平成26 年4 月24 日 衆議院原子力問題調査特別委員会速記録(議事速報)  この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。  後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。  今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○森委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。本日はよろしくお願いいたします。  さて、最近、新聞記事を見ますと、原子力問題に関してはさまざま気になる記事がございます。  その一つにはやはり、今、規制庁の方が、再稼働第一号となる公算が大きいと言われております川内原発についての記事であります。  これは二十三日の朝日新聞の紙面にありましたが、九電の幹部、OBに取材をしたところ、九電と地元建設業は三十年以上のつき合いがあった、これによって、十三カ月ごとの定期検査の際は、核燃料の交換や追加工事など、一基ごとに数十億円から百億円の費用がかかる、そのうち二割の金は地元に落ちるようにしていたと明かされたということ。  また、現在も川内原発では、再稼働に向けて、九電社員約三百人、協力会社約千五百人が働き、玄海原発とともに約三千四百億円の安全対策工事を進めているという記事でもあります。  これの締めくくりは、原発事故を受けた原発停止が地元の原発依存をかえって浮かび上がらせたという記事であります。  また、同日ではございますが、日経にございました。原子力規制委員会は二十二日、電力会社や原発関連メーカーでつくる原子力安全推進協会との意見交換で、もっと原発産業は情報発信をというような記事が載っておりました。  そういった中で、福島第一原発事故からもう三年はたっています。しかし、いまだに、下水汚泥であったり、さまざまな後の後遺症が残っているということでもありまして、内閣府の請求は十五億円のみということで、東電の除染費千八百億円の肩がわりをいまだにしていて、また、請求は十五億円のみということ。  それに対比すると、環境省は、これまでに書類が上がったものについては、きちんと六百六十二億円を東電側に請求して、既に三百六十二億円は返還をされているという記事でもあります。大変、税金の使われ道としては、こういったものに関してはしっかりと見ていかなければならないし、情報公開もされなければいけない。その使途というものも明確にされるべきであると考えております。  この点に関しますと、現実的には、我が地元においてもさまざまありましたけれども、また気になる記事としまして、汚染木くずの不法投棄問題というのがございました。  これは、四月四日の東京新聞の紙面でありました。また、そのほかの記事にもございましたが、「汚染木くず不法投棄」、「ブローカーがもうかる仕組み」として取り上げておりまして、福島原発事故で放射性セシウムに汚染された木くずの一部が不正なルートで全国に渡り、滋賀県琵琶湖畔に不法投棄された疑いで滋賀県警による捜査が行われているという記事であります。  先般、水循環基本法を通させていただきました。  やはり琵琶湖の水質維持ということも考えますと、こんなところにこんな不法投棄をされちゃ困るなという思いもありまして、大変この問題には興味を持ったところであります。  福島県内では、事故後、製材の過程で排出される樹皮などの木くずの処理については、製材業者が処分業者に費用を払った後、東電に賠償請求する仕組みとなっており、記事によりますと、東電からの入金までの時間、事務手続の負担、そもそも引き取り手を見つけることが困難などで窮していたところ、無償の処理話を持ちかけ、事務を代行する契約が結ばれ、五千トンを処理する費用として東電に四億円を請求し、受け取ったとされています。通常の処理費用は、高くても一トン当たり五万円程度とされておりますので、割高で話を持ちかけたブローカーのもうけ分を上乗せして支払った形になったようであります。  このような不適切な取引というのは、やはり正規の処理がされず、結果、不法投棄などにつながって、第三者を含めて多くの方の不安というものが助長され、安全も脅かされる、また損なわれるということにつながっていくのではないか、今後同様の事例が多く発生するのではないかと危惧をしているところでございます。  この点に関しまして、不適切な汚染廃棄物処理の拡大を可能にしてしまっているこの現状、東京電力としてどのように現実を捉えて対策を講じていくのか、お考えをお聞かせください。 ○山口参考人 お答え申し上げます。  まず、当社の福島第一原子力発電所の事故によりまして、福島県を中心として被害を受けられた皆様、さらには広く社会の皆様に、今なお大変な御迷惑と御心配、そして御苦労をおかけしておりますことを心よりおわび申し上げます。  当社の事故に伴いまして発生いたしました廃棄物の処理につきましては、放射性物質汚染対処特措法によりまして処理することになっているキログラム当たり八千ベクレルを超えるもの以外は、ほかの廃棄物と同様に、廃棄物処理法に基づきまして、排出事業者様が対応されているものと認識してございます。  