平成27年6月16日 衆議院国土交通委員会速記録(議事速報) ◇この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○今村委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 民主党の小宮山泰子でございます。  本日は、独立行政法人に係る改革を推進するための国土交通省関係法律の整備に関する法律案を審議させていただきます。  まず最初に、この審議のあり方について、見解を伺っていきたいと思います。  今回、平成二十五年十二月二十四日、独立行政法人改革等に関する基本的な方針、閣議決定を受け、今国会は、同閣議決定に基づいた独立行政法人関連の法律案が、それぞれ所管官庁のもと、準備され提出をされております。  厚生労働省からは内容的に本来五本の法律を一括提出、農林水産省からは三本または四本の法案を一括提出、文科省からも関係法案が提出されております。そして、国土交通省からは、今回の法律とともに、既に成立している二法改正の中にも含まれておりました。  今回の法案は、内容的には三本もしくは四本の法律とすべき改正が一括して提出されております。  一般論として、ある法律改正がほかの法改正と深く関係しているということであれば、それらの法律の審議も一括して行うことは問題ないとは考えてはおります。  しかし、直接の内容が関係性に乏しく、唯一、独立行政法人改革等に関する基本的な方針を閣議決定したからということだけで一括して取り扱うというのは、唯一の立法府である、またそこに所属する国会議員として、また立法府の権限を軽んじられているような気持ちになっております。  見かけ上、法律の本数を減らすことによって、トータルでの審議時間を減らし、言葉は悪いかもしれませんが、十把一からげにするというのは、現内閣の国会軽視、議論軽視の姿勢があらわれているのではないかと思わざるを得ませんし、断ぜざるを得ないと思います。  太田大臣においては、いつも丁寧な御答弁をいただいており、敬意を持ちながら質疑に立たせてもいただいております。  立法府たる国会は、国権の最高機関であり、唯一の立法機関、行政府から提出されている法案の丁寧な対応と議論が何よりも重要だと考えております。 関 係性の低いものを一括の法律とすることへの大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。 ○太田国務大臣 この独法一括法案は、専ら、平成二十五年十二月の閣議決定にてうたわれました国土交通省所管の独立行政法人に関する事項のみを一括して取りまとめたものでございます。  この法案の趣旨は、国土交通省の各独立行政法人の政策実施機能の強化を図ることにあります。  委員の皆様には、その趣旨も踏まえて御審議いただきますよう、私の立場からは、よろしくお願いします、このように申し上げたいと思います。 ○小宮山委員 そういったことがあるから、きょうの質疑になっているんだと思いますけれども。  十把一からげ的な法案提出というものは、安倍内閣の特徴とも言えると思います。本案を初めとした、改めて繰り返しますけれども、農協関連の法案なども全く別の法案を一括していますし、特に安全保障法制においてはさらに顕著にあらわれています。十本もの法律を一括して審議対象とされておりますし、そのうち三本は、法律名や目的自体も新法で改正されるということであります。  私ども、この国会にいる者は、一本一本さまざまな法律が社会に大きな影響をする、だからこそ、憲政の中では丁寧に審議を重ねてきたと考えております。その経緯を考えましても、ほかの法律で目的や法律名まで変わってしまうという法律の扱いというのは、やはり国会軽視と見るのが適当ではないかと思います。  先日、特別委員会で参考人として意見陳述いただいた三人の憲法学者の先生方がそろって憲法違反と明言されたことは、国会でのさまざまな意見、参考人としての発言というもの、また、集団的自衛権あるいは自衛権について、どのように理解する立場の者であったとしても、しっかりとその意見、国会で述べられた意見というのは重く受けとめなければならないんだとも考えております。  安全保障法制での十把一からげ方式のように、一つの法案で複数の法律について、題名、目的規定等の改正が行われた事例がほかにあるか調べてみました。見つけられた唯一の例は、昨年の通常国会での、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案だけでした。  