平成27年6月3日 衆議院国土交通委員会速記録(議事速報) ◇この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いい たします。 ○今村委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 本日、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律案に対し、質疑をさせていただきます。  この法律の目的においては、一九七三年、昭和四十八年の第一次オイルショックを契機に、化石燃料を初めとするエネルギーの使用量が大きな政策課題となり、昭和五十四年、エネルギーの使用の合理化等に関する法律、いわゆる省エネ法が成立をいたしました。  最近では、エネルギーの消費四部門、産業、運輸、業務そのほかの部門、家庭部門のうち、近年、産業部門、運輸部門が、省エネルギーへの取り組みの進展により減少傾向を示すところまでまいりました。しかし、その一方で、業務そのほかの部門と家庭部門を合わせた建築物関連の消費量は、エネルギー消費全体に占める比率も三割を超える、これは二〇一三年度のデータではございますが、そこまで増加をしているところでもあります。  この法律は、大規模非住宅の建築物のエネルギー消費性能基準への適合を図る、建築物の省エネ性能の向上に特化した新法であります。 この点に関しましては、大変新しい発想でもあり、また国交省の意欲というものも感じるところでもございます。立法の背景には、地球温暖化、温室効果ガスの抑制、削減が喫緊の課題となっている社会経済情勢もあると考えております。  本法律案の目的について、第一条で「国民経済の健全な発展と国民生活の安定向上に寄与することを目的とする。」とありますが、地球温暖化対策についての言及や、自然との共生を目指し、国民の健康な居住環境を確保するといった人体にとって健康な住宅、健康な建築物を目指すような表現は用いておりません。  そこで、大臣に質問させていただきます。  本法律案の目的について、地球温暖化対策や健康などの文言が入っていないが、その重要性について大臣の認識をお伺いしたいと思います。また、今後つくられる基本方針等で入れることが望ましいと考えますが、御見解をお聞かせください。 ○太田国務大臣 この法案は、その直接の目的が、東日本大震災以降より一層顕著となった我が国のエネルギー需給構造の脆弱性を改善するということにございます。  私たちが考えております国交省の住宅というものは、先ほども申し上げましたが、良質で安全で安穏なスマート住宅ということを目指そうとしております。この趣旨からいきまして、この法案の目的規定には、エネルギーをめぐる燃料資源の有効な利用の確保等を目的とする省エネ法と相まって、建築物の省エネ性能の向上を図る旨を記述しております。  その一方で、建築物の省エネ性能の向上は、その結果として、地球温暖化など環境悪化の軽減や国民の健康な居住環境の確保などにも資すると認識をしています。  したがって、例えば本法案に基づいて国交大臣が定めます基本方針の中で、御指摘のように、地球温暖化対策や健康な居住環境の確保というのを位置づける方向で検討させていただきます。 ○小宮山委員 ぜひ位置づけていただき、快適な居住空間、または活動空間というものができる建築物に寄与していただける法律の施行にしていただきたいと思います。  現行の省エネ法では、建築主等の省エネ措置の判断基準を示し、また、省エネ措置について、対象規模の建築物での新築や増改築、大規模修繕時に届け出の義務と、著しく不十分な内容である場合の措置が定められているにとどまっております。  対して本法案では、政令で定めることとされている特定建築物の新築、増築、改築については、建築物のエネルギー消費性能基準への適合が義務づけされるなど、規制内容が強化されています。  政令で示される特定建築物については、床面積二千平方メートル以上の非住宅建築物が予定されております。また、文化財を再現する建築物等省エネ化が困難な建築物、災害時の仮設建築物等存続期間が短い建築物、屋外駐車場、畜舎等については適用除外とすることも政令で定められる予定になっております。  社寺仏閣やお城などの建築物では壁などを設けられないものも多く、断熱は考えにくい。