平成 26年 5月 13日 衆謎院本会誌速記録 (議事速報) ○議長(伊吹文明君) 小宮山泰子君。 〔小宮山泰子君登壇〕 ○小宮山泰子君 生活の党、小宮山泰子でございます。  ただいま議題となりました法律案に対し、生活の党を代表して質問いたします。(拍手)  本法案は、特定の場所、地域または国を生産地とし、品質、社会的評価などの特性が生産地と結びついている特定農林水産物等について、名称における地理的表示の保護を行うものです。  法律案の第一条では、特定農林水産物等の生産業者の利益の保護を図ることを通じて、産業の発展と需要者の利益保護も目的とされています。  一九九四年にTRIPs協定が締結されて以来、EUを中心として地理的表示の保護が進む中、日 本では、酒類への対応は行われるものの、農林水産物等の名称保護は十分ではありませんでした。  この法律を提出された目的と、日本の農林水産業を取り巻く現状認識について、まずは農林水産大臣に伺います。  先日、日本創成会議の人口減少問題検討分科会の試算結果、二〇四〇年に、若年女性の流出により全国八百九十六市区町村が消滅の危機に直面するという、衝撃的な内容が発表されました。  均衡ある地域の発展には、地方分権の推進とともに、各地域の特性を生かす産業が重要であると考えます。  地理的表示の保護は、類似産品との比較で価格上昇効果があるだけでなく、原料、材料として用いた場合の農業の六次産業化の促進への期待や、地域に根差した産物がその地域での生産継続につながることにより、当該地域の雇用確保や伝統文化の継承、維持、そして、輸出市場においてもブランド品として有利となる等の効果があると、EUなどの導入例から指摘されています。  法律成立後に、どのような農林水産物等の区分において、何件ほどの登録数を見込まれているのか、さらに、それらが農林水産業及びその関連産業の発展に寄与することで期待される経済効果の規模をどのように見込んでいるのか、お答えください。  法案第十一条により、農林水産大臣は、登録の可否について学識経験者からの意見を聞かなければならないこととされています。学識経験者は、必要があると認められたときには、登録申請団体や、意見書の提出者その他の関係者から意見を聞くことができるとされています。  農林水産大臣は、学識経験者からの意見を聞くことは義務づけられてはいるものの、当事者からの意見を聞くことができる等の規定は設けられておりません。  それぞれの地域の特色と歴史ある農林水産物等の生産に携わる方々の現場の声をしっかりと受けとめて、応援していただけるような法制であるべきだと考えます。  登録の可否について判断する材料として、必要に応じて、当事者の方々からもヒアリングをしたり、申請内容について相談に乗り、サポートすることは、農林水産行政の所管をしている立場として、当然行われるべきものと考えますが、大臣の御見解をお聞かせください。  EUでは、登録された農林水産物等についての特性や生産方法などが示された明細書が明確に定められ、公示されていること、及び、その明細書に即して正しく生産されているかなどについて、公的機関または独立した第三者機関が確認する体制をとっており、信頼性を高める上で重要な役割を果たしていると聞いております。生産者の利益、さらには消費者の利益にもつながっております。  本法案では、明細書に適合した生産が行われるために必要な指導、検査その他の行程の管理は登録生産者団体が行うため、EUに比べ、独立性が低くなるとの指摘もあります。  第三者機関としていない理由について、農林水産大臣より御見解をお伺いいたします。  近年、食品偽装等も問題となりましたが、今後、どのように消費者の不利益につなげない体制の確 立について取り組むのか、消費者行政における対応について、消費者担当大臣にお何いいたします。  農林水産物等の名称の保護制度が整えられることが、各地に根差した産品を中心にした経済循環の活性化に資するものであることを期待しつつ、質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 〔国務大臣林芳正君登壇〕 ○国務大臣(林芳正君) 小宮山議員の御質問にお答えいたします。  本法の提出に至った現状認識についてのお尋ねがありました。  我が国には、地域で長年培われた特別の生産方法や、気候風土、土壌などの生産地の特性により高い晶質と評価を獲得するに至った地域ブランド産品が数多く存在しているところであります。  これらの地域ブランド産品の価値を公的に保護することで、生産者にとっては、生産物の品質に見合った利益を得られるようにするとともに、消費者にとってもへ品質の高い商品を容易に選択できるようにするという観点から、本法案を提出したところでございます。  地理的表示の登録見込み件数と経済効果についてのお尋ねがありました。  地理的表示の登録については、地域の生産者の発意による申請に基づくことから、現段階において、その具体的な区分や件数、登録に伴う経済効果の規模を予測することは困難であります。  本制度によって、地域のプラント産品が適切に保護され、品質に見合った価格での取引や、生産地における雇用の確保など、そのもたらす効果が十分に発揮されるように努めてまいります。  登録の審査時点における生産者団体への意見聴取についてのお尋ねがありました。  登録に当たり、申請書の審査の過程において、必要に応じ、申請書の内容の事実関係などについて申請者から話を直接聞くことになる、こういうふうに考えております。  なお、法第二十四条に基づく報告徴収と立入検査は強制的なものでありまして、御指摘のような場合に用いることは想定をしておりません。  地理的表示産品の品質確認の主体についてのお尋ねがありました。  我が国の地域ブランド産品の中には、生産者団体がみずから品質基準を取り決め、品質管理を行うことでブランド価値を高めているものも多く見受けられます。  また、地理的表示の登録を受けた産品は、その生産方法や特性が産地と結びついている必要があることから、その品質管理については、生産者団体みずからが最も知見を有していると考えております。  このような実態を踏まえまして、生産者団体が品質管理を行うとともに、国がその品質管理の体制をチェックすることにより、産品の品質が公的に保証されるような仕組みとしたところであります。  以上でございます。(拍手) 〔国務大臣森まさこ君登壇〕 ○国務大臣(森まきこ君) 小宮山議員にお答えいたします。  食品表示等問題に対する体制確立に向けた取り組みについてお尋ねがありました。  今般の食品表示等問題に対しては、景品表示法を厳正に執行するとともに、同法のガイドラインを作成、公表するなど、事業者における表示の適正化にも努めているところでありますが、国及び都道府県の不当表示等に対する監視指導体制をより強化し、一層有効に対処するため、今国会に不当景品類及び不当表示防止法等の一部を改正する等の法律案を提出し、御議論いただいているところです。  さらに、やり得を剥奪し、不当表示への抑止力を高める仕組みとして、景品表示法への課徴金制度の導入を検討しております。  これらの取り組みを通じ、消費者への不利益につなげない体制を確立してまいります。(拍手) ○議長(伊吹文明君) 以上をもって、予定されておりました質疑は終了いたしました。 ○議長(伊吹文明君) 本日は、これにて散会いたします。 午後二時十分散会