなか理解できない、また外から見たら難病の方などは本当にわかりづらい、そういった方々に、やはり私たちの生活やさまざまな安全を守っているまずは警察官の方は、行動指針など、この問題に関しては出されているはずです。それについて、実は質問通告はしておりませんけれども、河野国家公安委員長、ぜひ取り組みについてお聞かせいただけないでしょうか。 ○河野国務大臣 そうした状況について警察がどのような取り組みをしているか、しっかり確認をしてまいりたいと思います。 ○小宮山委員 あわせて見ますと、このときには常総市の台風の被害があっておりましたので、見守りの弁護団の方がある警察官とお話ししたら、午前中はそちらの応援に行って、疲れたところ、また国会に投入をされた。さらには、何度行っても、何十台と、バスというんでしょうか、警察の青いバス型の車両が出ておりまして、ずっとエンジンを吹かし続けていたのですね。これに関しては、正直、いる方々も気持ち悪くなられるんですけれども、職務としてその前に立っていらっしゃる警察官の方たちも、本当に労災じゃないかと思うような状況でありました。  これについては、私たちからも改善要求のペーパーを実は警視庁の方に何人かでお持ちいたしましたけれども、そういったところもぜひちょっと見守っていただきたい。  先進国で、国民が自由な表現をし、そして発議をすること。つい先日も、保育園落ちたの私だと言って立たれた。そういった国民の声ができる、先進国としては当たり前の国でいていただきたいと思います。ぜひ、国家公安委員長になられました、この点に関しても、自由な表現ができる、そういう国でいられるように努力を続けていただくことを要望いたします。  さて、時間がもうなくなってまいりましたので、特定秘密の保護に関しまして御質問を続けていきたいと思います。  その前に、前提条件となりますが、公文書管理のあり方について現在どのようなことが検討されているのか。やはり公のものであります。  前回の質疑のときに、古本委員の方からも質疑がありました。アメリカの公文書館では残っているけれども、日本はいまだに密約の問題は、まだこれを了承しているものではないと。当時、私自身も外務委員会の筆頭理事をしておりまして、非常に当事者の方からもお話を聞いたり、国会での参考人も来ていただきました。そういう意味においては、公文書管理について、そしてそれの情報公開に関しては、日本はまだまだ整備が進んでいないと感じております。  この点につきまして、資料類の公開のルールについても検討の対象とするのかどうかも含めて、河野大臣、お考えをお聞かせください。 ○河野国務大臣 公文書というのは、民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、国民が主体的に利用し得るものであるという法にうたわれた精神をしっかり体現してやってまいりたいと思います。  今、法律の五年後の見直しを含めた検討をやっておりますので、しっかりとそうした法の精神に基づいたものになるようにやってまいります。 ○小宮山委員 特定秘密保護法に関する資料、そういったものに関してはいかがでしょうか。 ○河野国務大臣 特定秘密に指定されているものは、公文書館には移管をされません。特定秘密が解除された後に移管をされたものは、同様に行政文書として公開に供していきたいと思います。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  指定されたものは移管されないということでありますので、この点に関しては担当大臣に引き続き伺ってまいりたいと思います。  時間でございますので、河野大臣におきましては、どうぞ退席を。  さて、特定秘密保護法施行後、昨年十二月で一年が経過いたしました。この中で、昨年暮れには、憲法上の会計検査院の役割の重要性が認識され、従来どおり、すなわち検査院から資料提供の要請があった際には、特定秘密にされる情報においても提供をするということが内閣官房から通知が出されています。  二十七年度中の特定秘密指定件数は、その中で新規指定分は六十一件の純増となっております。  今後も指定件数は増加の一途をたどるのではないか、その点に関して、大臣の御見解をお聞かせください。 ○岩城国務大臣 お話がありましたとおり、平成二十七年末時点における特定秘密の指定件数は十一行政機関で計四百四十三件であり、二十六年末時点と比べまして六十一件増加しております。二十六年末から二十七年末までの間に指定の解除はなかったため、新規指定分がそのまま増加したものであります。  今後の特定秘密の指定件数の動向につきましては、現時点で確定的なことは言えませんが、指定件数が増加することもあり得るものと考えられます。  いずれにいたしましても、政府といたしましては、今後とも、特定秘密保護法の適正な運用を積み重ねていく中で、常にその改善に努め、特定秘密の取り扱いの客観性と透明性の一層の向上を図ってまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 現在は、指定解除や公開により後の検証が行えずに、公文書管理期間の関係でも廃棄も可能だというふうに捉えることができます。  また、今大臣からの答弁がございましたが、年月がたてば、秘密にされる件数は当然増加をしていくんだろうと推測されます。  情報公開に向けて、米国などと同様に日本も、特定秘密に関する公文書は保管、指定の解除の後にしっかり公開ができるように管理制度を整備するべきだと考えております。このために法整備なども改めてしなければならない。先ほどの河野大臣の答弁からもですが、通常のものと違い、やはり公開されない期間が長くなる場合、それぞれによって違う、その中で、公文書としての保存期間が過ぎるものもあり得ると思います。後世が、この情報は特定秘密にしっかりと資するものであるとしっかり認められるような、そんな対応も必要かと思います。  そのために法整備をするべきと考えるのか、そのために努力をされる決意があるのか、大臣の所見をお聞かせください。 ○岩城国務大臣 先ほど河野大臣からも答弁がありましたとおり、特定秘密である情報を記録する文書も、特定秘密保護法の運用基準にも明記されておりますが、公文書管理法の適用を受けます。  したがいまして、保存期間が満了した文書は、歴史資料として重要な公文書に該当する場合には国立公文書館等に移管され、該当しない場合も、廃棄する際は内閣総理大臣の同意を得ることが求められます。  その際、我が国の歴史を後世に伝える上で歴史資料として重要な公文書を確実に国立公文書館等へ移管するため、国立公文書館の専門職員の専門的技術的助言を活用することとしております。  また、特定秘密保護法及び運用基準では、指定の有効期間が通じて三十年を超えた特定秘密である情報を記録する文書を含む行政文書ファイル等は、保存期間満了後、全て国立公文書館等に移管するものとされております。  このように、公文書管理法と特定秘密保護法に基づきまして、特定秘密である情報を記録する文書も歴史的な検証に資するよう適切に管理されることになると考えます。特定秘密の記載された文書についても、公文書管理法等により他の文書と同様の管理が行われるものでありまして、現時点で何らかの法的措置が必要だとは認識はしておりません。 〔平委員長代理退席、委員長着席〕 ○小宮山委員 指定された方が歴史的文書なのかを決めるというのではなく、これは後世の方が歴史的な文書かどうかを判断してもらえばいいんだと思います。その点は大きく私とは見解が異なります。引き続きこの点に関しましては議論させていただきたいと思います。  ありがとうございました。