改めて、安倍政権また安倍首相の国会軽視というもの、そして、そういう意味においては、法律一本ずつに対する国会議員の立法府の者としての思い入れと、また、その法律が社会に及ぼす影響というものを、本当に余りにも軽く捉えているのではないかということを指摘させていただきたいと思います。  さて、今回の法案の中身の方に移らせていただきます。独立行政法人都市再生機構について質問を始めさせていただきます。  この都市再生機構は、機構誕生に至る経緯から、国の住宅政策における重要な役割を担っている存在として事業を行っております。  低所得者世帯、高齢者世帯など、政策上配慮の必要な世帯の住まいの確保という、まさに住宅セーフティーネットとしての機能もあります。本来あるべき住宅政策を考えれば、諸外国の例に見られるような住宅補助の制度をしっかりと整えることを基本として、住宅セーフティーネットをつくり上げていくことが望ましいとの議論もございます。  省エネ性能のよい快適な住宅がさらに大きな意味を持ってまいります。中古住宅流通の活性化の原動力ともなります。また、住宅の性能や詳細な中身について情報が不足した中、わずか二十年ほどで上物の価値が査定上なくなってしまうという、日本固有の中古流通の前提という状況もございます。  これが、諸外国で当たり前のように、手を加えた中古住宅ではむしろ価値が高まり快適性も高まるといった状況への大転換ができるかもしれないと考えるところでもあります。  これまで何度かの質問の中では、いわゆるグリーンインフラの推進についても議論をさせていただきました。緑の防波堤とか緑のダムといったものは、年数がたつほどに効能が高まるという効果もあります。  また、各先生方も、小学生や、さまざまな形で、国会見学などの手続でかかわられることもあるかと思いますが、国会見学のルートの最後に都道府県の木がございますけれども、これは戦後植栽され、手を加えて、今の姿になります。こうやって手を加えていくことで価値が高まっていく、これも住宅のあり方というものに通じるのではないかと考えています。  住宅政策というところから少し話がそれましたけれども、都市再生機構、URがこれまで国の住宅政策の足らざるところを補う役割を担ってきた、担わされてきたということは、重要な事実だと思います。  今回の改正案において、団地の統廃合等のためのUR賃貸住宅の近接地建てかえを行えることとしています。従来が、同じ場所か、隣接地への建てかえの実施は、建てかえ中の移住先確保の問題や隣接地の確保の問題、複数回引っ越しを必要とする問題など、大変進めるには難しい問題がございました。また、移転する際には居住者自身の同意が必要としつつ、一回の引っ越しで済むことなど、検討しやすくなること、検討が必要かとも考えているところでもあります。  しかし、建てかえによる収益性を向上させるということがこの建てかえの本質的な目的でもあり、高齢者世帯などが多くなっている現在の居住者の間で、心配の声が上がっております。  建てかえにより新しい建物、より快適な住宅となることで、新たな入居者が入り、空き家率が低下して収益がふえるのは、同じ場所で同じ広さ、同じ家賃であったなら、考えやすいことだと思います。  今回想定される近接地建てかえでは、郊外の団地を統廃合して、より駅に近いなど、土地としての利便性の高いところへの建てかえを基本的に想定していることから、同じ広さ等であれば必然的に賃料を高くせざるを得ないと聞いております。  こうした心配の声に対し、平成二十七年度予算の中で、参議院での審議で、大臣からは、高齢者世帯や子育て世帯など配慮を要する世帯への家賃減額措置の拡充を、国の補助を入れて、これまで最大二万円から最大三・五万円に拡大することが盛り込まれた、また、今後十年間はこの措置を維持し、その後については、都市再生機構の取り組みとして、同様の減額措置となるよう検討することと答弁されております。  また、民主党の旧公団居住安定化推進議員連盟でも、大臣に対し要請活動を重ねさせていただきました。この要請文の中では、適切な措置を講ずべき点として、家賃負担に対し実効性のある配慮、住宅のバリアフリー化を進め、良好な居住環境の維持、そして、居住者が安心して住み続けられるよう居住者の理解、協力のもとに進めること、地方公共団体との十分な協議というような点にも触れさせていただきました。  UR賃貸住宅について、住宅セーフティーネットの機能が果たせるよう、家賃負担に対して実効性のある配慮を行うこと、並びに、賃貸住宅のバリアフリー化推進を含めて良好な居住環境の維持に努めることについて、大臣の御見解をお聞かせください。 ○太田国務大臣 UR団地については、居住者の高齢化が年々進んで、また、人口減少ということがそのまま、UR団地といってもいろいろな場所にあることによって相当違うんですけれども、そうした人口減少というのがかなり影響を与えてきているということがありまして、常に住宅セーフティーネットの役割というものを意識した対応というものをしていかなくてはいけないと私は思っています。  先ほども申し上げたんですけれども、URの賃貸住宅につきまして、私は、居住者が安心して住み続けられること、UR団地は地域の貴重な財産として地域全体の安心に貢献すること、改革の名のもとに居住者を追い出すことは絶対あってはならないという信念を持っておりまして、随時の改革という名のもとで大変不安に思っている方がこの十数年大勢いたというのをそばで見て、私はそれなりの努力をしてきたつもりです。そうしたことから、本当に安心して住み続けられることということを基軸にして、URの制度とか機構全体の改革というようなことというのは、これは行革の観点で直すべきことは直していかなくちゃいけないんですが、それと、長い間住んでくださっている方にとってはそれほど関係ある問題ではありません。常に住んでいる方の側に立って物を考え、そして、いい環境、いい環境ということは、昨今では、UR団地の中に医療や介護ということも含めて、そして、この環境が、それぞれ、木が植わっているとか、あるいは耐震化が施 されているとかバリアフリーとか、さまざまなものが配慮されていて初めて住み続けられる、安心して住み続けられるということだと私は思っています。  家賃のことについても常に大変御心配をいただいてきましたが、そういう意味で、所得の低い高齢者や子育て世帯等が建てかえ後の新しい住宅に入居してから十年間は、家賃を最大二万円引き下げてきたわけでありますけれども、これを今年度から最大三万五千円に拡大し、期間についても、十一年目以降も家賃の引き下げを継続するということとさせていただきました。  これからも居住者が安心して住み続けられるUR団地ということを最大肝に銘じて行政を行っていかなくてはならない、このように思っております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  やはり、高度成長期に多くの方が都会を支え、そして日本の経済発展というものをつくり上げられた。当然、三十年、四十年たてば、当時働き盛りの方々のリタイアする年代に入ることは当初からわかっていたわけですから、そういう意味においては、日本の過去をしっかりと見詰め、そして未来につなげていくためにも、御支援のほどお願いいたします。  また、大臣の言葉の中にたびたびございますけれども、UR団地はやはり地域の貴重な財産であると。私自身も同じ思いでございます。しかし、財産であるといったときに、それは空間といった物理的なものとか建物とかだけではなく、日々、日常の中で団地内で育まれたコミュニティーというものも含めて財産であると私は思います。  団地建てかえや団地集約に際しては、いかにコミュニティーを損なうことのないように進められるかというものがポイントになるかと思います。この点についての御見解をお聞かせください。 〔委員長退席、大西(英)委員長代理着席〕 ○橋本政府参考人 今回の近接地建てかえ制度につきましては、老朽化が進んで空き家が多くなっている郊外の団地について、居住者の皆様の同意が得られることを前提として、より利便性の高いところに移転をしていただくというものでございます。  現行制度の建てかえでは、委員御指摘のとおり、居住者がばらばらに引っ越す必要があるため、コミュニティーが損なわれるおそれがございます。  今回の近接地建てかえでは、まとめて利便性の高いところに移転をしていただくことになりますので、コミュニティーの維持にも有効だというふうに考えております。  加えて、大臣から答弁もございましたけれども、引っ越し後の家賃がふえないように措置をすることで、できる限り全ての方々にコミュニティーの中に残っていただくことが期待をされるという意味でも、近接地建てかえ制度は有効だというふうに考えております。  今後とも、UR団地におけるコミュニティーを大切にしながら、高齢者世帯から若い世帯まで幅広い世帯が安心して住み続けられる住まいの提供に努めてまいる所存でございます。 ○小宮山委員 最後の方、局長、何か小さくなってしまって、はっきり、コミュニティーを守ると言っていただきたいなと。守りますね、ありがとうございます。  今、大臣の方からも、月額最大三・五万円の家賃減額を十年間は国の責任で行い、その後はURで独自に取り組むという発言もあったかと思います。