平成25年11月8日 衆議院環境委員会速記録(議事速報)  この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。  後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。  今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○伊藤委員長 次に、小宮山泰子君。 ○小宮山委員 福島の第一原発の事故以来、原発に関して、また、その規制のあり方、そういった周辺に関しても、大きな価値観や見方、また、何よりも、あり方や必要性というものの重要性等、さまざまなものが変わってきたんだと思います。  繰り返しになりますけれども、本日の議題になっております独立行政法人原子力安全基盤機構の解散に関する法律、これは平成二十四年六月に成立した原子力規制委員会設置法の附則から成っているものであります。 法制上、速やかにということで、これが実行されていくわけでありますが、この十年間というもの、機構の評価と成果、規制委員会への統合に期待される点について、まず確認させていただきたいと思います。  独立行政法人原子力安全基盤機構は、二〇〇三年十月に設置され、ちょうど十年を迎えたところであります。私自身、あしたが実は十年目なものですから、本当に同期と言えるようなもので、また、こうやって新しいステージに行くということに関してはいろいろな思いもありますし、この十年というのは大変な時代の変化があったかと思っております。  まずは、独立行政法人として存在しているこの十年間について、機構による事業成果並びにその評価について政府としてどのように捉えているのか、お聞かせいただきたいと思います。 ○田中政府特別補佐人 お答え申し上げます。  原子力安全基盤機構、JNESは、まず第一に、原子力安全確保に関する最新の科学的知見の収集、それから技術的検討を踏まえた原子力規制委員会への提言、あるいは原子力関連施設の検査業務、それに、緊急時に備えた、原子力関連施設、緊急時応対センター、あるいはオフサイトセンターなどを結ぶ情報システムの構築とか運用等を行って、全般的に原子力規制行政を技術的に支援してまいりました。  特に、原子力安全確保に関する最新知見の収集、技術的検討を踏まえた提言につきましては、例えば、火災防護対策の一つとして、原子力発電所内のケーブル被覆材の有効性に関するデータの集積、こういった評価も行いまして、これは今般の新規制基準にも反映されているところでございます。  また、東京電力福島第一原子力発電所の事故の後になりますけれども、これは旧原子力安全・保安院からの業務依頼になりますけれども、保安院に専門家を派遣して技術情報を提供したり、現地対策本部に資機材、人材を提供したり、国内への情報発信とか、あらゆる支援を行ってまいりました。  今後、原子力規制委員会としましては、これまで原安機構が有してきました専門的、技術的能力を一体的に規制行政に生かす、そういったことができるというふうに原子力安全基盤機構に対しての評価をしておりますので、非常に私自身は大きな期待を持っているところでございます。 ○小宮山委員 最近は、本当に相次ぐさまざまな事故や汚染水の問題、さまざまな調査をしなければいけない、技術的にしっかりと捉えなければならないことが多く出てきているようでありますので、この点をぜひしっかりとまた生かしていただければと思います。  本当は最後に聞く方がよろしいのかもしれないんですが、本法案が成立いたしましたら、機構が規制委員会に統合される、これは、大変独立性も高くなっている委員会に統合されることで、これまでに増して期待されること、それについてどのように環境省として考えているのか、お聞かせいただければと思います。 ○石原国務大臣 ただいま田中委員長の方から、国民の期待にしっかり応えていくというようなお話がございました。私もまさに同意見でございまして、専門性が高まり、それによりまして、原子力の安全確保に向けて、国民の皆さん方が、規制官庁がしっかりしているから大丈夫だね、こういうふうに思われることがやはり一番肝要だと思いますし、これももう既に御答弁の中にありましたが、国会事故調の指摘の中で、とりこになっているという言葉が書いてあります。規制する側と利用を推進する側が一つのところにあって、それによって、専門性もなく、電力側の言いなりになっていたということはやはり否めない、そういう報告が事故調の中で示されている。こういうことに対して、今後はそういうことがないということを示していく上で、私も、一国民としても、やはり、この新しい組織に、安全確保に向けて国民の期待に応えていってもらいたい、こんな思いでございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。  JNESは、その誕生から現在に至るまで、業務内容の専門性、特殊性から、職員の採用についても特別な状況が見られます。当初、原子力関係事業に携わってこられた人材を集めて発足した機構は、その後も、中途採用により、知見、経験を有する人材を多く採用してきたと伺っております。  機構の職員の年齢構成は六十歳以上が多く、若年の職員が少ない。また、若手を内部で教育していくことが大きな課題として認識されており、直近には新卒採用も多くされているようであります。  