平成26 年4 月25 日 衆議院外務委員会速記録(議事速報) この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いい たします。 ○鈴木委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 委員長、ありがとうございます。  さて、今もずっと話題になっておりますオバマ大統領と安倍総理の共同記者会見であります。本来であるなら、この時期にこの外務委員会が開かれるということであるならば、共同記者会見ではなく、発表のそういったことをさせていただけたらよかったんだろうなと思いますが、この具体的な内容については、出てからということになるかと思います。  ただ、私自身、共同記者会見を拝見させていただいたところで、率直な感想といたしましては、あらゆる課題に対して米国とともに対処を行っていく、米国の価値観や視点に沿ってともに実行していきますというのが安倍総理の目指す日本の姿勢なのかなというふうに感じる部分もございました。  もちろん日米関係というのは大変重要でもありますし、それだけ重要であるからこそ国賓になられたというふうにも感じているところでありますが、その一方で、世界の多くの国々とともに協力していくということも日本には大きく課せられていることでもあります。  また、日本国憲法前文にございますように、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有すること」、この基本的な理念、やはりこれが日本が世界から認められることであり、この憲法というものが平和憲法と言われるゆえんであり、その点に関しまして、その視点に立って、日本が先頭に立ってリーダー的な役割を担うということも多くの国から求められているんだと思っております。  国連中心というよりも、米国中心といったような色合いを強く感じた関係でございます。この点に関しまして、オバマ大統領、安倍首相の共同記者会見を経て、日本の外交姿勢として、国連か米国かというような中でのバランス感について、岸田大臣の御所見をお伺いしたいと思います。 ○岸田国務大臣 今の政権が発足してから、私自身、外務大臣として、外交の三本柱と申し上げ、日米同盟の強化、近隣諸国との関係推進、そして経済外交の推進、この三つの柱を中心に、国益の増進あるいは国益を守る、こういったことに努めてきたわけであります。よって、今回、日米首脳会談を通じまして、大切な日米同盟の強靱さを改めて内外に示すことができた、これは大変重要な成果であったと考えています。  しかし、これも従来から申し上げているところですが、我が国としましては、先ほど申し上げました外交の三本柱を中心に、我が国の国益の増進に努めなければならないのは当然ですが、それだけにとどまってはならないということで、あわせて、グローバルな課題について日本外交はしっかり汗をかくことが重要だとずっと申し上げてきました。  外交の三本柱を中心に、我が国の国益の増進を図るのとあわせて、グローバルな課題、環境であったり、あるいは女性であったり、防災であったり、軍縮・不拡散であったり、中東和平であったり、こういった課題にしっかりと汗をかくことによって、我が国の外交の存在感を示すことになる、こういったことを申し上げてきたわけであります。  今申し上げたグローバルな課題への取り組みという部分におきまして、やはり御指摘の国連との関係が重要になってきます。ぜひ、こうした国連を通じた外交等によりまして、世界全体の利益の増進に我が国としても努めていく、こういったことによって存在感を示していきたいということになります。  よって、今申し上げたように、外交の三本柱とグローバルな課題、両方を大事にするということを従来から申し上げてきたわけでありますが、結果として、日米同盟と国連との関係、両方とも重要になってくる、これが我が国の外交の基本的な姿勢であると考えております。 ○小宮山委員 世界全体の利益というのは大変重要なキーワードかと思います。  大臣におきまして、何回か、国益を守るという言葉が出ましたけれども、残念ながら、日本ではまだこの国益というものが、政府のきちんとした定義がなされていないかと思います。アメリカ等ではあるかと思います。  国民の生命財産そして働く場を守るという定義を私自身はさせていただいておりますが、さまざまな観点の中で、これが、働く場まで守られるのか、そういった意味においては、非常に難しい交渉というものがさまざま起きている、その一つがTPPであると考えております。  また、今の大臣の答弁の中で、汗をかくとおっしゃられました。