また、今後新築する際にも耐震化は必要と考えますが、断熱などによる省エネルギー性能とは相入れない面がございます。  また、百年後、二百年後の文化財として認められる伝統的構法等による建築物を新築し、建築技術も含め、後世に引き継ぐことも必要かと考えています。日本の伝統的構法と蓄積された技術の活用は、当然、建築可能であるべきと考えます。多くの技術者、技能者の中に、今後の技術継承を含めて、心配が今回の法案提出において起こっているのも事実でございます。  本法案に基づく規制が、神社仏閣やお城のような建築物について新築、補修、改修を行おうとする際、支障となることなく今後とも行うことができるかどうか、確認をしたいと思います。  また、省エネルギー化が困難な構造方法、建築材料を使用する建築物等、または文化財を再現する建築物等においては基準適用除外とされることとなるのか、重ねて確認をしたいと思います。 ○橋本政府参考人 お答え申し上げます。  既存の建築物において本法案の適合義務化の対象となる建築工事は、一定規模の床面積増加を伴う増築及び改築でございまして、まず、修繕や模様がえ等の工事は対象外でございます。  さらに、本法案における適合義務化に当たりまして、文化財であった建築物を再現する場合など、他の法令の規制等により省エネ基準に適合することが困難な建築物につきましては、現在の省エネ法における届け出手続と同様に、適用除外とすることとしております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  大臣は参議院本会議があるということで出られるということもございますので、順番をちょっと変えさせていただき、通告の順番と変わりますが、大臣に対して二問、質問させていただきたいと思います。  この後、質問する予定になっておりますが、小規模工務店への対応について大臣の御見解をまずお聞きしておきたいと思います。  今回は、大規模非住宅建築物に対してのエネルギー消費性能基準適合義務化にとどまっておりますが、エネルギー基本計画第四次計画、平成二十六年四月閣議決定、また、日本再興戦略、これは平成二十五年の六月の閣議決定です。同じく日本再興戦略改訂二〇一四によって、二〇二〇年までに新築住宅・建築物について省エネルギー基準の適合を義務化することが閣議決定になっております。先ほども質問の中にもございました。  また、今後、さまざまな建築物の形態や使用され方などにも配慮しつつ、除外するものなども定めながら、基本的には、新築住宅や建築物についても段階的に省エネルギー基準の適合を義務化する方向に向かうと考えております。基準適合義務の拡大を行っていくに当たっては、小規模工務店への対応が極めて重要だと考えております。この点に関しまして、ぜひ国土交通大臣の御所見をお聞かせください。 ○太田国務大臣 一般国民が建築主であり、中小工務店、大工さんが供給の大宗を担う戸建て住宅の省エネルギー性能の向上のためには、需要と供給の両面の対策が重要だというふうに思います。  需要側であります国民に対しては、省エネルギー化による光熱費の削減ができること、あるいは健康増進の効果などの意義、非常に穏やかな建物になるというようなこと、こうしたことの理解を深めてもらうとともに、融資やあるいは税制、補助、こうしたことの支援によって省エネ性能の高い住宅を選びやすい環境をつくっていくということが大事なことだと思います。  供給側である中小工務店、大工さんというのは、自分の持っている腕というものが確かにあるわけでありますが、断熱施工の技術講習の実施をする、あるいは地域の事業者のグループによる省エネルギー性能の高い住宅の建設への補助をする、こうしたことで技術力向上を図ります。  小宮山先生の地元の建設会社と話をしたり、現場に行ったことがありますが、地下は非常に空気が冷えているということがあって、それを風によって循環させていくという木造住宅というようなことを、大変技術水準を上げようとして努力をしていて、昔のたくみのわざに近いような、そうした中小工務店ならではというような知恵が出ているということも大事で、私は、そうした知恵が出るようにということをしっかりバックアップしていく。  そして、誇りを持って中小工務店が、こうした省エネ性能の高いものを、単に太陽光をつけたり外断熱というだけでない、いろいろな工夫ができると思いますので、そうしたことを応援する体制をむしろつくる。