平成26 年5 月21 日 衆議院外務委員会速記録(議事速報)  この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。  後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。  今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○鈴木委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。よろしくお願いいたします。  さて、本日は、日本・サウジアラビア投資協定、日本・モザンビーク投資協定、日本・ミャンマー投資協定、そして日本・ミャンマー航空協定改正議定書の審議をさせていただくことになりました。  投資協定または航空協定の改正、これらはいずれも、相互に投資環境を整備したり、また航空会社の乗り入れ、今回は会社数をふやすなどを通じて経済的連携が強化され、両国間の友好親善の大変一助になるということが期待されての審議になるかと思っております。  さて、きょう、ほかの委員の皆様の質問を聞きながらでございましたので、さまざまな議論点があるなということもありましたし、また、ちょっと大臣には申しわけないんですけれども、質問の順番を少々変えさせていただくとともに、大臣の一般的な考え方も、先ほどからの質疑を聞いていて、ぜひお聞きしたいことがありますので、よろしくお願いいたします。  まず最初に、私も本会議で触れさせていただきましたけれども、四月中旬、ナイジェリア、イスラム過激組織ボコ・ハラムに連れ去られた女子学生の早期解放を願っているものであります。  これは、国連安保理事会におきまして、制裁リストに加える動きも出ております。制裁されれば、組織関係者への武器禁輸、資産凍結、海外渡航禁止などの制裁措置が行われるかもしれないということで、二十二日にもこれは決まるのではないかという報道がございました。大臣におきましては、この問題に関して、解決に向けて御尽力をされるという声明も出されました。  その点に関しまして、国際社会では、特に女性の間では、このような女性の連れ去り、しかも若い学生が売買の対象ということを明言されるようなことは到底許せるものではございません。世界におきましては、マララさんを初め、我々の少女を返してという、ブリング・バック・アワ・ガールズということで、運動も起こっております。  日本としてどのように対処されているのか、声明を出されました外務大臣の御見解をまずお聞かせいただけないでしょうか。 ○岸田国務大臣 本件につきましては、強い衝撃と憤りを覚えています。そして、テロ行為を非難し、ナイジェリアの将来を担う女子生徒たちの一刻も早い解放を要求する内容の外務大臣談話を五月九日に発出させていただきました。  テロ行為の撲滅という観点からも、また、地域の平和と安定という観点からも、さらには、我が国としまして、女性の輝く社会を目指す、こうした女性の活躍に向けて国際貢献も行っていく、こういったことを安倍総理も国連総会の場で演説をしているわけでありますので、こういった観点からも、ぜひ我が国として、引き続き国際社会と連携をし、事件解決のために努力をしていきたいと考えています。  具体的には、米国、英国などは、専門家をナイジェリアに派遣して、捜索活動を支援しているわけですが、我が国として具体的にどう支援するか、これにつきましては、ぜひ現地のニーズ、こういったものをしっかり確認しながら検討していきたいと考えております。  ぜひ、我が国もこの問題に大きな関心を持ち、しっかりと連携を深めていきたいと考えています。 ○小宮山委員 ぜひ、大臣のおっしゃるとおり、我が国もきちんと国際社会と連携をし、この問題の対応をさらに深めていただきたいと思いますし、政府といたしましても、この問題をきちんとさらに扱っていただきたいと思います。  とかく人権問題、また障害者の問題も、なかなか今回、安倍内閣におきましては、発言というものが控え目というんでしょうか、見受けられないことも多々ございます。オリンピックのソチのときもそうでした。日本は、パラリンピックのときには副大臣をしっかりと開会式に出されましたけれども。  こういったさまざまなことを考えていきますと、人権問題というものは国際社会の中では大変重要な観点だと思います。ぜひ、人権問題に対しては、日本政府として、また内閣におきまして、岸田外務大臣のイニシアチブにおきまして、日本の常識は世界の非常識とならないように、もう大分前の竹村健一さんのあれで、そういったようなギャップがないように、特に人権問題では先進国とのギャップがないように発信をしていただきたいと思います。  さて、それでは、まずは日本・ミャンマー航空協定の改正について先にお聞かせください。  日本・ミャンマー航空協定の改正では、一九七二年発効の現行協定から、国名の変更、ビルマ連邦からミャンマー連邦共和国、が行われるとともに、指定航空企業の数を、一の航空企業から一または二以上の航空企業へと改めることが主な内容となっております。また同時に、附属書への記述を通じて、指定航空企業の運営路線の拡大も図られることとされます。  両国間、特にミャンマーにおきましては、日本人は大変近年注目もしているところでもありますし、「ビルマの竪琴」という映画にもありますように、大変、往来もあるし、観光地という意味においても今人気の上がっているところでもあります。近年では、四年間で四から五倍の増加をしたという往来でもあります。  