何で汗をかくのか、これによって、先ほど言った世界全体の利益に本当につながるのか否かというところもあると思いますので、これはまたいずれお聞かせいただければと思います。  さて、TPPの問題におきましては、ふだん私は議運におりますので、こちらの場では特別委員会の設置を長年求めていっております。 今回の来日に合わせ、また、甘利大臣のフロマン代表との交渉が続いている中で、さまざまな報道はされております。今回も、オバマ大統領は会見の際に、農業分野そして自動車の分野でまだ課題が残っている旨をおっしゃられています。これだけの材料があって、これだけ報道されているにもかかわらず、国会での答弁、審議、そういったものがまだなされていない。もう一年ではなく二年近くになってくる特別委員会設置も、自民党、与党側からは、まだ応えることができないのでということで、時期尚早というのが続いているのも事実であります。  そこで、委員長にぜひお願いしたいと思います。  この外務委員会におきましても、やはりTPPに関しては、日本のこと、そして海外との関係、特にアメリカとの関係、さまざまな貿易に関して、特に関税を撤廃するという問題は、これは独立国としては大変大きな問題かと思っております。ぜひ、集中審議をこの外務委員会でもしていただくことをお願いいたします。 ○鈴木委員長 委員会の運びにつきましては、理事会で協議いたします。 ○小宮山委員 ありがとうございます。ぜひ御協議いただきたいと思います。  それでは、今回、ニュース速報を見ていまして、世界の利益ということで、ウクライナ情勢がこれだけ不安定な中で、安倍総理が、御地元の酒ではありますが、昨年プーチン大統領にお渡しされた獺祭を、またオバマ大統領にも同じものを出されたということ、何か深い意味があるのかなと少々思わないでもないんです。  その前に、水循環基本法が先日成立いたしました。世界の利益ということにおいては、この問題は大変大きなことにつながっていく。原発を海外に売り込むよりも、水に関するそういった機能やまた設備というものを世界に広めることの方が、よほど日本にとっては大きな利益につながると考えております。  そこで、横浜で開催されましたIPCC気候変動に関する政府間パネルの会議で、第五次評価報告書が、十月ごろに報告書が出されるということで作業が進んでいると伺っております。  そこで、二〇一五年までのミレニアム開発目標では八つのゴールと二十一のターゲット項目を挙げられている中で、日本政府としては、水と地球環境を考えた政策実現への取り組みについて、また、ポスト二〇一五の開発目標の議論にどのような姿勢で取り組んでいくのか、外務大臣の御姿勢をお聞かせください。 ○岸田国務大臣 まず、御指摘の水循環基本法ですが、議員立法として提出され、三月に成立をいたしました。水は生命の源とうたい、国際的な連携の確保及び国際協力の推進、こうしたものを掲げておられます。  まず、水分野における取り組みですが、これは、ミレニアム開発目標、MDGsの達成にとっても重要な要素であります。我が国は、水分野のトップドナーとして、この分野を国際協力においても重視しておりますし、これからも貢献をしていきたいと存じます。  そして、今度は、ポスト二〇一五年開発アジェンダ、ポストMDGsの方ですが、これはことしの九月から議論が本格的に行われて、来年九月には国連において採択される予定になっています。  この議論において、水分野の課題も含めて、我が国としましてはぜひしっかりと議論をリードしていきたいと考えております。  そして、あわせて御指摘いただきましたIPCC第五次評価報告書、これは気候変動問題の今後を考える上で大変重要な報告書であります。この報告書につきましてもしっかりと参考にさせていただきながら、今申し上げましたポストMDGsの議論をしっかりリードしていきたいと考えております。 ○小宮山委員 水の分野におきましては、ぜひ、日本がなければ成り立たないというぐらい、何かわからないことや心配があったら日本に聞けと言われるくらいの、そのような牽引役になっていただきたいというふうに考えております。特に水源の問題については、土地の買い上げということでは外国資本などが入ってきているのが日本の現状でもございます。また、海外においても同じような問題も起きていると伺っておりますので、この点に関しましては、大臣に期待をしたいと思います。  さて、オバマ大統領が日本に来られて、一番に「すきやばし次郎」に行かれたようであります。  これはドキュメンタリー映画にもなったということで、こういった日本職人の生きる姿勢というものが和食にはあらわれたのではないかと思っております。  私自身も、予算委員会を初めさまざまなところで日本の伝統文化について質問させていただいております。