平成26 年10 月30 日 衆議院地方創生に関する特別委員会速記録(議事速報) ◇この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 ◇後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 ◇今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○鳩山委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。  本日最後の質疑者となりましたので、どうぞよろしくお願いします。  まず、参考人の皆様には本当におわびをしなければならないと議会人として思うところは、本当に、地方創生のこの法案は、臨時国会を今回召集する大きな理由の一つでもありました。それにもかかわらず、多くの議員が、実を言うと定足数ぎりぎりの時間も随分あるという中での参考人の御意見というもの、大変申しわけなく感じております。  また、今回、本当に、また改めて伺わせていただいて、多くの意見を聞くということがこれからの地方分権そして地域の活性化には大変重要なのであるということを、本日の参考人の皆様方の意見から改めて実感したところでもあります。  先週は、地方公聴会ということで徳島に行かせていただきました。その中で大変感銘した言葉というのは、地方自治体の可能性というのはどこにでもあるんだ、やはりそういった思いを強くしたところでもあります。山村におきましても山里においても事業は起こせるし、また、きょうのお話を聞きながらも、そうでなくてもさまざまな工夫ができるんだ、その可能性を見出させていただいたというふうに確信をしております。  さて、最初に、森参考人そして五十嵐参考人からお伺いしたいと思います。  たびたび出てまいりましたが、お二方は、首長として、地方自治体の実際の経験をお持ちであり、その中で、恐らく、縦割り行政の壁や、無駄だとか使いづらいというさまざまなことを経験されてきたかと思います。その中で創意工夫されて、コンパクトシティーという新しい向かい方を森参考人はされております。  私の住んでおります川越市におきましても、恐らくここに触発されたのか、今、自転車、レンタサイクルを市民が大変有効に使い、大変いい施策だなと思っているところでもあります。  また、日経グローカルの二〇〇四年の記事になりますけれども、五十嵐参考人におきましては、横手市行政での組織内分権型予算というものを試されまして、「各部に配分した予算枠の範囲で使い道の決定を任せた。初年度は物件費を八・九%、二億二千万円削減。市単独補助金も一四・五%、七千三百万円あまり圧縮した。」という記事がございました。  やはり、各地方自治体、基礎自治体の創意工夫、また、その職員を含めまして、努力をすることによってさまざまな可能性があるんだというふうな記事だと読ませていただきました。  そこで、お二方にはぜひお伺いしたいと思います。  一国二制度のお話もありましたけれども、今回、縦割り行政を解消する、また、地方自治体にとり、 基礎自治体にとり本当の意味で有効なものにするためには、大きくは、先ほどちょっと提案がありました、まち・ひと・しごとや、そういった内閣府などで一括して窓口をする、そういった横串を刺すというようなやり方。  それとともに、もう一つは、そもそもの省庁が既に時代に合っていない課などを持っていたりする。そういった意味で、地方から見て、国の省庁のあり方、組織のあり方というものに対し、お二方のお考えを聞かせていただければと思います。 ○森参考人 国の省庁のあり方に発言する立場ではないように思いますので、難しいことは言えませんが、基礎自治体を運営してきている実務者としての感覚でいいますと、まず、多くの基礎自治体は上限税率で課税をしています。自主判断で税率を上げるということはもうできない財政状況の中で、交付税総額が確保されないということは大変憂慮すべきことです。事実上は臨時財政対策債をどんどん毎年発行しながら起債残高をふやしているわけですので、先ほどもお話がありましたが、みずからの判断による正味の負債というものをどう減らしていくのか、そして基金をどうふやしていくのか、その二つのことを絶対命題としながら運営をしてきています。  そういう中で、国の交付金ですとか補助金とかというのはやはり大変有効なものです。こういうものを使いながら、経済運営というものも含めて、地域を元気にしていくことによって税収増につなげていかなければならないというふうに思っています。  リーマン・ショック前に私どもの市の市税総額は七百二十億でしたが、六百八十億まで落ちました。 ことし、七百六億ぐらいまで回復をしてきております。非常にいい傾向になってきていますが、ここへ来て、今の改正で法人市民税の上限税率を下げられましたので、富山市でいうと通年ベースで十二億減ります。これがそのまま交付税で埋まるのかどうか。制度設計上はそうなっているんですが、きっとそうはならない。このあたりが問題かなという思いでおります。  したがって、結論として、御質問のお答えとしては、やはり使い勝手のいい制度、規制緩和、そして省庁の横串を刺すようなものをつくっていただくことによるスピード感、そういうことをぜひ求めたいというふうに思います。 ○五十嵐参考人 組織内分権型予算配分についての御紹介がございましたけれども、かなりの成果があったものと思います。  ただ、それは基礎的自治体の中だけの話でありまして、国とのかかわりで申し上げますと、今、富山市長さんもおっしゃいましたけれども、地方にとって最もハンドリングのしやすい予算、交付税交付金とか、さまざまな創意工夫がやはり一段と求められるのかなというふうに思います。  その背景にあるのは、どうしても、これは県と市の関係もそうですけれども、お互いを信用していないんです。信用していないんですね。マネジメント能力に対してえらく不信感を持ちつ持たれつです。 これをどこかで払拭する何かがないとなかなか厳しいのかなと思いますが、そのためにも、基礎的自治体は立派にやっているんだということを実績で示し続ける必要があるだろうと思います。 ○小宮山委員 率直にありがとうございました。  