これから拡大することがさらに考えられるわけですけれども、指定航空企業の数をふやすことは妥当だと考えますが、一または二以上、指定しようと思えばこれは何社でも指定できるという内容に読めると思います。安全性の確保とか、安定した運航継続の観点から問題とならないのか、御見解をお伺いいたします。 ○岸田国務大臣 御指摘のように、ミャンマーへの日本人渡航者数、四年間で四倍以上、約四万七千人となっています。人的、物的交流が大幅に拡大していますし、これからも拡大が予想されます。  よって、今回、この協定の改正によって、指定航空企業数の制限を撤廃するということ、これは現状を見ましても適切な対応であると認識をしております。  一方で、安全性はしっかり確保されなければいけない。当然のことであります。ミャンマーも、国際民間航空機関、ICAOの加盟国であります。  ICAOの作成する関連主要条約、航空の安全にかかわるさまざまな条約がありますが、これを全て締結しています。  ぜひ、この条約に基づいてしっかりと義務を果たしていく、このことによって、航空の安全あるいは航空の保安、こういったものにつきまして、しっかりと確保するべく、両国間で緊密に連携をしていきたいと考えています。 ○小宮山委員 安全の確認はこれによってされているということでありますけれども、実際には、一だったものが二以上になるかもしれないという意味では倍以上であります。  昔の航空業界、そういった意味においては、各国が一つだけの国際航空会社というような、そんな時代もあったかと思います。その名残かとも思う部分もありますが、逆に、二と限定をしなかったというところはどのような点なんでしょうか。  二以上にした理由をお聞かせください。 ○下川政府参考人 御質問の点でございますが、我が国がこれまで締結してまいりました五十八本の航空協定の中で、現在、指定航空企業の数を明示的に制限しておりますのは、ミャンマーとの航空協定のみという状況になっております。  今回の改正議定書では、まさにこの点を改め、他の航空協定と同様に、指定航空企業の数の制限を撤廃しようとするものでございます。  御指摘のような、指定航空企業数を特定の数字内に限定するという考え方につきましては、今回の交渉過程では特に議論にならなかったところでございます。  いずれにしましても、航空の安全及び航空保安につきましては、指定航空企業の数にかかわらず適切に確保されるべきものというふうに考えておりますので、この協定の枠組みのもとで、両国の当局間でこれまでも緊密に協議を行ってきているところでございますが、今後ともしっかり対応していきたい、そういうふうに考えているところでございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  では、具体的にどのようにこの安全性というものが確認されるんでしょうか。この一カ月ほどですか、隣国ではございますけれども、交通機関のさまざまな事故もございました。また、いろいろなことを考えますと、この点に関しまして、何社でも指定できる、相手国側で指定航空企業とされた航空会社による運航の安全性などの確保に対してどのように認識をされているのか、国交省に伺いたいと思います。 ○甲斐政府参考人 お答えいたします。  我が国に乗り入れを行おうとする外国の航空会社につきまして、相手国からの指定を受けた場合であっても、指定だけでは足りませんで、私ども、航空法に基づきまして、実際、乗り入れがなされるときに、運航する路線、あるいは主要航空機でありますとか機体の整備の施設、それから運航管理施設等、運航の安全にかかわる問題を十分に審査した上で、当該航空会社が運航の安全が確保されていることを確認した上で事業許可を行っております。これはミャンマーだけの話じゃなくて、外国の航空会社一般でございますから、何社入ってこようが、同じ事柄としては審査をさせていただきます。  それから、加えさせていただきますと、我が国への乗り入れ後も、空港におきまして、航空機の立入検査、ランプインスペクションというものを実施しておりまして、外国航空会社の運航の安全の確保につきましては、継続的に監査をする体制を整えております。  以上でございます。 ○小宮山委員 安全対策というもの、また、それは人の命を乗せて飛ぶものでもありますので、ぜひ確実に行っていただければと思います。  さて、本日議題となっております投資協定の審議でございますけれども、これによって、我が党、生活の党としては、EPA、FTAなど自由貿易の推進は大いに議論をし、進めていくべきだと考えておりますけれども、TPPについては、自由貿易と呼ばれる概念とは異なったものであるというふうに認識をしています。しかしながら、この投資協定をすることによって自由な取引が活発になること、また、そういった中において進められるということは大変重要でもあります。  ただ、今回のものにおきまして、五月十五日ですか、米国のオバマ大統領が決定されたものの中に、議会の方に報告をされたそうですけれども、対ミャンマーの経済制裁の一部継続をされるということがあるようです。これも根本的には、西部ラカイン州というんでしょうか、少数民族が弾圧されたことに由来するということであります。  こういった問題に関しては、今回の投資協定の中におきましては、ミャンマーも含めてですが、行政手続の迅速化や明確化、透明性の向上を求める義務規定も入れてありますし、また汚職防止の努力義務も入っているということで、きちんとこの点に関しましては日本企業も守っていただきたいと思いますし、この点が入っているということに関しては大変評価をさせていただきたいと思います。  