十一年目以降も最大三万五千円の減額制度を機構でつくるとの答弁の後、これは参議院のときの答弁にもありますので、機構内で何らかの議論や検討がなされているのか、伺わせていただきたいと思います。  あわせて、最大三・五万円の値引きの約束だけ見えつつも、値引き前の値段である賃料はそれとは関係なく上げますよということが行われてしまった場合、基礎の部分が変わってしまうわけですから、大変負担になりかねないのではないかという心配もございます。  この点に関しまして、やはり当然十年以降になれば、今お住まいの方、特に年金世代においては、年々どうしても手取り等下がっていっているのも現実でもあります。こういったところを考えると、ついの住みかとなっているはずの公団住宅、URの賃貸住宅というところから十一年以降に追い出されるようなことがないように、また自分から出ていかなければならないようなことがないように、しっかりと、日々コミュニティーをつくりながら、そして助け合いながら暮らしていらっしゃる居住者の方に対し、どのようなことがされるのか、どうやって国の方としてURとともにこの点は守っていかれるのか。  あわせて二点、お聞かせください。 ○内海参考人 お答えいたします。  四月十六日の答弁を受けてURで検討を行い、所得の低い高齢者や子育て世帯などの方々を対象とした家賃減額について、十一年目以降もURの負担により減額を行い、引き続き従前の支払い家賃のまま住み続けられるようにすることといたしました。  URとしましては、事業を進めるに当たっては、居住者の居住の安定を確保するため、今後とも丁寧できめ細かい対応を心がけてまいりたいと思います。  また、建てかえ後住宅の家賃が上がった場合はどうするのかという御質問がございました。  今回の減額措置の適用を受ける所得の低い高齢者や子育て世帯などの方々につきましては、居住の安定を確保する観点から、建てかえ後住宅の市場家賃が上がった場合でも引き続き御入居時の家賃で住み続けることができるよう措置することとしております。  なお、UR法第三十二条において、建てかえに当たり、従前居住者の居住の安定を確保するため必要あるときは、家賃を減額することができることとされております。 ○小宮山委員 しっかりと家賃減額、そして、ついの住みかとしてまた多くの方々がURの賃貸住宅で住むこと、これによってコミュニティーが栄える、そういった方向に対し、これからも努力していただけるようにお願いいたします。  さて、URの場合はさまざまな機能を持っているかと思います。被災地においてのまちづくり、日本の中においてこれだけのまちづくりなどをできる組織というのはなかなかございません。さまざまな復興再生の法案の中においても、URを対象とする法律は随分とつくらせていただきました。  都市再生機構では、ルネッサンス計画という計画名のもとで、取り壊し予定の決まっていた賃貸住宅の建物を活用し、五階建てから三階建てに減築したり、大胆に内外の意匠性などに手を入れたり間取りの変更をしたりといった実験研究の取り組みも行ってきたと伺っております。  平成十九年から二十二年にかけて行われた事業では、減築、改築に当たっての工法の開発や費用面での研究など、実施、検証、技術開発の取り組みも行われたと説明を受けました。  今後の住宅建設全般に対しての新たなノウハウとして生かせるよう報告書としてまとめられたことからも、都市再生機構が国の住宅政策の重要な担い手であることをよくあらわしていると思います。  以前、海外の事例ではありますけれども、高層ビルを廃止し低層ビルへ転換させ、町のにぎわいを取り戻したというような事例も取り上げたことがございます。まちづくりやエリア開発、収益性が目立つ事業にばかり走るのではなく、日本の住宅政策に、マンションや老朽化高層建物等の減築やリノベーション、さまざまなことがこれから町の中では求められてくると思っております。  そして、今回の実験というのが、URが直接使うかはわかりませんけれども、そういったときに、町の活性化、そして安全、低エネルギーな町という意味においても活用されることを望んでおります。  そういった意味においては、これから老朽化、管渠もそうですけれども、建物、さまざまなところが建てかえや、さまざまな事例が出てくるかと思います。新しいまちづくりも含めて、機構の果たすべき役割というものは多岐にわたっているんだと考えております。  URについての、機構への大臣の評価をお伺いしたいと思います。 ○太田国務大臣 東北の復興ということで、小宮山先生おっしゃったように、URの技術陣が大きな役割を果たしてきたということは事実ですし、また、まちづくりという観点でも、特に東京近郊の例えば柏の豊四季台団地等では、そこに、私の言葉で言えば、医職住という形での新しい団地形成ということが行われて、医というのはお医者さんの医で、衣ではありません。お医者さんの医と、職というのは、六十代、七十代にも仕事がその中で必ず見つけられるということの、あっせんやさまざまなものが行われるという意味での職という、雇用ということだと思います。  新しい医職住というもののモデルというような、まちづくりの、あるいは団地の新しいモデルというものを形成するということ、それらが行われてきましたし、技術的には、新工法という意味では、昔から、昭和三十年ごろからは、ここでは余りそういう言葉を覚えている方は少ないかもしれませんが、文化住宅なんて公営住宅は言った時期がありましたが、ダイニングキッチンとかいう言葉が初めてだとか、それからステンレス流し台なんということが言われたり、新しい工法、今高齢社会ですから、その中でヒートショックとかそういうことが大変な問題になっていますから、省エネとか蓄エネとかゼロエネ住宅というような、あるいは屋上の緑化とか、節水型の便器一つとりまして も、そういうものとか、取りかえやすく腐食しにくい給水管の開発とかいろいろなことについて、URは、まちづくりにおきましても、また建築物ということの中でも、また、中身を、過ごしやすいという上でも、ぜひとも技術開発をもっと進めていただいて、この住宅政策の牽引役を果たしていただければということを私は思っております。 ○小宮山委員 きょうは独法改革ということでありますので、三種類の方向性がありまして、全くURから違う、独法の話でございます。 海上技術安全研究所、港湾空港技術研究所及び電子航法研究所の統合について次は質問させていただきます。  本当に、余りにも分野が違うので、これでいいのかなと、改めてちょっと疑問を呈しながらではありますが、まずもって、六月三日、那覇空港で、空自ヘリと民間航空機二機がかかわる重大インシデントが発生いたしました。また、過日の四月十四日には、広島空港で、国際線旅客機が、濃霧による視界不良の中、計器着陸装置の設置されていない東側から通常より低い高度で滑走路に近づき、滑走路手前のアンテナに接触するなどして着陸に失敗し、滑走路を逸脱する事故が生じました。  本法案で統合される電子航法研究所は、航空機の離着陸や管制業務に関しての研究等も行っております。重大インシデントや事故の発生を回避するための仕組みづくりへの研究は大変重要であり、強力に継続、推進されるべき業務であります。航空機の安全運航確保、この研究に対していかに取り組んでいくのか、お伺いします。 ○西村(明)副大臣 今、小宮山委員御指摘いただきましたように、四月十四日に発生した広島空港での事故に続きまして、六月の三日には那覇空港において重大インシデントが発生したところでございます。  こういった事故、インシデントを未然に防いで、そして航空機の安全運航を確保するということは大変重要であるというふうに認識いたしております。  今後も航空交通量の増大が予想される中でございますので、より高頻度、高精度な航空機の管制レーダーなどの次世代機器の開発、そして管制官やパイロットなどによるヒューマンエラーを低減するための研究など、安全性向上のための研究開発はより一層重要になるというふうに考えております。  電子航法研究所は、安全かつ効率的な運航に資する研究を長年行ってまいりました。法人統合後もこのような重要な研究の確実な実施を図るとともに、その成果を生かして、航空機の安全運航が確保されるように努めてまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ぜひ、この分野に関しては、大変日本の空は過密でもあります。もちろん飛べないエリアも存在をいたしております。しっかりと研究をされること、そして、国交省としては、やはり管制官の配置等を含めて余裕のある、そういう意味ではしっかりできるような体制づくりをしていただきたいと思います。  さて、海員になるための資格である海技士を得るには、学科と乗船実習が必要であります。学科の修得は、国土交通省管轄で全国に八校ある海技教育機関、または文科省所管の商船系大学、商船系高等専門学校五校のいずれかで行われております。  ここでお伺いいたします。  外航海運船員養成機関は手つかずのままで、船員養成の核となり、海洋立国日本を支える若手船員の確保、育成を着実に推進する機関となるのか、また省庁の縦割りもまだ残っているような感がございます。