平成25年11月14日 衆議院災害対策特別委員会速記録(議事速報)  この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。  後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。  今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○坂本委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 生活の党、小宮山泰子でございます。  きょうは、四名の皆様、本当に貴重な御意見、また研究をお聞かせいただきまして、ありがとうございます。私が最後の質問者となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  さて、まず最初ですけれども、平田先生にお伺いしたいと思います。  日経ビジネスの、これは去年のですか、記事等も読ませていただきました。その中で、「東京に大地震が起きていないのは幸運でしかない」という見出しの記事がございました。先ほど東北地方の地殻変動の御説明を伺ったときにも、東西に現在も伸びているという御説明もありました。大変心配もするところでもありますし、先週の参考人質疑におきましても、必ず来るんだという、その思いでいなければならないんだということ、災害はいつ来るかわからない、忘れたころにやってくるなんという言葉は昔からございますけれども、本当にそのとおりなんだなというふうに思っております。  そこで、私、住んでおりますのが埼玉県でございまして、北関東の部類になるんだと思いますが、南関東を随分と取り上げておりますけれども、首都圏といった中で、内陸のところというのはなかなか取り上げられることがございません。この点に関しての研究の進みぐあいとか、特に、津波が来るエリアでもない、また、そういう意味では、濱田先生にもお伺いしようと思っておりますけれども、今後、恐らく内陸に向けての緊急輸送道路とか、そういうものも考えていかなければならないんだというふうに考えております。  そういった意味で、トータルな面で捉えると、この点に関しましてどんな研究が今されているのか、予知がされているのかというようなこともちょっとお聞かせいただければというふうに思います。 ○平田参考人 お答えいたします。  内陸の地震というので一番記憶に新しいのは、やはり平成七年、一九九五年の阪神・淡路大震災を起こした兵庫県南部地震でございます。この地震は、いわゆる活断層で起きた地震ということになっておりますが、実はその後、地表ではっきりと活断層として認められていないところで、例えば二〇〇四年の新潟県中越地震であるとか、あるいは宮城県の地震などが起きております。それから、東北の地震の後でも、茨城県と福島県の県境付近では、一種の余震ですけれども、それでもマグニチュード七を超える大きな地震が起きて、人的な被害もございます。  そういった観点からいうと、平均してマグニチュード七程度の地震は内陸で一年に一回以上は起きているわけですから、それが人の住んでいる都市部あるいは市町村で起きれば被害が出るということでございます。ということは、皆さんが住んでいる場所の揺れやすさというのを日ごろからよく理解して、それで、日本の耐震技術というのはすぐれているものがあると私は思っておりますので、いわゆる新耐震以前の木造家屋についての耐震化等を進めるということは重要でございます。  残念なことに、地震学では、内陸のどこでいつ地震が起きるということを十分な精度で言うことは今はできませんので、これは何%という、そういう平均的な頻度の概念を使って十分な備えをする必要があるというふうに思っております。  以上です。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  東日本大震災の直前に起きましたニュージーランドのクライストチャーチも、たしか内陸でありました。私も被災地へ行かせていただきましたけれども、本当に、過去の記録がしっかり残っているかどうかというのは大変重要なことだと思います。また、研究が進むということによって今後の予知というものに役立てていただけるような、そういった体制を御支援できればなというふうに思っております。  さて、コンビナートのこととか、本当に考えなければいけない問題がたくさんあるんだと思います。東日本大震災のときも、海外からの物資輸送など、そういう意味では、海からちゃんと運んでということはあったにもかかわらず、残念ながら港湾に船を横づけすることができなかったということも伺っております。  