若手の教育はもちろん重要とわかりますけれども、職務内容から考えると、原子力関連事業の現場に携わって、実際にそこを知っている人材を採用するということ、中途採用を続けていくということも重要かと考えます。  そこで、非公務員型の独法から国の組織の一部へと変わることで、必要な人材採用に対し支障を生じることがないのか、所見を伺いたいと思います。 ○田中政府特別補佐人 中途採用に関しましては、原子力安全基盤機構にとどまらず、私どもにおいても、即戦力が非常に大事だということもありまして、原子力分野における実務経験者の採用を継続して積極的に今実施しております。そういう意味で、メーカーとか電力会社等の現場での実務経験豊富な専門人材を、なかなか思うようには集まりませんけれども、少しずつ、かなりの人数を採用してきております。  また、新卒採用に関しましては、原子力工学分野の知見を有する学生の採用を、これまで以上に採用できるように、規制庁の採用試験において来年度から原子力工学分野の試験区分を追加するということで、今、関係省庁にもお願いしているところであります。  いずれにしても、原子力分野の専門知識を有する者の採用、これは中途採用、新卒にかかわらず、積極的に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。 ○小宮山委員 なかなか原子力分野を専門とする学生さんたちの数が必ずしもふえていないという話もあり、大変難しいかと思うところもありますが、ぜひ、この分野に関して多くの方が興味を持ち、その道に入っていただきたいなというふうに私自身も思います。  さて、国家公務員の退職後の再就職に当たっては、いわゆる天下りや管理監督する業界団体への就職に対して、世論の厳しい目線が集まっているところでもあります。本機構では、その性質上、原子力関連事業者から多くの中途採用を受け入れているのも事実であります。規制委員会に統合後は国家公務員として活動するわけですけれども、関連の業界団体とのなれ合いのないようにしなければならないと感じております。やはり批判を生じるようなことはないようにしなければならない。  特に、原発推進といった今までの大きな流れの中で来たものでもあります。これから早急に廃炉ということも進めなければならない中で、その関係性というのは大変難しいものがあるんだとは思います。天下りや業界への再就職で多くの批判を受けていたのと、また官から民という流れ、本当は、今回は珍しくというんでしょうか、民から官になるということで、原子力規制委員会への中途採用の事例として誤解のないようにしっかりと説明をする必要があるのではないかと考えております。  この対策というんでしょうか、お考え、また方策などを教えていただければと思います。 ○森本政府参考人 お答えいたします。  原子力分野で実務経験者の採用というのは、組織の専門性を高める上で極めて重要だというふうに考えてございます。そういう意味で、民間企業の出身の方も非常に貴重だというふうに考えてございます。  ただ、今回の職員の採用という面におきましては、民間企業を退職した上で、これまでの経験を生かして原子力安全に貢献したいという強い志と覚悟を持って来ていただく。特に、いわゆる片道切符という形で採用させていただいているという形でございます。  そういう意味で、関連業界とのなれ合いといったことにはならないように考えてございますが、こういった点については、先生おっしゃったとおりに、外に向かっても言うことは必要でございますので、規制庁の会見でも説明してきましたし、今後とも説明していきたいと考えてございます。  また、規制委員会自身は、規制の判断を行う場合に、公開の場で議論を行うというルールを徹底しておりまして、全て、資料も含め、あるいはユーチューブ等で公開をするというふうに変わってございます。そういった意味で、社会の監視のもとにございますので、そういった、原安機構の統合が関連業界とのなれ合いといったような批判を受けることがないように、今後とも、透明性のある規制行政というやり方を進めてまいりたいというふうに考えてございます。 ○小宮山委員 あと、六十歳以上の職員を採用できることについてお伺いしていきたいと思います。  本法案の附則第四条において、機構の六十歳以上の職員を、国家公務員の再任用制度を準用して原子力規制委員会に採用可能としております。  現時点で、高度の知見と経験を有する六十歳以上の職員が多数在籍されており、また、大変、採用の過程から、長く、しっかりといていただいているんだとは思いますが、かつ、これらの貴重な人材が、規制委員会においても引き続き職務についていただかなければならない。国民の期待する原子力規制業務が十分に果たせることが必要だと思っておりますし、彼らを採用する可能性ということは大変妥当であるというふうに考えております。  その上で、そうはいいましても、いつまで、どのような形で継続して働いていただくのか、また、技術の継承、経験の継承というものをどうしていくのか、処遇、待遇についてどのように考えるのか、もう少し詳しく、明確にお聞かせください。 ○森本政府参考人 お答えいたします。  おっしゃるとおり、原安機構の六十歳以上のベテランの職員という方々は、原子力発電所の建設の最盛期を経験された方、そういう意味で、実務経験の非常に豊かな、貴重な戦力でございます。  