平成25年6月13日 衆議院消費者問題特別委員会速記録(議事速報) この議事速報は、正規の会議録が発行されるまでの間、審議の参考に供するための未定稿版で、一般への公開用ではありません。 後刻速記録を調査して処置することとされた発言、理事会で協議することとされた発言等は、原発言のまま掲載しています。 今後、訂正、削除が行われる場合がありますので、審議の際の引用に当たっては正規の会議録と受け取られることのないようお願いいたします。 ○吉川委員長 次に、小宮山泰子さん。 ○小宮山委員 生活の党の小宮山泰子でございます。 本日は、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案について質問させていただきます。 朝から大臣の答弁を伺わせていただいて、本当に、弁護士として活動されていたということ、また、その中での経験でこの法案が閣法として出されたということを、大変合理的にというか、非常に重く感じるようになりました。 実務の中において、やはり大資本と個人という明らかなる資金力や情報力の差というものを目の当たりにしたからこそ、この集団的な訴訟についてやはり進めるべきであると考えられたんだというふうに捉えておりますが、それでよろしいでしょうか。 ○森国務大臣 そのとおりでございます。 ○小宮山委員 ありがとうございます。 本当に、今回の法案に関しましては、この法案によりまして、情報力や交渉力の格差などで、これまで不十分であった被害者の実効的な被害回復の可能性を広げるものであると消費者団体も望んでいるものでありますし、また、国会におきましても、平成十八年のときの附帯決議、また、これに関係するものでいえば、平成十二年のときから、国会におきましても、関係の委員会におきまして、附帯決議という中で、この問題は取り上げられてまいりました。そういう意味においては、やっと実現をするということにおいては、国会側からの意思というものもあるんだというふうに思っております。 それでは、具体的にどういった方が訴訟ができるのか、そして、その中での具体的なことを、まず初めの質問でございますので、確認をさせていただければと思っております。 まず、消費者の財産的被害の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律案で、被告、原告となり得る者についてお伺いさせていただきたいと思います。 対象となる請求については、事業者が消費者に対して負う金銭の支払い義務であって、消費者契約に関するものとされ、法第三条一項の一号から五号に示されております。 また、昨今では、国際化の中において、インターネットの通信販売や、さまざまなものが活用され、国境というものも、その中では見受けられないということもあります。 この中で、インターネット通販等での海外の事業者は被告となり得るのか。日本に法人があれば、その所在地などで訴えられることと思いますけれども、昨今では、国内だけではなく、海外のままEコマースなどで提供するということも可能だと思います。 この点に関しての御見解をお聞かせください。 ○川口政府参考人 御質問でございますが、本制度において被告となり得る事業者として、海外の事業者を特に明示的に除くということはしておりません。ただ、訴えを提起することができるかどうかにつきましては、当該訴えにおいて日本の裁判所が管轄権を有するかどうかということによって決まるということでございます。 お尋ねのケースのように、外国の事業者が、日本国内に事務所または営業所を設置することなく、日本在住の消費者とインターネット等を用いて直接取引を行った場合、当該事業者と日本の消費者との取引実績等の諸事情を考慮いたしまして、当該外国の事業者が民事訴訟法第三条の三第五号におきます日本において事業を行う者ということに該当すると認められるときには、その取引に係る訴えについて日本の裁判所が管轄権を有することになると承知しております。 ○小宮山委員 ケース・バイ・ケースで、対象になるかならないかというのは裁判所の判断というようなことになるかと思います。 それでは、例えば海外在住の者が訴えの原告となり得るのか、お聞かせください。 ○川口政府参考人 本制度におきまして、対象消費者は、二段階目の手続におきまして団体に授権をいたしまして、債権の届け出がなされるということになっております。 二段階目の手続に債権を届け出ることができるかどうかにつきましては、消費者が海外在住者であるか否かにかかわらず、事業者の主たる事務所または営業所が日本国内にあるときには、消費者の主張する権利に係る訴えについて、民事訴訟法上、日本の裁判所が管轄権を有する限り、することができるということとしております。これは、条文上、第三十条の第三項に規定しているところでございます。 ○小宮山委員 海外のように、特にアメリカであれば、一九六六年からクラスアクションなどがありまして、もっと厳しい訴訟も起こせるんだとは思いますが、今回の法案はそこまでのことではないわけですから、この点に関しましては、恐らくは、海外に途中で赴任をしなければならない、転勤をされるとか、そういったようなことがあり得るんだと思っております。 では、対象者でありますけれども、宗教法人、政治団体、NPO団体、金融機関は、訴えの対象、被告となり得るのか、お教えください。 ○川口政府参考人 まず、金融機関は事業者でございますので、これについては相違のないところだと思います。 