当社といたしましては、当社の事故に起因して発生しました廃棄物の処分費用について、必要かつ合理的な範囲で賠償をさせていただいております。また、排出事業者様に対しましても、廃棄物処理法に基づく適切な処理のお願いや役割等の説明を今後も丁寧に行ってまいりたい、かように考えている次第でございます。  以上でございます。 ○小宮山委員 あわせまして、廃棄物行政をつかさどっております環境省からも、現状の把握、そして環境省として、今後、このような案件はなかなか業者を見つけづらいという、一般の産業廃棄物とはやはり違う特質を持っております。この点に関しましてどのようにしていかれるのか、お聞かせください。 ○梶原政府参考人 お答え申し上げます。  本件滋賀県の事案につきましては、いわゆる一キログラム当たり八千ベクレル以下の廃棄物でございます。しかしながら、こういった濃度であっても、廃棄物の不法投棄というものにつきましては、環境保全上、極めて大きな課題であるというふうに考えておるところでございます。  それで、産業廃棄物の不法投棄の実態につきましては、毎年、都道府県等の協力を得て把握をしておるところでございますけれども、平成二十四年度、これが一番新しいデータでございますが、平成十年のピーク時のおよそ五分の一以下になっておりまして、現在、百八十七件が報告をされているところでございます。  それで、今回の滋賀県の事案との関連が実は疑われるといったような案件も二件、山梨県の方から報告をされているところでございます。幸いに、滋賀県につきましても撤去、処理が終了し、また、山梨県の案件につきましても一件の処理が終了しておりまして、また、もう一件につきましても、立ち入り等の制限を加えた上で、排出事業者の特定を進めるべく、報告聴取等の対応をやっているところでございます。  このような廃棄物の処理の適正を進めるためには、私ども、滋賀県のケースもそうだったわけでございますけれども、実際に県の方々と相談いたしまして、業者の紹介をさせていただくとか、あるいは、そもそも八千ベクレル以下のものについては通常の処理ができるんですといったようなことを御説明するといったようなことのほかに、これまで、廃棄物処理法の累次の改正で罰則の強化、あるいは、いわゆるマニフェストと言われる、処理に従って追っかけていけるような処理システムの導入等で、その対策、未然防止等を図っているところでございます。  今後とも、各都道府県さらには警察等とも協力の上で、そういったような監視活動の強化、あるいは早期発見による未然防止、あるいは被害の拡大防止といったようなところに努めてまいりたい、このように考えております。 ○小宮山委員 これは環境省にもそうですが、東電にもきちんと、被害の拡大、二度とこのようなことが起きないように、適正な処理ができる企業というものに関してのガイドラインなり、またその実績等も、関係する企業ということでありますけれども、やはり、こういったものも情報公開なりをしていかなければならない事態になっているのかということでありますので、御検討いただくようお願いいたします。  さて、また、さらに気になっている記事というものは、やはり凍土壁、凍土の遮水壁計画についてであります。  強いて見れば、土を凍らすという意味では、巨大冷凍庫を人工的に土の中につくるという壮大な計画なのかなと。トンネルにおいては過去に事例があるということでありますが、その二倍規模ということでもあります。技術的なものというのもまだ大変不安視されているところでもあります。  また、別の観点で見ますと、福島第一原発事故の原因については、政府事故調、民間事故調そして国会事故調によって報告書も出されました。しかし、どれにおいても原因は、現場検証もできない、またメルトダウンした原子炉の内部もおろか、検証もできないということが続いていることによって、相変わらず原因の特定ができないという現実がございます。  また、今後いつになるのかわかりませんけれども、その原因を調べられるという時期も、発表もされませんし、恐らく推定されることも、されないんですかね、していただきたいと思いますけれども、それができるころというのは相当な年数がたっていることは、現実に皆さん共通の認識だと思います。  津波そのものによる施設破損、地震そのものによる破損、また冷却水の循環などに必要な電源の喪失など、さまざまな考察が行われているところでもあります。  私自身は原発については素人でありますが、そもそも、発電所というものでありますが、今の原発を動かしているのも、どのような電源がどこから来ているのか、大変不思議に思ったところであります。  そして、今までさまざまな、電気料金に、私どもはこの春から、消費税も含めまして個人や家庭にも大変負担を強いている現実が起きているわけですが、原発の消費電力の供給源について、事故前、そして事故後も含めまして、どのように供給され、そして現在はどのぐらいの消費電力になっているのか、電力消費量はどのぐらいのワット数になっているのか、お聞かせいただければと思います。 ○山口参考人 お答え申し上げます。  まず、事故の前でございますが、当社の系統から供給された電力でございますし、事故の後、現在におきましても、当社の系統から供給された電力で賄っているということでございます。  