あなたたちもこの仕事をしなさいよという規制の中で命令をかけるみたいなことよりも、工夫したということをもっともっとバックアップするというような支援の仕方というのが大事だというふうに思っています。 ○小宮山委員 大変心強いお言葉をありがとうございます。  後ほど、本当を言えば、できればJIAの判定プログラム結果を説明してからお答えいただきたかったんですが。  今も大臣の方から、たくみのわざ、そういったものを応援する、そして、この分野においてもそういった地元の工務店などが参画できるような形で御支援いただける、またそういった検討を深めていただけるという思いがあると思います。  その中でも、改めて、伝統的木造住宅、二十年に一度の伊勢神宮の式年遷宮や六十年に一度の出雲大社、これらは、社殿を守るとともに、技能、構法の伝承という大きな意味合いもあるそうです。  それにあわせて、材料となる木材を数百年にわたり育てるという、日本の歴史、文化、伝統、さまざまなものが大変詰まったのが伝統的構法だというふうに私は考えております。  今後、住宅に基準適合義務を拡大するに当たっては、伝統的木造住宅への対応が重要とも考えております。国交省においては大規模木造建築物の燃焼実験も実施されました。木造建築物の可能性を広げてきたのも国交省でもあります。さらには、木材は、再生可能な資源であり、建築材の製造過程も含めると低エネルギー建築でもございます。  改めて伺います。伝統的木造住宅の振興や、技能、技術、構法の伝承、発展に対しての大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。 ○太田国務大臣 今も少し答弁申し上げたんですが、小宮山先生には、木造家屋ということでずっとかかわっていただいて、御支援をいただいています。  火に弱いということについて実験をしたりしておりますし、CLTということについても応援をいただいておりますが、さらにそこは進めていきたいと思います。  式年遷宮のお話が出ましたけれども、あれは、今のたくみのわざを二十年後の人に伝承する期間というものが得られるという、たくみのわざが伝承されて、その後の若手が次のものをつくる、そういう伝統の継承期間という、なかなかの日本の培ってきた伝統であり、わざであろうというふうに思っています。  伝統的住宅に住んでいる人たちが地域の気候、風土に適したエネルギー消費の少ないものにするということ、そして、伝統的木造住宅とそこにおける生活が省エネルギーの観点からもどのように評価されるかについて、実際の住まい方も踏まえまして、伝統の継承とか省エネ対策とか、双方の課題に対応できるように、今後、評価方法や技術開発、伝統技能の継承などに幅広く取り組み、検討していきたい、このように強く思っています。 ○小宮山委員 大臣、ありがとうございます。  どうぞ参議院の方にお向かいいただいて。追い出すわけではないんですが、おくれないでいただければと思いますので、どうぞ気をつけて行ってきていただければと思います。  さて、質問の方をもとに戻させていただきます。  今大臣もありましたけれども、伝統的方法、こちらの方に関しては、私も今回、木の家ネットに所属されている綾部工務店さんの方から、JIA、日本建築家協会の環境会議、環境行動ラボワーキンググループの伝統的工法の住まいリサーチユニットによる調査結果というのを頂戴いたしました。  これは皆様方のお手元にお配りさせていただいております資料でございます。  これを見て、本当になかなか木造住宅など、また、高断熱、高気密がいいという全体の流れの中からは一線を画したようなデータが出てまいりました。  現在は、調湿や触感などは低い評価しか出てこないんだというようなことも伺いましたし、また、地域の資源、技術、文化に配慮した伝統的木造建物というものは、地域経済にも結果として寄与するということも大変実感をしているところでもございます。  このようなものが、ある意味、高断熱の方が上だというような雰囲気、また、それが一番の解決策であるというところだけで本当にいいのかというのも疑問に思うところではあります。もちろん、建築物の耐震化を考えるときには、木造住宅、従来工法、さらには、いわゆる伝統的構法での建築が選択し得る、設計し得るように、構造計算のあり方をどうするかなど、さまざまな議論を国交省でも重ねてきたと思います。  