平成26 年3 月12 日 衆議院災害対策特別委員会速記録(議事速報)  この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。  後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。  今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○坂本委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 去る三月五日、大雪による被害状況視察のために私も山梨の方に伺わせていただきました。ハウス栽培のものが壊れていたり、被害の大きさというのは埼玉だけではないんだということを実感したとともに、この点に関しましてしっかりと対応を、初動の方はややおくれがあったけれども、きょうの委員会質疑においても、その分しっかりと対応していただきたいというふうに改めて要望させていただいて、質問に入らせていただきたいと思います。  さて、最初ですけれども、まずは、二月二十四日、予算委員会で、建物の設計基準の見直しの必要性などについて質疑を行いました。この後、国交省でも見直しのための作業部会を設置するなどと報じられておりますが、この経緯と内容、スケジュール感など、簡潔にお聞かせいただければと思います。 〔委員長退席、盛山委員長代理着席〕 ○井上政府参考人 お答え申し上げます。  今回の大雪被害を、特定行政庁を通じた調査、それから大規模なものについては国交省の職員による調査を行いました。小規模なものでも人的被害が大きい、また大規模な屋根の崩落も起こっているということで、しっかりこれはやっていかなきゃいかぬという判断をいたしました。  おとといの社会資本整備審議会で、専門家から成るワーキングチームを設置しまして、きょう三時から始めることにいたしております。  内容は、原因の究明、それから積雪荷重のあり方、あるいは構造基準の改善の必要性、維持管理のあり方、予断を持たずにしっかりやっていきたいと思います。基準をつくる必要があれば、その後、早期にできるだけ対応してまいりたいと思います。 ○小宮山委員 提案させていただいて、また答弁をいただいてからもそうですが、早急にこうやって作業部会を立ち上げていただいたことには感謝を申し上げますが、引き続き、しっかりとやはり現場検証を行っていただくこと、そして、今後新しい設計基準に移行した場合には支援なども必要になるかと思います。当該市町村からも意見を十分聴取していただき、取り入れていただくことを要望させていただき、次の質問に入らせていただきます。  また、同様でありますけれども、災害対策のための地籍調査というものが大変重要になってくるということは以前から指摘をさせていただいております。昨日の亀岡政務官からの平成二十六年度防災関係予算の概要説明などにおいても、地籍整備の推進ということが入っております。  南海トラフや首都直下など、この委員会でもたびたび質疑が出ておりますけれども、今後、この点をやるとなりますと、今地図が整備をされていない、そういった大変難しい地域になってくるかと思います。そして、この点に関してはかなりスピードアップをして、減災また復興というものに寄与する地籍調査、地図整備というものが大変ポイントになってくるかと思います。  この点について、スピード感を持って実施する必要があると思いますが、今後の取り組みと進捗の見込みについて改めてお聞かせください。 ○江口政府参考人 お答え申し上げます。  地籍調査を推進して土地の境界の明確化を進めるということは、土地取引の円滑化、町づくりの推進、それから防災対策や被災後の迅速な復旧復興のために極めて重要であるというふうに考えております。  それからまた、今後、南海トラフ地震や首都直下地震等の大規模災害による甚大な被害が想定される中で、地籍調査推進の重要性はますます高まっているというふうに認識をしております。  しかしながら、地籍調査の進捗率は、平成二十五年三月末時点で申し上げますと、全国平均でいまだ五割程度にとどまっておりまして、さらなる努力が必要であるというふうに考えております。  このため、国土交通省といたしましては、平成二十五年度補正予算、それから平成二十六年度の当初予算案におきまして、地籍調査に関しまして前年度を上回る所要額を計上いたしております。  それから、大規模災害が想定される地域におきましては重点的に調査を実施するということで、地方公共団体とともに地籍調査のさらなる進捗に努めてまいりたいというふうに考えております。 ○萩本政府参考人 法務省におきましても、登記所備えつけ地図の整備は極めて重要であると認識しておりますが、地図の整備の割合は、全国的に見ますと、約五四%にとどまっておりまして、必ずしも十分な状況ではありません。  そこで、法務省におきましては、緊急に地図整備を必要としている都市部の地図混乱地域を対象として、平成二十一年度から平成二十八年度までの八カ年で合計約百三十平方キロメートルの地域について地図を整備するとの計画を策定し、この計画に基づいて地図の整備を実施しているところでございます。  