現状におきまして、福島第一原子力発電所の年間の電力の使用量は〇・八億キロワットアワーという数字でございます。  以上でございます。 ○小宮山委員 〇・八億キロワットアワーとぱっとおっしゃられるとぴんとこないですけれども、恐らく、ドイツとかの電力使用量だと五千億キロワットとかだと思いますので、小さい電気量ではないというふうに推察されます。ありがとうございます。  今後、やはりこういったことも含めて、これが東電の持ち物になりますけれども、やはり東北電力から電力を引いているとも推測されます。それでよろしいですか。 ○山口参考人 お答え申し上げます。  福島の電力の供給は、当社の設備を使って供給しているということでございます。 ○小宮山委員 東電の中で処理をされているということであります。こういった処理費用等、さまざまなものが加味されて、電力料というものは私たちに請求をされるということでよろしいんだと思います。  さて、その中で、やはり汚染水の問題は日々深刻な状況が報道されてきております。その中で、凍土による計画というものがありますが、これの建設費用、また運転費用と消費電力についてどのような検討がされたのか、また、ハード面でどのぐらいの費用がかかったのか、まずお聞かせいただけますでしょうか。 ○赤羽副大臣 まず、廃炉・汚染水対策について、私も現地対策本部長として、できるだけ現場に足を運んで仕事をさせていただいておりますし、昨年九月から政府の現地事務所も立ち上げて、常駐の職員も十七名配置して、国も前面に出て対策をとっているというところでございます。  その中で、大事なことは、地下水、これは建屋に入れない、汚染源に近づけない、建屋への地下水の流入を防止して新たな汚染水の発生を抑制することというのは大変大事だということが、これはもうどなたが考えても大きな命題でございまして、このことにつきましては、汚染水処理対策委員会におきまして、建屋への地下水流入量を抑制する観点から最善の方法は何かという専門家による議論を行っていただきました。  具体的には、三つの方法で、一つはこの凍土式の遮水壁、二つ目は粘土式の遮水壁、そして三つ目は、深い溝を掘って地下水をくみ上げて地下水をとめる方法、この三つの方法につきまして、遮水効果、工期、費用、他工事への影響などを評価し、どの方法が適切かを議論していただいたわけでございます。  昨年五月に、凍土式の遮水壁が、他の方法に比べまして遮水効果が高い、また、二つ目には工期が短い、そして三つ目、これは大変大事なんですが、施工エリアが最も小さくて雨水の影響が小さい、また他の工事への影響が最も少ないということから、凍土方式が一番適切とされたわけでございます。  この事業計画につきましては、汚染水処理対策委員会のもとに陸側の遮水壁タスクフォースを設置いたしまして、ここには、土木関係、また水位の管理関係、凍結工法の専門家の参画を得まして、設計施工計画に対し技術的な観点から指導助言及び進捗管理を行っているところでございます。  この凍土壁に係る費用につきましては、これは初めてのチャレンジでもありますし、技術的な難度が高く、国が前面に立って取り組むという観点から、平成二十五年度の予備費及び補正予算を合わせて三百十九億円を措置したところでございます。  これは初めての試みで、そんなに簡単なことじゃないということは承知をしておりますので、このことについては万全の対策を進めるということと同時に、重層的また予防的に、他の工法も検討しながら、この地下水の流入も抑制するということに最大限の力を注いでいきたい、こう考えております。 ○小宮山委員 副大臣、ありがとうございます。  ぜひ情報公開もしっかりとしていただきたい。  私、病気の問題であったり難病の子等、さまざますると、本当に苦しい中です。しかし、治療するにも電力は使います。そういった中で、大変苦しい中で生きている方もいる。そして、国がこれだけの、三百二十億円の国費も費やすということ、この点に関してはぜひ実現をしていただければ、もっとやっていただければと思います。  さて、時間になりましたので、もっと聞きたいところではございますが、以前、議運の中におきまして、田中委員長に、当時はまだ国会承認の前でございましたので、今、福島第一原発の後、事故は収束したと言えるのかと言いましたら、収束したとは言えないと言われた。その意味では、大変大きな変革がこの原子力規制委員会においての大きなターニングポイントになるのではないかという部分は、私自身は田中委員長に期待したところでございます。  本当に、三年、一たび事故が起きれば多大な影響がございます。IAEAが掲げる五層の多重防護のうち、まだまだ日本では足りない部分もございます。安全神話ではなく、今回また安全願望によって、また経済的なものも加味しての安全願望によって、二度と福島第一原発で起きた過ちが起こらないような慎重な判断をしていただくことを心から期待いたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。 ○森委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時五十二分散会