平成26 年4 月17 日 衆議院憲法審査会速記録(議事速報)  この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。  後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。  今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○保利会長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。  本日議題となっております日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。  生活の党は、憲法を改正するということについて否定的な立場ではありません。制定から一度も改正されないまま約七十年を経過した日本国憲法ですが、もし書き加えることがあれば書き加える、あるいは、書き改めるべきところがあれば改正するということが必要なときには、しっかりと議論をし、手続に従って国民の同意を得て行われると考えています。  現行の日本国憲法の改正手続に関する法律が成立した後、同附則などで成立後に検討や法整備を求められた宿題が、宿題のいわゆる提出期限を過ぎた中で今回の改正案提出になったと認識しております。  まず最初に、生活の党からも、鈴木法案提出者に共同提案者となっていただいておりますけれども、他党とともに提案者に加わることとなった経緯、理由について、御説明のほど、お願いいたします。 ○鈴木(克)議員 御答弁をさせていただきます。  生活の党は、憲法とは、国家以前の普遍的理念である基本的人権の尊重を貫徹するために統治権を制約する、いわゆる国家権力を縛る、そういう意味での立憲主義の考え方を基本としております。  同時に、憲法は、国家のあり方や国法秩序の基本を定める最高法規として安定性が求められる性格のものでもあります。したがって、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、国際協調という憲法の四大原則は引き続き堅持すべきであります。  一方で、憲法は、国民の生命や財産、人権を守るために定められ、平和な暮らしを実現するための共同体のルールとしてみんなで定めたものなので、四大原則を守りつつも、時代や環境の変化に応じて必要があれば改正すべき点は改正するとの考え方から、生活の党は本法案の共同提出者に加わることとさせていただきました。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  次に、三つの宿題への対応についてお伺いさせていただきます。  自民党、公明党による改正案原案が昨年十月にまとめられるとともに、現行法について、憲法改正国民投票法に係る検討課題、いわゆる三つの宿題への対応について、各党で大変活発な議論がなされたと記憶しております。生活の党でも、これら三つの宿題について考えをまとめ、協議に挑んでいく中で、今回の共同提案の改正案へとまとまるに至ったと伺っております。  それでは、この三つの課題、選挙権年齢等の引き下げ、公務員の政治的行為に係る法整備、憲法改正国民投票以外の国民投票への対応について、生活の党でまとめられた考え方との関係とともに、確認のために御説明をいただきたいと思います。 ○鈴木(克)議員 まず、基本的な認識として、国家の根幹をなす憲法を改正する手続に関する国民投票法については、できるだけ多くの会派が賛成して、あるいは、できるだけ多くの会派が共同で改正案を提出することが望ましいというふうに考えております。  今回の各党の協議のベースとなった自公案に対しても、我が党としては、主張すべきところは主張をしつつも、容認できるところはできるだけ容認をして、なるべく多くの会派の合意に基づいて成案を得ていくという方向で真摯に向かい合ったところであります。  その協議の中で、我が党が主張したのは次の三点であります。  まず最初に、選挙権年齢等の引き下げについては、改正法施行後四年以内という年限を限って必要な法制上の措置をすべきであること。二つ目として、公務員の国民投票運動に関し、政府は改正法の施行に当たって萎縮効果が生じることのないよう配慮すべきであること。三つ目として、憲法改正国民投票以外の国民投票については改めて検討条項を置くことでありました。  そして、一点目の選挙年齢等の引き下げについては、改正法の附則に年限を明らかにすることはできなかったけれども、各党の憲法問題に関する代表者が合意、署名した確認書の中に、二年以内という年限を明記する形で確認がなされたところであります。  また、二つ目についても、この確認書の中に一項目を立てて明確に記載をされており、我が党の主張がそのまま取り入れられたところであります。  三点目についても、我が党の主張を踏まえ、改めて改正法附則に一歩前進した形での検討条項が盛り込まれたところであります。  以上のように、本改正案は、三つの宿題のいずれの点についても、改正案本体あるいは確認書という形で我が党の主張が取り入れられたものとなっています。  したがって、我が党としては、我が党の主張を真摯に受け入れてくれた与党及び各会派の努力に敬意を表するとともに、冒頭申し上げた、憲法改正の土俵づくりともいうべき国民投票法改正に当たっては、できるだけ多くの会派の賛成を得る、あるいはできるだけ多くの会派が共同で改正案を提出することが望ましいという観点から、他の六会派とともに共同提出に至ったものであります。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  各会派、本当に、できるだけ多くの会派とともに共同提案に至ったというその御苦労、またその御努力に敬意を表させていただきたいと思います。  