平成二十六年度におきましても、計画に沿って、約十七平方キロメートルの地図を整備することを予定しております。  今後とも、地図整備事業の重要性に鑑みまして、計画的な整備に努めてまいりたいと考えております。 ○小宮山委員 ぜひしっかり関係省庁と、また地方自治体も含めまして、共同していただいて、この地図混乱を早急に解決するためにさらなる努力をしていただければというふうに思います。  さて、月曜日の夜なんですが、テレビを見ておりましたら、防潮堤の設置など、無駄な復興予算が出ているという話が随分と盛り上がっておりました。この影響なのかわかりませんが、三月十一日の午前の官房長官の記者会見にも、防潮堤建設事業の見直しということが出ていたようであります。  当然、命を守る防潮堤のあり方、私自身も被災地を見せていただいたときに、その設置の仕方などは大変研究をされているということが話に出ておりました。そして、それが大切であることもわかっておりますし、また、別の視点でいえば、今までも国土強靱化などさまざまなときにおきまして、グレーインフラからグリーンインフラへの転換、森の防潮堤建設等さまざまなことを言っておりますが、自然を生かした、そういった災害対策というのも提案をしてきたところであります。  きょうはちょっと視点を変えさせていただきまして、なかなか、入り江で平地が少ない、そういったところに、海も見えなくなる、つまり引き潮も見えなくなるという意味では、安全な確保がこれによってとられるのかというのも、実はそのテレビを見ながら私も改めて不安に思ったところでございます。 そのときに思い出すのが、二〇一一年に国土交通委員会の視察でインドネシア・スマトラのあの地震の起きました現場であります、津波被災地であるバンダアチェを訪問させていただきました。  筆頭も一緒に行かせていただきました。  そのときに、日本の無償資金協力による、津波からの避難用の建物、避難ビルディングと最初は言っていたものが三カ所に建築され、その後には、インドネシアの資金ももちろん入って、さらに二カ所追加されたそうですけれども、住宅街の中にあり、徒歩で五分から十分ぐらいのところで、何千人という方の命が救われるというような建物になっておりました。一階はバドミントン場、二階は展示会や結婚式、三階は事務所としてというのでしょうか、ヘリポートとして使えるように、地域に溶け込むような形で、今はコミュニティービルディングという名前で利用されているというふうに伺いました。  こういったことを考えますと、このような、日本が協力をして津波避難ビルなどを建てられた事例もございます。こういったものの活用というのは大変今後とも参考になるのではないか。地域の方々とともに新たな、そういう意味では、津波被害を少しでも抑えるために現在どのように取り組まれているのか、現状をお聞かせいただくとともに、今後、東日本大震災の被災地と限らず、避難タワーなども、避難用だけではなく、恐らく展望台であったり、吹き抜けに波が通るようにつくっていますので、そこは多分漁業関係の方がお使いになるとか、さまざまな活用が考えられると思います。  こういった多機能の利用方法なども含めて、実施する地方自治体への交付金、補助金などの財政的支援についても含めて現状を改めて伺わせていただきたいと思います。 ○日原政府参考人 お答えいたします。  委員御指摘のとおり、津波避難のためのビルあるいはタワーというのは大変重要だというふうに思っています。  基本的に、マンションやホテルなど既存の建物を緊急時に所有者の御了解を得ながら避難活用する避難ビルと、避難専用の建物として建設する避難タワーがございます。これらにつきましては、石巻市におきまして居室つきの避難タワーの計画がございますし、それ以外にも、東日本大震災以降、全国的にさまざまな取り組みがなされてございます。  現在、その実態につきまして内閣府で調査中でございまして、例えば既存のビルにつきましては、構造がどうなっているかとか、高さがどうかとか、想定される津波に対してどのような関係になっているのか、あるいは新たにつくられるものについては、さらにそれに加えて事業費でありますとか、そういったものについても調査することといたしてございます。  いずれにいたしましても、そういったものを活用していただき、それから補助につきましては、特に南海トラフ関係におきましては特別地域につきまして特別の補助制度等を設けているところでございます。 ○小宮山委員 あわせまして、本日もお出ましいただいておりますので、西村副大臣からもぜひ、財政的支援などさまざまなことがあり得るかと思います、この点に関しまして御説明をいただければと思います。 ○西村副大臣 ちょっと想定しておった、お聞きをしておった質問と中身が違うんですけれども。  私も、高知県へ視察に行きましたときに、南国市で津波避難タワーとして整備されているのを見てまいりました。ただ、これが我々の被害想定、新たにやり直して内閣府で示したものからすると足らないということで、新たに追加的に工事をして、六メートルぐらいさらに高くするというような工事もありましたので、そうしたことについて、今後、南海トラフの、つくっていただいた法律に基づいて地域指定もしていきますので、さまざまな制度、特に国交省でいろいろな制度を用意していただいていますので、そうしたものを活用しながら、効果的な予算活用、予算の利用をしていただければというふうに思っております。 ○小宮山委員 そうですね。ぜひ、新しい想定ができた中で、それに適さない、既につくった既存のものが既存不適格という状態、法律違反ではない、制度違反ではないけれども、そういったところを放置することなく、迅速に対応ができる、それをまた計画ができるような支援をぜひしっかりと副大臣にもお願いをしたいと思います。うんうんと大きくうなずいていただいているので。 ○西村副大臣 もし補足があれば国交省から具体的な制度も御説明いただければと思いますけれども、津波タワーができていて、我々の最大規模の想定被害、想定される被害に対応していないものが近くにあったときに、それで大丈夫だと思ってそこに逃げられる、避難される可能性もありますので、そこは、今調査を行って今後策定するガイドラインの変更の中で、しっかりと、この津波タワーは最大規模のものには対応していないんだよということも周知をしなきゃいけませんし、それでは足らないというところをさらに高いものをつくる場合に、しっかりとできる限りの応援をしていきたいというふうに思います。 〔盛山委員長代理退席、委員長着席〕 ○小宮山委員 ありがとうございます。  最後の質問の項目となりますけれども、ことしの一月二十日には、障害者の権利に関する条約がやっと批准書を寄託いたしました。本当に長年、この関係の先生方には、また、外務省を初め厚生労働省や内閣府の皆様にも本当に努力をいただいたものであり、それに向けての、障害者の方からしっかりと声が上がり、国内法をきちんと整えてからの条約批准という、ある意味、大変理想的な日本の条約の批准の仕方だったのではないかなと誇りに思うところであります。  さて、災害の現場で見ますと、大変ショッキングなデータがございます。「東日本大震災 障害者の支援に関する報告書」という、日本障害フォーラムのまとめた冊子でございます。  この中には、二〇一一年九月十一日に、NHKの特集で、「取り残される障害者」と題した番組で、NHKが被災自治体を対象に聞き取り調査、主要被災三県、岩手、宮城、福島沿岸部の二十七市町村から回答を寄せられたものによりますと、総人口に占める死亡率は一・〇三%であったのに対し、障害者の死亡率は二・〇六%となっております。  また、その後ですけれども、行政の調査としては初になったというふうに報告書にはございますが、二〇一二年三月二十九日の「東日本大震災に伴う被害状況等について」、宮城県が取りまとめられたものにおきますと、宮城県沿岸部の大震災による死亡率は、総人口比で〇・八%、障害者手帳所持者比で三・五%となっております。前述したNHKの調査で約二倍、宮城県の調査では約四・三倍と、障害をお持ちの方々の、被災をされ、そして命を守れなかったという現実というものがこの数字から浮かび上がってきたんだと思ってお ります。  同じときに、この報告書のときですけれども、日本障害フォーラム制作のドキュメンタリー映画でございます、「生命のことづけ 死亡率二倍障害のある人たちの三・一一」というドキュメンタリー、大体三十四分ぐらいかと思いますが、この中にありますが、本当に、私も見させていただくと、生の声がわかるし、何が大変だったのかというのが非常にわかりやすく見ることができました。  その中で痛感したのは、やはり当事者でなければわからないことがあるんだということ、また、この東日本大震災の後、今回ではなく、前の政権交代、民主党になったときの政権交代の後の障害者政策の中では、一番大きかったのは、やはり、当事者がきちんとその政策策定の中に入るという方向性が出てきたというふうに実感をしております。これは、障害者の報告書の中にもありますが、本当に重要なことでありますし、当事者でなければわからないこと、本当に必要としていることを取り入れるということは重要かと思っております。  そこで、まずは、障害者自身がどうやって情報を入手するのかというところに問題もあるかと思います。この点に関しましても、大臣所信にも、やはり竜巻被害など、さまざま災害情報の伝達のあり方にも言及をされております。この点に関しまして、いかに対策に取り組んでいらっしゃるのか、御所見を簡潔にお聞かせいただければと思います。 ○日原政府参考人 お答えいたします。  障害者などの要配慮者に対します情報提供につきましては、その障害の内容に応じた情報伝達手段を確保するということは非常に重要であるというふうに考えております。  昨年八月に避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針というものを策定させていただきました。それにつきましては、今委員御指摘のとおり、障害者の方々ということで、お話にあった日本障害フォーラムの方の御支援等もいただきながら策定させていただいたものでございます。  その中では、例えば、目の見えない方、あるいは耳の聞こえない方ということに合わせた、耳が不自由な方にはファクスでありますとか、あるいは別に携帯端末で伝えるとか、そういったような多様な手段を用いることのほか、さまざまな工夫をすることとしております。  