本法律案では、本制度による訴訟の被告となり得る事業者につきましては定義を置いておりまして、法人その他の社団または財団及び事業を行う場合における個人をいうものというふうに定義をしております。 御指摘の宗教団体等につきましては、法人その他の社団または財団に含まれまして、事業者に該当するものであるということで、本制度による訴訟の被告となり得るというふうに考えております。 ○小宮山委員 恐らく、この点に関しましては、今までも、霊感商法であったり、また、NPO団体を名乗ってというものも、悪質な業者では、業者ですよね、多々見受けられます。 本当に真面目にやっているところがそのおかげで大変イメージダウンになるとかありますので、この点に関しても、ぜひ多くの方には注意喚起をしていただきたいという点でございます。 それでは、今までもありましたけれども、被告が既に破産または廃業、解散している場合、これは訴追の対象になるんでしょうか。 ○川口政府参考人 お答え申し上げます。 被告が破産あるいは廃業、解散している場合は被害回復を図りがたいということは、本制度のみならず、一般の訴訟制度でも同様であり、できる限り早期の対応が重要であると考えております。 本法案では、被告が廃業、解散して財産が隠匿、散逸されるのを防ぐため、特定適格消費者団体が仮差し押さえをすることができるという制度を置いているところでございます。 なお、被告が破産をした場合には、対象消費者は、破産手続においてみずから債権届け出をし、破産手続において債権の存否及び内容が確定されることになると承知しております。 ○小宮山委員 そういう意味では、被害が早くに明らかになり、多くの方が訴訟をできるような、そうしないと逃げられてしまうのではないか、個人に対してやるしかないということになりますと、それはそれで大変難しい、せっかくこの法案ができても難しくなるのかと思いますので、この点の対応に関しても、今後、さまざまな検討を加えられると思いますけれども、ぜひ御検討いただきたいと思います。 さて、最初のころにあったかと思いますけれども、今回、弁護士さんであったり特定適格消費者団体の報酬などについては、やはり適当でなければいけないんだというふうに思っております。六月四日の本会議にて、報酬また費用の算定方式について森大臣も答弁をされておりますけれども、その中での、消費者の人数、損害額、事件の規模等の勘案に当たっては、特定適格消費者団体がしっかりと責任を持って取り組むに見合った報酬額であることが重要であるということであります。 基本的には、経済的な被害を受けられた消費者の立場に立った適正な価格で救済が受けられるように配慮をされる必要があるかと考えておりますけれども、どのような考えに基づいて検討されているのか、また、消費者の取り戻し分を一定額以上とするという意味、これにつきまして、もう少し詳しくお聞かせいただければと思います。 ○川口政府参考人 御質問のガイドラインにつきましては、条文の中では、「消費者の利益の擁護の見地から不当なものでないこと。」ということで第六条第四項第六号に定めるもの、これを具体化するというものでございます。 本制度を設ける趣旨に鑑み、消費者の取り戻し額が不当に少なくならないよう、最終的には、消費者が個別に訴訟を提起して弁護士に依頼した場合の金銭的負担に比して相当程度軽減された合理的なものになるようにするということが一つの考え方でございます。 また一方で、団体が業務を遂行するに当たり不可避的に生ずる一定の費用の支出を合理的な範囲内で回収するという考え方に基づいております。 両者バランスをとって決めていく必要がございますが、具体的には、報酬及び費用の算定の基礎とすることができる費目を具体的に定め、その積算により算定することとしつつ、さらに、消費者の人数、損害額、事件の規模等を勘案し、これを定めるものとするということを考えておりますが、法案が成立いたしましたら、関係者の皆様の御意見をしっかり聞く中で、ガイドラインを適切な、この考え方を反映したものにしていきたいと考えております。 ○小宮山委員 ありがとうございます。 法テラスも、前に、設置するときに私は法務委員会で質問をさせていただきました。また、その後もこの問題は追いかけているんですけれども、なかなかやはり報酬が、一般で弁護士活動をするなりすると、そういった専門職の方々に関しますとやはり下がるという意味において、大変な現場の困難はあるようにも思います。 また、逆に言えば、それを周知ができているかというと、実は、利用者側にとっては有利なようにされても、逆に、される側に関してはなかなか困難もあるというのも聞いておりますので、この辺のバランスは難しいかと思いますけれども、ぜひ、双方、やはり被害者が出ない、そういった救済のための報酬であっていただきたいと思います。 費用に関連しますけれども、ちょっと順番を変えます。仮差し押さえを求める場合の担保について、お伺いをまずは先にしたいと思います。 特定適格消費者団体は仮差し押さえ命令の申し立てができるものとされておりますが、仮差し押さえ命令の申し立てに当たっては、担保を用意する必要がございます。これらの団体は、財政基盤的には十分とは言いがたいと思います。特に、今後ですけれども、経済的な被害者たちの弁護をする立場、また代理をするわけですから、当然、そんなに裕福な基盤が最初からあるわけではありません。