今回、改正案百二条では、国民投票運動を禁止する公務員の範囲について、現行法百二条で禁止されている中央選挙管理委員等に加えて、裁判官、検察官、公安委員、警察官についても罰則をもって禁止することとされました。  現行法が検討された過程において、当初の自民党、公明党案では、今回の改正案同様の範囲について禁止とされていましたが、議論が進められていく中で、裁判官、検察官、公安委員、警察官については削除され、成立をされています。  平成十八年十二月十四日、衆議院におきまして、田先生の御発言は、「国民運動が萎縮することを避ける意味でも、あるいは、そういう特定公務員の方々も、意見を表明する権利と投票運動とが非常にあいまいである、区別がつきにくいということも考えまして、裁判官、検察官、公安委員会の委員並びに警察官の部分を削除するということといたしました。」。  また、十九年三月二十九日、これも衆議院におきまして、保岡先生が、「憲法改正国民投票における意見表明は、主権者国民が直接に国政に対して発言できる重要かつ貴重な機会であり、それは裁判官や検察官等の職種についている者でも同じように保障されるべきであると考えたからであります。」とお話しされております。  昨年十月十五日の自民党の憲法改正推進本部、これは保利先生が本部長でいらっしゃいますが、改正原案がまとめられた際に、裁判官、検察官、警察官などが改めて禁止される者として復活するに至った経緯は、現行法成立までの議論の際の田先生や保岡先生の御発言の明快さからすれば、少々不思議にも感じるところであります。  裁判官、検察官、公安委員会の委員、警察官を国民投票運動を禁止する特定公務員とすることとなった議論の経緯をお話しください。 ○船田議員 今、小宮山委員から、七年前の状況も踏まえて詳しく御紹介をいただきまして、ありがとうございました。私も少し忘れているところがありましたので、思い出したところでございました。  そういう中で、先ほどの御質問にもありましたけれども、私どもは、自民党でありますけれども、公務員といえども主権者の一人としてなるべく自由に政治的行為においては行うべきである、しかし同時に、公務員の政治的中立性や公務の公正性を確保しなければいけない、またこれに対する国民の信頼も確保しなければいけない、この二つの命題がある、この二つの命題をどうやれば両立できるのかということで腐心をしてきたという歴史がこれまであったわけでございます。  そして、七年前の自公民三党での協議の中におきましては、やはり、公務員の運動について、これはなるべく自由であるべきではないかということが議論されまして、全面適用除外にする必要があるのではないかということで、当初の自公案を修正する意思を表明した、こういうことであります。それが、先ほど御紹介をいただいた私の答弁あるいは保岡委員の答弁であったと思います。  そのときに、やはり特定公務員につきましても、四職種に限定をしながらもこれは禁止とするという自公案、これも撤回をしたという状況でございました。  しかしながら、その後、我々としまして、この適用除外をした結果として、例えば、国民投票運動と同時に、あるいはその機会を捉えて、特定の候補者の投票依頼を行う、あるいは特定の政党の支持を促す、そういったいわゆる他の法令において禁止されている政治的行為もあわせてやられるということは、これはいかがだろうかということで、我が党内でもさらに意見が多く出されてしまいました。  そこで、許される政治的行為と許されない政治的行為を丁寧に切り分けなければいけない、こういう必要性があるという考えに至りまして、最終的にはこれを七年前には宿題と位置づけた、こういうことで現行法ができ上がっております。  今回、その宿題を解くということに当たりまして、一つは、純粋な賛否の勧誘や意見表明に限り、公務員もこれを行うことができる、一方で、他の政治的行為を伴うものは行うことができないということで切り分けをいたしまして、この点については、宿題の一方は解決されたというふうに思っております。  しかし、もう一つの命題である、すなわち、公務員の政治的中立性、公務の公正性をどうやって担保するかという問題は依然として残っているということでございまして、これにつきまして改めて我が党内で協議をし、自公の間で協議を行い、そしてマルチの場でも協議をいたしたわけでございますが、幸いなことに、特定公務員のことにつきましては、四職種に限定した形で禁止とするという点についてはほぼ合意を得られましたので、それを法案に盛り込むということになりました。  ただ、私どもが特に必要であると考えております、いわゆる公務員が組織により勧誘運動を行う点、それから公務員や教育者が地位利用によって運動を行うことに対する禁止はありますけれども、それに罰則をつけるということについて、これはまだまだ各党の意見が集約をされていないということで、これは今回、検討事項として合意事項に入れさせていただいた、こういう経緯がありました。  ですから、確かに七年間の間にさまざまな経緯はございましたけれども、基本的に、公務員の運動の自由の部分と、それからやはり影響力が大きいために規制をしなければいけない部分というものは丁寧にこれまでも議論をして切り分けてきている、このように認識をしておりますので、ぜひその点を御理解いただきたいと思います。 ○小宮山委員 大変明快に経緯をお話しいただきまして、ありがとうございました。  船田提出者からもお話がありましたが、今の経緯を見てもさまざまな経緯もあり、また各党が協力をし、今ここの時点に至ったんだとも感じております。  今後、この法案が生かされるときには、やはり国民が主権を持ったその意識を持ち、きちんと、現行憲法をどうするべきなのか、また自分たちが、国会はどうあるべきなのかも含めお考えいただき、行動していただくことにつながることを願わせていただきまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。