また、そういったことになりますと、やはり先ほどから佐々参考人さんからも、二十四時間以内というのは、どんな状況になっているのか、情報を収集することがやはり難しいというお話もございました。その中で、もちろん緊急の備えとしての港湾部分というのも大変重要かと思いますが、首都圏ということで限って考えてみますと、内陸へ向けての避難路というものも大変重要になるのではないかというふうに思っております。  先生の研究の中でその点があるか、申しわけございません、事前に調べておりませんけれども、そういった観点での議論等がございましたら、御紹介いただければというふうに思います。 ○濱田参考人 首都圏で地震が起こったときの緊急対応、緊急物資、人員の輸送路については、いろいろ議論をされてきているわけですが、先ほど東京湾の話をしましたが、東京湾に国土交通省が基幹的防災拠点というのをつくった。ここは、船舶で物資あるいは人員を東扇島に集めて、小型船舶で被災地に運ぶということなんですが、先ほど申し上げましたように、これが本当に機能するのか。同じ国土交通省の中でも、基幹的防災拠点をつくっている部局と航路を守ろうとする部局、これは分かれております。その連携がないまま、こういうものになったということだと思います。  それから、陸路につきましては、東名高速道路がどうなるか、第二東名がどうなるか、中央高速道路が使えるのか、そういう検討もしております。  これからもしなくちゃいけない。  交通機能を確保するためにどこを補強すべきなのか、どこにお金をかけるべきかというようなことを検討していく必要があると思います。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  大変興味深いことだと思いますし、また、私の住んでいるところは、関越自動車道も通っております、また圏央道も開通をしている部分でありますけれども、本当に、先ほどから藤井参考人のお話を聞いていると、何を優先したらいいのかというのは大変迷うところでもあり、また、それよりも、強靱化ということは、もしかすると、今まで単体で、先生も今、分かれて計画されていたり検討されているというのがありましたけれども、そういうものを複合的に、価値観をふやすという話なのかなと。であるならば、なおのこと、物を四方から見るからこそ、優先順位というのをつけるのは大変難しくなるなというふうにちょっと感じているところでもあります。  先日、首都直下の法案の質問をさせていただいたときに提案させていただいているんですけれども、どちらかというと、もしかすると、一番は、首都機能の、中枢の機能を守るという、特化した法案というものが本来必要だったのではないかという思いを最近はしております。それによって明らかなる優先順位というものが設けられるんじゃないかというふうに思ったところでもあります。  ちょっと時間もありますので、本当は皆さんにその点も伺いたいところなんですが、本日、ちょっと印象的だったのは、佐々参考人から平成七年の二月九日の議事録を配付いただいております。  あらあら読ませていただきながら、本当にきょうも同じ主張も随分見受けられました。逆に言えば、私自身、阪神・淡路大震災、地下鉄サリン事件があったあの年に初めて県議会議員にならせていただき、被災地にも行かせていただいた。そういった中で、このような議論がその後あってということを考えますと、正直申し上げまして、特に当時はまだ自民党政権、その後も随分長くありましたので、なぜ進まなかったのかなと素直に思ったところでもあります。  そこで、きょうの観点ではなかったんですけれども、佐々参考人にぜひ伺いたいのは、広報のあり方ということをお聞かせいただきたいんです。  「むつ」などの担当をされた御経験から、さまざまな広報の仕方というものがあるんだというふうに思いましたし、また、二十四時間の間、現場の情報を、担当されている方が上げることができないからこそ、その間、どのように上げるのか。  また、福島第一原発の後、やはりそのときの情報提供というものが後になって間違っていたという情報、それによってさらに不信が募るということもあります。  事実は事実としてしっかりと伝えるべきである。  しかし、最近よくありますのが、不安をあおるなということをよく言われます。今も、議事録の関係で、私自身、同じようなことで、かわいそうだからとかそういった印象の問題で、議事録の削除を求められた経験もございます。  そういう意味においては、後々きちんと検証される、そういう時代だと思いますので、やはり初期の段階、また途中の段階も含めまして、真実をきちんと広報する行政のあり方、そしてそれを伝えるための、大変さまざまな情報が錯綜している中で伝えるわけですから、どういった、広報官というんでしょうか、そういった方々の情報を伝える技術を磨くべきなのか。