それに加えまして、昨年、法律改正によってつくられました避難行動要支援者名簿を活用して、そういった共助を利用した避難支援の仕組み、あるいは、平常時から構築された顔の見える関係を通じた住民の間での情報伝達など、そういった人間を使ったといいますか、ヒューマンな関係の情報伝達を含めて、確実な伝達が必要であるというふうに考えております。  引き続き、取組指針の周知等を徹底することによりまして、また先進事例を伝えることによりまして取り組みを促進してまいりたいというふうに思っております。 ○小宮山委員 平常時からの顔の見える体制を整えるというのは大変重要なことだと思います。  また、避難所などでは、障害や難病を持つ方への相互理解というものが大変重要になってくる。  知的障害をお持ちの方は、被災地で不安なことから、どうしても声を抑えることができない。結局のところ、やはり皆さん、不安な中にいる中では一緒にいられないということで、崩れかけた自宅に戻らざるを得なかったりなんというお話も聞こえてまいります。  DPI女性障害者ネットワークかと思うんですけれども、三・一一の際に、避難所への、そういった障害や難病をお持ちの方への対応マニュアルを印刷し、配付をして、大変効果があったというお話も伺いました。  不安を抱え、さまざまな状態が、一つのところに長期にわたり滞在していることなど、皆様方、本当に配慮が必要なところ。だけれども、配慮だけではなく、そもそもの相互理解をすることで、お互いに我慢するのでなく共存ができるような形になることを願ってやみません。  そこで、日ごろから、やはりこの障害者対策というものに対して啓蒙啓発していくということが大変必要かと思っております。そうでなければ、たとえその場だけマニュアルを配っても、災害のときに実際には活用ができないんだという思いがございます。  この点に関しまして、今後、社会としてまずは、これも防災対策につながるかと思います、差別解消等、そういった法律も通りました、どのような対応をしていくのか、お聞かせいただければと思います。 ○岩渕政府参考人 災害時を含めまして、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するためには、広く国民の関心と理解を深めていただくということが不可欠であるというふうに考えております。  このため、昨年九月に閣議決定をいたしました第三次の障害者基本計画におきましては、国民の障害及び障害者に対する理解を促進するための取り組み、とりわけ、難病を含め、さまざまな障害特性や、その障害特性を踏まえた必要な配慮等に関する理解の促進を図ることを盛り込んだところでございます。  政府といたしましては、障害者基本法に定められた障害者週間、毎年十二月三日から九日まででございますが、ここにおきまして、内閣府を中心に、関係省庁、地方公共団体、障害者の関係団体、企業等の協力のもとで、全国各地においてさまざまな行事を集中的に実施するなど、積極的な広報啓発に取り組んでいるところでございます。  引き続き、国民の理解を深めていただくための取り組みを進めてまいりたいと存じます。 ○小宮山委員 ぜひ、社会からの取り組み、内閣府におきましては、当事者の方の声もしっかりと受けとめていただき、一緒に共生する社会をつくらせていただければというふうに考えております。  さて、最後になりますけれども、今お話ありました、ともかく、やはり命を授かって生きている、その人たちを救うことも大切でございます。そして、命ある限り、きちんと全うできるようにするということも必要かと思います。それにおいては、健常者も、障害を持っている方、難病を持っている方も分け隔てなく、その機会はしっかりと与えられるようにするのが政治の使命だと思っております。 社会的弱者になりがちな、子供や身体的機能が  低下する高齢者、障害者や難病を持った方々など、自力だけでは助からない可能性が高いと言われているそういった方々の保護、安全確保に対して、防災大臣として留意、大切にしている点を最後に伺わせていただきたいと思います。 ○古屋国務大臣 今、委員御指摘のように、要支援者、要介護者あるいは子供、それから社会的弱者と言われる方々に対しては、きめ細かな配慮が絶対必要ですね。  昨年、法律改正をしましたので、要配慮者に対して措置をしなさいということを義務づけたところですけれども、市町村もそういった名簿をしっかり、個人情報保護の壁を乗り越えてつくっていただくということになりましたけれども、実は、南海トラフで数十メーターの津波が来るというところのある首長さんもこんなことを言っていました。どんな方であっても、住民には一人も避難放棄住民をつくらない、特に要支援者、要介護者の皆さんに対してはきめ細かな対応が必要である、そういった名簿も作成をいたしておりますと。これは一つのいい例だと思いますね。  そういったことをしっかり、ソフトウエアの対策という視点から、市町村長には、そして地方公共団体にはそんな取り組みをしていただくように、我々からも督励をしていきたいと思います。 ○小宮山委員 ぜひ、自助、公助、共助、この三つのバランスをきちんと保ち、そして災害に備えさせていただければと感じております。  ありがとうございました。