文化がシンクロすることによって海外とのさまざまな交流というものも深まるでしょうし、日本に対する理解そしてシンパシーなど、さまざまな分野で、また経済的な分野でも大きな産業につながっていくんだと確信をしています。  現在、日本では、在外公館として、大使館は百三十六、領事館は六十、国際機関の政府代表部は八など、合計二百二十七カ所が設置されております。職員におきましては、現地職員も含めまして五千百九十一人、職員は三千四百八十八人と、大変大きな人数が海外でも頑張っています。これらの大使館などは、まさしく日本文化を紹介していくための重要な拠点になるかと思います。  しかし、その職員が伝統文化をきちんと踏まえていなければ、今、文科省の方の、二〇二〇年に向けて日本を文化の国とされるような施策の中でも、実際には、きちんとした文化が伝えられないということになりかねません。サブカルチャーやポップカルチャーなどにおいても、きちんとした基礎があってこそだと思っております。  この点に関しまして外務省としてどのように取り組んでいらっしゃるのか、お聞かせいただければと思います。 ○岸田国務大臣 まず、日本文化の紹介は、外務省としましても、日本外交にとっても大変重要な課題だと認識をしております。全世界の在外公館におきましても、我が国の文化の重要な発信拠点として位置づけなければならないと思っていますし、そうした考え方に基づいて、日本の伝統文化の紹介事業は、さまざまな取り組みの中にあっても大切な事業だと位置づけて発信を行っているわけですが、今後とも発信については努力を続けていきたいと考えます。  そして、その中にあって、外務省職員の知識ですとか見識といったものが重要だという御指摘、これも大変重要な御指摘であります。外務省職員の育成において、例えば在外赴任前に行う研修の機会を捉えて、広報文化に関する講義ですとか、あるいは茶道、華道といった日本文化に関する知識ですとか、さまざまな内容の研修を行うことによってこうした資質の向上に努めております。  今後とも、外務省職員に求められる能力というのは変化もしますし、多様化していきます。ぜひ時代の要請に応えられる研修を考えていかなければならないと思っておりますので、研修制度の充実につきましては、絶えず検討を加えていきたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。既に大臣におきましては、各大使館等で日本酒での乾杯であったり、推進をしていただけるとい うことでありますが、また、衆議院におきましても、伊吹議長の御発案によって日本酒「衆議院」の販売が始まっております。大変好評のようでありますし、これは三・一一のあの日に発売開始ということで、福島の蔵元の支援ということも兼ねていると思います。  国酒、日本酒の販売については、さらに産業として大きな成果が認められると思いますが、この点に関しまして、簡潔にではありますけれども、どのようにされていくのか、お聞かせいただきたいと思います。 ○上羅政府参考人 お答え申し上げます。  海外におけます日本酒に対する関心が高まるとともに、日本再興戦略におきまして日本産酒類の輸出環境整備が盛り込まれるなど、日本産酒類の輸出促進に対しましては、近年になく強い追い風が吹いているものと承知しております。酒類業を所管しております国税庁といたしましても、さらなる輸出の拡大のための施策を実施してまいりたいと考えております。  具体的な取り組みといたしまして、例えば、国際的なイベント等におきます日本産酒類の提供に際し、国税庁から専門的知識を備えた職員を派遣する、また、ジェトロ等と共同で輸出ハンドブックを作成しまして、輸出セミナーを各地におきまして開催するといった取り組みに加えまして、外国人の酒類専門家に対する日本産酒類の品質や安全面等に関する情報のインプットも有効な施策であることから、今般、海外の酒類教育機関において日本酒類講座が開講されることになったことを受けまして、外国人の日本酒講師の育成に対して協力する等の取り組みを実施したところでございます。  国税庁といたしましては、官民の役割分担のもと、これらの取り組みにより、日本酒を初めとする日本産酒類がワインやビールに匹敵する酒類として海外でもさらに認知されますよう、今後とも関係省庁と連携しつつ、しっかりと取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 ○小宮山委員 ぜひ、今の十倍規模の市場にする、そのぐらいの勢いを持っていただきたいということをお訴えいたしまして、終わらせていただきます。  ありがとうございました。