また、私自身も、ひもつきではなく、やはり地方の、地域の、基礎自治体の創意工夫が生かせる、また、地域の職員がさらにその能力を生かせるための一括交付金、そういったものをふやせるような形をとるべきだというふうに実感をいたしました。ありがとうございます。  また、この法案で、私、質疑者の中で唯一、東京圏の質疑者となります。今回の法案は、「人口の減少に歯止めをかけるとともに、東京圏への人口の過度の集中を是正し、」ということから目的は入るんですが、正直申し上げまして、東京圏への人口の過度の集中を是正すれば人口の減少をとめられるのかというと、私はそれはイコールではないと思いますし、何となくよくわからない法律だなと。であるなら、もっと明確に目的を置けばよかったのにと思うんです。  辻参考人に伺いたいのは、先ほど、出生率というのは、フランスなど、また上がる、そんな施策をとることが可能であるというお話がございました。  この法案の基本理念の三番のところにございますのは、基本的には個人の決定に基づくものであるといいながら、結婚、出産または育児について希望を持つことができる社会が形成される環境を整えるとあります。  出生率を上げるということに関するならば、実際の統計的には、日本の場合は結婚をされる方から生まれる子供が多いというのは確かでもありますけれども、フランスや、またヨーロッパにおきます出生率を上げた国々を見ますと、やはり個人というものに力点を置き出生率を上げるというところもよく言われているところです。  この点に関しまして、私自身は、結婚ということは法律に書き込まなくてもよかったのではないかという思いもしております。御意見を伺わせていただきたいと思います。  また、辻山参考人におきましては、私自身も、今回の法案名、まち・ひと・しごとという、このわざわざ平仮名にした名前というのは、いま一つしっくりこないものであります。それであるならば、最初からずっと、自民党さんも言っておりますが、地方創生という法案で素直に言えばよかったのになという思いをしているところであります。  人口の過度の集中が是正された東京圏の将来像というのも、私自身はいま一つ見えないところであります。  何か御意見がありましたら、お聞かせいただければと思います。 ○辻参考人 今回の目的の、結婚に関すること、家族に関する観点ですが、別角度で二つお答えしますと、一つは、統計上予測すると、いわゆる片親の世帯も含めて、今後、増加の予測になっています。それに対して、加速も阻害も多分していない、自然体で今臨んでいるんじゃないかということがあると思います。  ただ、もう一つ今後の大きな課題として、高齢化の問題もあるんですが、同時に、単独世帯の増加という問題があります。  二〇五〇年で全世帯の大体四割が単独世帯に転じるということになりまして、基礎自治体のサービスは基本的に世帯単位で行政サービスをしていますので、仮に二人の人がいたとしても、その人がそれぞれ別々に一世帯ずつ構成しているのと、一家族で一世帯を構成しているのでは、それに要する行政費用は大きく変わってきますし、生活保護その他の問題にも直結してくる課題になってきます。  こうした中で、なるべくみんなが楽しく暮らせるような社会を無理なくつくっていくということは、民間レベルも含めて重要なことかなと私自身は考えております。 ○辻山参考人 私が最初にひと・まち・しごとでしょうと言ったのが、こんなにも取り上げていただけるとは思いませんでした。  この問題はむしろ、議員おっしゃったように、委員会などでそもそもの立案者にただす、この言葉が出てきた背景は何なんだというようなことはどこかで明らかにしていただきたいものだなという気はしていて、逆にお願いしておこうかなというふうに思います。  ただ、おっしゃられたように、東京への過度の一極集中というようなことを抑えればいいのかどうかということはありますけれども、実は私、先ほども述べましたが、道州制という制度には反対の立場なんですが、例えば、それにしても、東京で暮らしている私たちが消費するものと、生産地の人々が消費する価格が一緒なのはおかしいという考え方を持っています。当然、輸送費などがかかりますので。  それで、地産地消の精神から、外へ持ち出すときには、あるいはそれを入れるときに税を取るというような制度は可能ではないかといろいろ考えましたら、いやあ、県ごとには大変だろうな、そういうとき道州ぐらいだったらいいかなということで一度発言したことはございますけれども、もちろん、議論するときにはそのような目標をはっきり持ってやる必要があるというふうに思っております。これからもいろいろ考えていきたいとは思っています。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  参考人のお話を聞きながら、やはりもう一つの問題としては、賃金の格差の問題であったりするかと思います。  今回、派遣法の改正案が出ておりますけれども、一生派遣や低賃金という中においては、子供を持つこと、結婚ができたとしても持つこと自体を諦める、さらに、複数持つことも諦めるというような現実も起きております。こういう意味においては、今回、大変矛盾した法律が、ここでは、ふやせるように、子供たちが持てるようにとしておきながら、一方で、現実にはそれも難しい、どちらかというと人よりも企業を優先に考えるという、非常にダブルスタンダードな法案の出され方をしているなという実感をしております。  私で最後でございますので、本当は皆様方にも一言ずつ今後の期待を伺いたかったのですが、時間がやってまいりましたので、ぜひ、この法案が、来年春の統一地方選向けのひと・もの・かねの法案とやゆされないように、しっかりと国会も見てまいりたいと思いますし、地方からも、また専門家の立場からも見ていただき、真におのおのの地域で住みよい環境の確保につながるように願いまして、私の質問とさせていただきます。  本当に、貴重な時間、皆様ありがとうございました。 ○鳩山委員長 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。  この際、参考人各位に一言御挨拶を申し上げます。  参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。(拍手)  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時二分散会