統合によって、これらの職員の専門的な知識とか経験が生かされるようにすることは、私ども、大変重要だというふうに考えてございます。  このために、統合後の業務に必要なポスト、それから定員の確保、これについては、関係省庁とも相談をしつつ、しっかりと確保するように尽力していきたいというふうに考えてございますし、それから、採用時の給与決定などにおいて、原安機構在職時に相当する処遇を確保するということについて最大限配慮をしたいというふうに考えています。  統合後は、こうしたベテランの職員も国家公務員制度の枠組みの中で働いていただくことになるんですが、その際には、現在原子力規制庁で働いている職員との処遇の均衡も考慮する必要はございます。その辺も考えながら進めていきたいと思ってございます。  いずれにしても、最後に先生おっしゃったように、こういったベテラン職員の知見や経験の伝承、若手の人に伝えていくということは非常に重要でございますので、そういうことを進めて、規制委員会全体のレベルを上げていきたいというふうに考えてございます。 ○小宮山委員 今回、大変珍しいパターンで、独立行政法人、民間から公に入ってくるわけですけれども、正直、採用されたときに、独立行政法人に入ったわけですけれども、まさか公務員というんでしょうか、の立場に入っていくとは考えていなかったのではないか。というお話も聞いております。  独法から原子力規制委員会に統合された後の、独立されているとはいえ、環境省の管轄下であります。一般的な省庁内の人事異動の一環という想定もできるのではないかと思います。管理職、中間職、そのほか職員として移動してくることというのも想定されるのか、その点に関しましてお聞かせください。 ○森本政府参考人 お答えいたします。  やはり、原安機構で働いていた方というのはその知識経験が非常に重要、統合によっても、その知識経験を最大に生かしていくということが重要でございます。そういった意味で、原安機構で行われていた専門的な業務というのを、当面、その原安機構の職員が引き継ぐという形を考えてございまして、その必要があるというふうに考えてございます。  一方、組織の融合を進めるに当たりまして、人事を一体的に進めていくことも重要でございます。  それによって、旧規制庁の職員と旧原安機構の職員が人事交流を進めて、全体としてさらに専門性を高めていくということは、規制委員会全体として必要なことでございます。  他省庁との交流につきましても、原子力規制庁の中だけで閉じこもるということではなくて、幅広くやっていただくのも、行政官としての視野を広くするという意味では重要だと考えてございます。  いずれにしても、専門性の蓄積、それから原安機構の方々の専門性の活用ということを視野に入れて、しっかりと踏まえて、対応していきたいというふうに考えてございます。 ○小宮山委員 当然、現在の機構も、職員であっても全員が専門家ではなく、一般事務の方もいらっしゃるわけですし、実際に、規制庁の方にも、環境省の方から行かれている方もいらっしゃいます。そういう意味においては、入ったときは独法だけれども、出るときは公務員という形で、年金のあり方も恐らく変わるのかなと。うなずいているから、そうなりますよね。  非常に、人生どうなるのかなというところはありますけれども、ぜひ、そうはいいましても、大変この分野、技術者であれば、そういう意味では工学でさまざまな、世界じゅうで活動の場がある中での採用ともなります。また、その中で、それを支えてきた事務職の方、そういった方たちもきちんと処遇をしていただいて、本当の意味で新しい規制庁、ボトムアップして、多くの方が期待をしっかりと受けとめられるような、そういう規制庁にしていただきたいというふうに思っております。  うなずいていただいたんですが、ちょっと最後にその点、改めて委員長、聞かせていただければと思います。通告はしておりませんけれども、これからの規制庁のあり方について、一言いただければと思います。 ○田中政府特別補佐人 そもそも、私ども原子力規制委員会が三条委員会として発足をさせていただきましたのは、やはり、福島第一原子力発電所の事故を受けて、今後これをどういうふうに、国民の信頼を原子力安全規制行政において確保していくのか、回復していくのかということが私に課せられた最大の課題だということを再三申し上げてきました。その思いは今でも変わっておりません。そのために必要なこととして、今般の原子力安全基盤機構の統合もあるというふうに思っております。  ですから、こういったことを踏まえながら、先生御指摘のように、きちっと私たちに課せられた役割を果たすよう、最大限の努力を傾倒してまいりたいと思います。 ○小宮山委員 田中委員長には、議運の理事会の席におきまして質問させていただいたところ、まだまだこの福島第一原発の事故、収束しているとも言えないと明確におっしゃっていただきました。  あの言葉というのは、私にとりましては大変衝撃的でもあり、かつ、現実をしっかり捉えていらっしゃるなという思いもしております。ぜひこれからも、まだまだ事故は収束した状態ではない、また、さらに問題が発生をしているという中で、規制庁の役割は大きいと思います。これから新しい組織として、そして専門家の方々が入るからこその役割をさらに担っていただくことを期待いたしまして、私の質問を終了いたします。  ありがとうございました。