建築物、特に戸建ての住宅について、省エネルギー化を考え、将来の基準適合化を検討する場合に、やはり伝統的構法による住宅建築も選択肢に入るべきと考えております。  例えば、今提出してありますけれども、見ながら聞いていただければと思いますが、木造で土壁の住宅を新築しようとした場合、土壁は壁材に用いることはできるものの、省エネ性能の判定プログラム上での計算時には、断熱材十センチ相当等としての計算となりません。エネルギー性能の低い建築物という計算が結果として出てまいります。  配付資料で見ますと、赤い線で囲った左側のデータをごらんいただければと思います。省エネ基準が百十九・一メガジュール規模の住宅において、土壁での判定プログラム上での計算結果は二百六十四・一メガジュールと、基準の二・二倍ものエネルギー消費をする家との計算になっております。  ところが、実際に新築されたこの家に一年を通じて居住し、電気、ガスなどの消費量を計算した結果は、六十二・八メガジュールしか消費していませんでした。これは、実測値は基準の〇・五二倍ということで、熱を使う率としては大変低くなっている。これは、暑さ寒さも我慢をしてはかったというわけではございません。内陸の数値でございますので、暑いときは本当に暑いですが、それでも問題なく過ごせるということ。  また、この家は吹き抜けの居室があり、判定プログラムの計算結果が大きな数字として出やすいという事情もあるそうですけれども、右側のデータをごらんいただければと思います。  これはまた別の家でありますが、吹き抜けのない土壁の住宅についてのデータがとられております。省エネ基準が八十七・七メガジュール、計算結果が百九・七メガジュールであったのに対して、一年間の実測値は四十五・四メガジュールと大変低い数値が出されました。  どのような暮らし方をするか、どのような室温のもとで過ごすのが快適と感じるのか、それは個々人で違いもあります。ちなみに、左側はエアコンは入っておりますが、右側の先ほど言った大変低い数値が出たところは、エアコンも入れていないで過ごされているということであります。  断熱による省エネ性能の追求は、世界各国で当然のように行われることと思いますが、夏の湿度が高い日本では、室温に着目するだけではない快適性の感じ方、指標というものが求められているのではないでしょうか。  例えば土壁の採用など、現在の判定プログラムでは省エネ性能が劣るとされてしまいがちですけれども、吸湿性などにたけて、快適に感じる居住空間につながるとも伺っております。  お風呂場や、その前室や、トイレの中といったところにおいて、急激な温度差が生じないようにするのは必要だと思いますが、建物の中全てが横並びの基準を求めなければならないかなど、住まい方というもの、建て方というものにもいろいろな多くの疑問や課題が残っていると考えております。  四季折々の気候変化のある日本。住まい方についても、その時々、気候変化を感じながら、気候の変化を楽しみながら暮らしてきたという、これこそまさに日本人が暮らしてきた、自然とともに生きてきたというものであり、それを体現するものが伝統的木造住宅、日本家屋であります。日本家屋を計算上の省エネ性能に劣るものとしてしまうのではなく、改めて評価する姿勢もぜひおとりいただければと思います。  今後、住宅、特に戸建て住宅への適合義務化を拡大していくに当たっては、伝統的木造住宅・建築物に用いられる伝統的構法や、土壁や大きな開口部の設置等についても適切に評価していく必要があると考えております。  この点について、国土交通省としての御見解をよろしくお願いいたします。 ○橋本政府参考人 お答え申し上げます。  土塗り壁工法など、地域の伝統的な構法、材料を用いる伝統的木造住宅につきましては、地域の気候風土を踏まえた住まいづくりの観点から、継承されていくべきものであると認識をしています。  確かに、すき間が完全に塞ぎ切れない土塗り壁や、縁側などの大きな開口部がある伝統的な木造住宅は、高気密、高断熱の住宅とは言えませんが、一方で、これらの住宅にお住まいの方の生活ぶりは、地域の気候風土に適した、エネルギー消費の少ないものとの調査結果が複数あることは我々も承知をしております。  