中途半端な統合とも見えますが、この点に関しまして見解を求めるとともに、あわせて、統合により大規模の船員養成機関ができることが、海運産業分野、ひいては日本の経済に対してどのように貢献することとなるのか、御見解を伺います。 ○森重政府参考人 お答え申し上げます。  まず、今回の統合によりまして、海洋立国日本を支える若手船員の養成を各省庁連携して進めていくべきだという御趣旨の御指摘だと思います。学科をやります教育機関は、海技教育機構の今回の学校と、それから商船系大学、そして商船高専、これは、委員御指摘のように、文部科学省の高等教育機関の一環としての学校でございます。  いずれにいたしましても、それらの学科を教育 する学校の学生さんは、乗船実習、これが国家資格を取るために必要でございますから、航海訓練所に、一括して乗って、スキルを上げて、そして資格を取っていくということでございます。  そういうことでございますので、まず一つは、学科という観点に関して、私どもの海技教育機構とそれから商船系大学、それから商船高専については現在も密接に連携をとっておりますし、これからも連携をとりながら、全体として船員育成を進めてまいりたいと思います。  それから二点目は、いずれにいたしましても、生徒さん、学生さんは、学科との関連において、乗船実習を同じ航海訓練所の練習船で行いますので、今回の統合によりまして、航海訓練所の質の向上、教育の高度化を図ることによりまして全体として効果を上げていくということで、全体として効果が上がるように今回の統合を進めてまいりたいというふうに思っております。  それから、もう一つの御指摘の、日本経済全体への貢献でございますけれども、我が国は海洋立国、エネルギー、工業原料、食料など、貿易の九九%、そして国内の物資輸送では四割を海運が担っております。この海洋立国日本におきまして、船舶の安全な運航を現場で支えておりますのは船員でございまして、そういう重要な役割を担っておる船員の確保、育成は重要な課題と認識しております。  今回の統合によりまして、教育機関が若手船員を中心にしっかりと効果を上げていくことによって、日本の海運そして日本経済を支えていくことに効果を発揮していくものと期待しております。 〔大西(英)委員長代理退席、委員長着席〕 ○小宮山委員 ぜひ海洋立国日本を支える、そういった統合になることを期待しておりますし、これによって担い手不足の問題の解決、やはり憧れる船員というものが、船員に憧れる日本人、学生たちというのが出ることを期待しております。  時間の関係で次に行かせていただきますが、本当に、それぞれ独立行政法人といっても、今回は大変毛色の違うものが多うございまして、奄美群島の振興開発基金のガバナンス強化に関しては、基金への秘密保持義務や金融庁の検査導入は至極妥当なことであり、ほかの政府系と同じような業務をしている機関と同じ義務であるから当然のことかと思います。むしろ、これまで入っていなかったのが不思議なぐらいであります。  このガバナンス強化について、本法案の果たす役割を簡潔に御説明ください。 ○本東政府参考人 今回の法案の改正内容でございますけれども、大きく分けて二つの内容がございます。  まず一点目は、役職員の秘密保持義務に関する規定を新設するということでございます。  この改正は、基金における秘密保持を徹底する、こういうことによりましてコンプライアンスの強化に資するものというふうに考えております。  二点目としましては、基金に金融庁検査を導入するということでございます。  この改正は、民間金融機関の検査によりまして蓄積された金融庁のノウハウ、これを生かした検査結果を踏まえることによりまして、基金のリスク管理体制の強化、これに資するものと考えております。  このように、本法案によりまして、コンプライアンスの強化、それからリスク管理体制の強化を通じまして基金のガバナンスの強化が図られるものというふうに考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  今国会に各省庁から提出されております独立行政法人改革の中で、政策金融業務を担う関係の改正は、厚生労働省、農水省が二独法、そしてこの法案であります。  こういったことを考えると、本当に、この国交省で三分野の改革といって一回の法案で審議するというよりかは、同じ関係のものを合同審査など国会でやはりしっかりと審議するということも必要だったのではないか、国会における審議というものを私たち国会議員自身がしっかりと誇りを持ち、そして法案の審査をする唯一立法府として審議をすることを望み、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。