長年のさまざまな経験から何か示唆することがございましたら、ぜひ佐々参考人にはそのことを私どもに教えていただければというふうに思います。 ○佐々参考人 大変時間のかかる答弁になりますが、できるだけ簡単にいたします。  まず第一に、優先順位のことをしきりにおっしゃっていますね。優先順位は、やはり命だと思うんです。  それで、何よりも、やはり今、日本の危機管理システム、特に災害対策で一番欠けているのはトリアージなんです。  トリアージシステムがあるのとないので物すごい差が出てしまったのが、一九九四年の一月十七日、ロサンゼルスでノースリッジ大地震というのがありまして、震度も六・九だし、三百万都市のロサンゼルスがやられて、三十万人が避難して、三万人がけがして、二百カ所火事が起こって、ほとんど、起きた時間が四時三十五分ですから。  その三万人がけがしたのが、アメリカの場合は、FEMAが、大統領直属の連邦機関がすぐ出動して、何が違ったかというと、医療体制なんです。トリアージドクター、トリアージというのはTRIAGEですけれども、フランス語なんですね。  ナポレオンのつくった野戦病院の原則と言われています。一人の負傷者を助けるために十人の兵士を死なせてはいけない。つまり、優先順位の判断をして、重傷者をすぐ手術なり集中治療室に入れて命を取りとめろ、これがトリアージの本質なんです。アメリカの場合、それが機能しまして、全米から登録されているトリアージドクターがロサンゼルスに自動的に集まってくるんですね。ですから、死者の数が六十一名なんです。  ところが、日本は、同じような条件の大地震があって、そして、始まったのも五時四十五分で同じようなものでしょう。それで、トリアージドクターはありません。日本では、全部命は平等というので、悪平等で、番号札を配って先着順というのをやったんですね。だから、日本は六千四百三十四、アメリカの百倍死んでいるんです。  だから、一番大事なのは、きょう、この災害対策特別委員会にぜひお願いしたいのは、厚生労働委員会の仕事かもしれませんが、災害という観点から、死者の数を減らすには、絶対にトリアージドクター、優先順位を、治療順位を決める。  これは、それを見てきた石原慎太郎都知事は、トリアージカードというのを導入しまして、災害訓練のたびにそれをやっています。一番上が黒、赤、黄色、緑です。それで、ドクターが判定して、死んでいるとなったら黒だけ残してちぎっちゃうんですね。それで、重傷は赤です。それで、パトカーや救急車は、赤カード、赤カードと拾っていって、病院は最優先にこれを手術して治療します。  ところが、日本の場合は、軽傷者の若者が、元気なやつがみんな救急病院に集まっちゃって、これがまた、今の若者というのは自己中心ですから、俺を手当てしろといってみんな要求するわけですよ。その結果、病院は先着順に番号札を配った。  これは大失敗で、待たされていた重傷者がみんな死んじゃったんですよ。  それは、発表の仕方というのがありましたけれども、消防庁の最初の発表は五千人ぐらいでしたか、それは伊勢湾台風をしのぐ大変な死者の数で、参ったなと思っていたら、一週間ぐらいしたら、突然六千台になるんですよ。千人が生死の境をさまよっていたということですね。アメリカの場合は、これがみんな救われちゃっているんです。そのトリアージドクター制度をどうしてもやはり導入していただく。  それから、新聞発表は、これは、今の虚偽表示のホテルの発表というのは反面教師です。よくもあんな下手くそな、虚偽表示ですと言って謝ればいいのに、特にアメリカの、あの総支配人の記者会見、これはみんな現場に責任を押しつけちゃっている。ああいうのが一番いけないですね。 ○坂本委員長 佐々参考人に申し上げます。簡潔に御答弁をお願いいたします。 ○佐々参考人 はい。どうも済みません。  そういうようなことで、絶対にうそを言っちゃいけない。後でばれるうそは言っちゃいけない。  いろいろなルールがあるんですけれども、時間が来ましたので、これで打ち切らせていただきます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  ばれないうそはないんだというふうに思って広報されたらいいなというふうに思いました。  また、トリアージについては、私も県会議員のときに県の方で提案をさせていただいたのをちょっと懐かしく思っておりますが、しっかり普及することで多くの命が救われることを願っております。  藤井参考人は残念ながら時間の都合で質問できませんが、今後さまざまな中でお伺いすることもあるかと思いますので、その節にはよろしくお願いします。  本日は、貴重な御意見、ありがとうございました。