さて、自由な貿易というものがあることは大変重要なことだと思っております。その中で、日本と経済的な結びつきが高い台湾との租税協定の整備が待ち望まれております。  日本と台湾との間で、租税協定、日台所得税二重課税回避及び税逃れ防止に関する協定についての協議が持たれたと伺っております。漏れ伝わってきたところによりますと、日本と台湾との間で、内容的には大筋納得できるようなところが見えてきたけれども、最後に残った課題として、お互いで交わす取り決めの名称を何と呼ぶかで考えに相違があるとも聞こえてまいりました。  本日議題となっております三投資協定及び航空協定では、協定としてアグリーメントが用いられております。この部分に関しまして、日本側からはコミットメントではどうかというような提案があったようなことも聞こえてまいります。  しかし、国ではないですが、香港とは日本もしっかりと日本・香港租税協定を結んでいることもございます。また、台湾とは、日本以外、シンガポール、インドネシア、そして米国も含めて、条約の締結をしているところでもあります。  また、米国におきまして、現在米国議会で審議中の原子力平和利用協力協定においても、アグリーメントという言葉が使われるというふうに聞いております。米国でアグリーメントの表記が問題なく使えるのであれば、日本でも同様ではないかということを思うわけでありますが、この点に関しまして、過去には、平成二十四年十一月一日ですが、参議院議員の松田公太議員より提出の質問主意書に対しましての答弁などを鑑みまして、現在どのように外務省としては捉えているのか、お聞かせください。 ○下川政府参考人 台湾は、きょう議論がございましたように、我が国にとりまして、緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーでございます。その台湾との間でさまざまな分野の実務協力を着実に進展させていくことは極めて重要であるというふうに認識しております。  こうした観点から、台湾との間では、日台双方の民間窓口機関でございます公益財団法人交流協会、これは日本側でございます、そして台湾側、亜東関係協会との間の民間取り決めを積み上げることにより経済連携の強化を進めてきているところでございます。  台湾との間におきます二重課税の回避につきましては、日本企業等の関心も高い分野でございます。 このため、交流協会と亜東関係協会の間で、昨年の末から、日台間の二重課税の回避等を目的とした枠組みに関する協議が行われているところでございます。  このように、今この中身については両機関の間で話し合いが進められているところでございますので、詳細について現時点で触れるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般論で申し上げますれば、英語のアグリーメントないしコンベンションといったような言葉は、国家間の権利義務関係を規定する国際約束の名称としてよく使われる用語でございます。これまでに、台湾との関係を非政府間の実務関係として、日台双方の窓口機関で取り交わしてきた文書の名称といたしましては、アグリーメントという用語が使われたことはないというふうに承知しているところでございます。  先ほど米国との関係についても言及がございましたけれども、台湾と第三国ないしは第三国の民間団体との間で取り交わされた文書の名称については、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、先ほど言及もございましたように、答弁書でお答えしました中身といたしましては、政府としましては、台湾との間で、国家間の国際約束である租税条約を締結することは考えていないという見解を示させていただいたところでございまして、この立場につきましては変更はございません。  いずれにいたしましても、以上申し上げましたような、民間取り決めを積み上げることにより経済連携の強化を図っていくという基本的な考え方に従いまして、これからも両協会の活動を注視すると同時に、政府としても可能な、必要な限りの支援をしていきたいというふうに考えているところでございます。 ○小宮山委員 大変丁寧にお答えいただいてありがとうございます。  最後に、大臣、日本と台湾との二重課税、これは相当経済的にも両国に有意なものになるかと思います。これは私は取り決めをするということは大変重要かと思います。最後ではございますけれども、大臣の見解をお聞かせいただければと思います。 ○岸田国務大臣 まず、台湾との間で二重課税を回避するということ、これは日本企業の中でも大変関心の高いことであると認識をしています。  台湾は、経済関係ですとか人的交流ですとか、こうしたものを通じて深い関係にある重要なパートナーだと認識しておりますので、こうした実務協力を推進することは大変有意義である、これは基本的に認識をしています。  そういった観点から、日台双方の窓口機関の協議をしっかり注視していきたいと思っていますが、我が国としましては、我が国の基本的な立場を踏まえつつ、ぜひ協力をしていきたいと考えています。 ○小宮山委員 中国政府との国交を樹立している多くの国もアグリーメント、協定を結んでいるところでもございます。ぜひ前向きに、また早急にこの問題が進むことを心から願いまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。