したがいまして、先ほど大臣からの答弁にもございましたけれども、伝統的木造住宅とそこにおける生活が省エネルギーの観点からどのように評価されるべきかにつきまして、実際のお住まいの方の状況も踏まえて、伝統の継承と省エネルギー対策、双方の課題に対応できるように評価方法等を検討してまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ぜひ評価方法の検討を早急にしていただきたいと思います。  また、建築物のエネルギー消費性能を向上させる技術や建材は日々進歩していると考えております。現状では断熱化が建築物の省エネ化において主な着眼点となっておりますが、今後は、注目され始めている遮熱材の活用など、本法案が成立、施行後に確立、普及される新技術についても早期に反映されていく必要があると考えます。  その点に関しまして、建築物のエネルギー消費性能を向上させる新しい技術や材料の導入に対してはどのように対応していくのかも、あわせて国交省から伺いたいと思います。 ○橋本政府参考人 本法案におきましては、現行省エネ基準上位置づけられていない新技術を用いた建築物につきましては、国土交通大臣が、性能評価機関の試験、評価結果を踏まえて、基準と同等以上の性能を有することについて個別に認定する制度を創設することとしております。  このような個別のケースの評価を積み重ねた上で、将来的に技術的知見が蓄積され、定型化された評価手法が確立された段階で省エネ基準に反映させることで、新技術や材料等の導入の円滑化を図ってまいる所存でございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。新技術などが円滑に導入されるということであります。  本法律案の第二十三条から二十六条の規定により、特殊な構造や設備を用いる建築物について、国土交通大臣が認定を行い、その旨を建築が行われる場所を所管する所管行政庁に遅滞なく通知することとされています。さらに、認定を受けた建築物では基準適合をしたものとみなすこととされております。この規定により、新しい技術や材料の使用についても認定申請が可能との説明も受けたところでもございますし、今局長からの答弁にあったとおりでもありますので、ぜひこの点に関しましても、随時認定をしていただいて、より快適な空間をつくる、その法律になるようにしていただければと思っております。  さて、そのためにもですし、また、伝統的木造建築物、構法などを生かすためにも、さきに示したJIA、日本建築家協会で行われたような実際のエネルギー消費データの収集、蓄積、分析をより広範囲に、さまざまなタイプの住宅についても測定していくことによって、居住によるエネルギー消費性能についてより多くの知見を得ることができると考えます。建築物、とりわけ住宅についての省エネルギー、低エネルギーの取り組みに役立てられるのではないかと思います。  調査の実施や実施主体への調査に対しての支援制度などを設けることで、真にエネルギー消費性能の向上を推進する技術、技法の向上につながると考えます。そこで、国交省がこの法案をつくった意義がより深まるんだと確信をしています。  この点に関しましても、ぜひ国交省からの御見解、支援のあり方など、お聞かせいただければと思います。 ○橋本政府参考人 国土交通省におきましては、補助事業として、例えば、寒冷地、温暖地など地域ごとに導入されている暖冷房設備の使用状況であるとか、あるいは東日本、西日本において標準的に設置されている給湯設備の使用状況、あるいは平均的な世帯におけるエネルギー使用量などの実態調査を補助事業として行っておりまして、これは例えば平成二十五年の省エネルギー基準の策定等にも反映をさせておるところでございます。  今後とも、直轄の調査あるいは補助調査を使いましてさまざまなデータを集めて、基準の見直し等、省エネルギー施策に反映をしてまいる所存でございます。 ○小宮山委員 問いを戻ります。大臣の関係で飛ばしたところであります。  今回、大規模なもの、そういったものの例としては、やはりマンションとかそういった集合住宅が本来入るべきだったのではないかと考えるところではあります。  ですけれども、現実として、全国のマンションストックは、二〇一二年度末のデータでありますけれども、五百九十万戸、このうち一九八一年六月以前に建築された旧耐震マンションは百六万戸、さらに、一九七一年四月以前に建設された旧旧耐震マンションは十八万戸もまだ存在するというデータを拝見いたしました。  こういったところは、当然さまざまな機能というものも下がっているでしょうし、まずは耐震化やリノベーション、建てかえというものも必要かと思います。しかし、この中で、断熱なども含め向上することによって、快適な空間、そして省エネルギーという全体の流れというものを確保できるんだとも考えております。  そこで、新築時の基準適合推進とともに、既存建築物、特に既存集合住宅等での省エネ基準への適合を促す支援措置が必要ではないかと考えますが、住宅減税などインセンティブを与える政策推進が求められると思いますが、国交省の見解をお聞かせください。 ○橋本政府参考人 本法案におきましては、集合住宅を含む既存の建築物が省エネ基準に適合している場合、あるいはリフォーム等を行って省エネ基準に適合させた場合には、行政庁の認定を受けることにより、その旨を広告等で表示できる仕組みを創設いたしました。  この仕組みを活用していただいて、省エネ基準に適合する建築物が市場で高く評価をされる、そういう市場環境を形成することで、これらの建築物の資産価値の向上が図られることがまず期待をされます。  加えて、省エネ改修に対する一般的な支援措置といたしましては、省エネ住宅ポイント制度、あるいは住宅金融支援機構による省エネ賃貸住宅リフォーム融資、あるいは住宅の省エネルギー改修工事を行った場合の所得税、固定資産税の軽減など、財政上、金融上、税制上の措置を通じて、既存の集合住宅の省エネ性能の向上を推進してまいる所存でございます。 ○小宮山委員 全ての建物において、省エネルギー、また低エネルギーという観点も含めて進められることによって、日本は温暖化を防止するさまざまなことに寄与し、また時には地域経済にも寄与する、そういったことにつながることを願っております。  さて、最後になりますが、少々苦言を呈しなければなりません、パブリックコメントについてでございます。  本案に関する社会資本整備審議会のパブリックコメントは、期間も短く、また年始年末にかかり、的確に国民の意見を聴取するには適切ではなかったという意見がございました。  昨年、平成二十六年十二月十八日から平成二十七年一月六日という、本当に、年始年末、御用納めも含めてという期間であります。ことしに至っては、一月六日の締め切りですので、一月四日に業務をスタートするとたった二日しかない。  こういう中で、国民の意見をまとめるような時期でもないということであれば、さまざまな意見をとり、また、この法案ができるに際しての前提ともなります。余りこんなに意見がしづらい期間になりますと、正直言って、何か裏があるのではないかと誤解を受けることもあるかと思います。  ぜひそういったことを避けるためにも、適切に、例えば、今後こういった時期にやるならば、締め切りは、松の内はもちろん当然過ぎ、年始に入ってから少なくとも一週間、十日はきちんと多目にとるというようなことも含めて御検討して、改善をしていただきたいと思います。  この点について、ぜひ国交省の御見解、また、反省の気持ちも込めてかわかりませんが、お聞かせください。 ○橋本政府参考人 法案の作成につきましては、審議会でいろいろ御議論いただいております。その中には関係業界の方々も入っていただいております。また、さまざまな機会を設けて説明会もやって、内容については事前に十分御説明したつもりではございます。  しかしながら、御指摘のとおり、法制作業の都合、それから、委員の先生方にパブリックコメントの意見を御紹介いただく時間等を勘案して、残念ながら、年末年始にかかったパブリックコメントとなりました。この点については、率直に反省をすべき点があろうと思います。  今後、より広く国民の皆様から御意見をいただけるように、パブリックコメントの時期の設定については十分に注意をしたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。ぜひ配慮をしていただきまして、多くの現場の声、そして現実につくっているデータも含めて、しっかりと、今後の審議等、さまざまな審議会も含めて反映できるような体制というものをとっていただくことも要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。