勝訴してからは違うかと思いますけれども。 そうなりますと、本来は必要な申し立てが、財政基盤が弱いがために、実際にはできない、もしくは困難になるという規模が考えられるのではないかと思います。担保軽減の仕組みや、また無利子もしくは低利での公的支援、融資の仕組みを用意するべきではないかとも思いますけれども、この点に関しまして、消費者庁のお考えを聞かせていただければと思います。 ○森国務大臣 御指摘のとおり、仮差し押さえに当たっては、通常の仮差し押さえと同様、裁判所の決定があれば担保を立てなければなりませんが、なかなかやはりその金額を準備するのが困難な場合もあろうかと思います。 今まで、適格消費者団体に対する支援としては、消費者団体訴訟制度の周知、普及と、もう一つ、寄附金ですね。これについて税制優遇措置が受けられる認定NPO法人制度の活用の促進などを実施してきております。海外では寄附の制度が多く使われまして、例えば企業側が寄附をする場面なども数多くあるようでございます。 さらに、本制度では、特定適格消費者団体が消費者から手続に要した費用及び報酬の支払いを受けることができることとしておりますが、これは仮差し押さえをする段階ではございませんで、後の場面でございますので、委員の御指摘を踏まえまして、引き続き必要な支援については検討を行ってまいりたいと思います。 ○小宮山委員 ぜひ検討していただいて、この法律が施行されるときには実効あるものになるようにしていただければというふうに思います。 それでは前の質問に戻りますけれども、本制度では、民事訴訟に関する手続、事件の規模についてですけれども、人数、金額、総額として、どのような規模がされるのかであります。 ADRの問題もきょうも出ておりますけれども、少額訴訟というものにおきましては司法書士や行政書士の方も入れるように、また身近な法律相談という形で、大変身近なところでそういった手続等、また市民の相談に乗っている皆様であります。 そういった方々を考えますと、今回は大変この法案自体はオリジナルな法律というんでしょうか、今までにない発想かとも思います。しかし、法曹の改革の中では、多くの方が自分の被害などを早く取り戻せる、そういった方向に進んでいる中で、弁護士に追行させなければならないということが七十七条に付されております。 多くの市民の方、また被害に遭われた方々は、法律の知識というものが必ずしも皆さんは豊富とは限りません。多くのところから、その情報や、またどこに言っていいのかわからないということをなくさなければならないんだと思います。 というのも、国民生活センターや消費者庁の消費生活相談、また、そういう、二十三年度のデータによりますと、大体八十八万件ほどの相談がある、その中の多く、七十万件、約八割は取引に関するものであり、その大半の内容が契約、解約、また販売方法についてでもあります。そして、普通、少額だということを言ったのはなぜかといえば、それは、大体、その被害や相談の中身が、十万円未満が四五・六%。被害経験ありの三六・二%は誰にも相談していない。また、この額だから仕方ないと言って泣き寝入りをされている率も高くなります。 また、この中には、さらには、知人であったり法律家にももちろん相談する方も出ますけれども、どこに相談すればよいかわからないという方々が九・四%、十人に一人近くいるということになってしまいます。これでは、やはり、せっかく制度ができても、相談する先というのはわからないかと思いますし、利用されないままになってしまうかと思います。 そういったことに鑑みまして、消費者問題を取り扱っているのは弁護士以外にもいらっしゃいます。消費者に周知を図る観点から、さまざまなチャンネルを用意するべきだと思いますが、この点に関しましての御見解をお聞かせください。 ○川口政府参考人 先生御指摘のとおり、消費者問題につきましては、弁護士の方だけではなく、司法書士、行政書士あるいは各地の消費者団体、皆様、大変熱心に取り組んでいただいております。 ですから、本制度の実効性を確保するためには、日ごろから消費者問題を取り扱っている司法書士、行政書士、各地の消費者団体等に対し、きめ細やかに本制度の内容を周知し、理解していただくことが重要なことと理解しております。 そこで、また、消費者の認知度も高く、実際の被害に遭った消費者が相談する可能性が高いところ、国民生活センター、消費生活センター、地方公共団体、弁護士会、司法書士会を初めとする相談機関などに対しましても制度の周知を図るということで、消費者庁及び特定適格消費者団体と連携しつつ、関係各所に対する周知活動、みんなで周知活動をしていく。これは、施行前の周知期間にしっかり行うとともに、施行後も具体的な動きについて周知をしていくというふうに考えているところでございます。 ○小宮山委員 この法律は、また、二段階型の訴訟制度ということで、さらにわかりづらくなっているものでもございます。 関係のところ、また消費者庁に来る相談など、また、弁護士さんが入っていくということ、要するに、簡易裁判所の対象ではないということと、地裁でやるものであるということ、こういったことも、区別が消費者においてはわからないんだと思います。 この点、やはりしっかりとした周知徹底をすること及び消費者が判断ができる、相談ができるような教育というか、消費者への周知等を二次被害を防ぐためにもやらなければならないと思います。 この点に関しまして、大臣の決意を聞かせていただければと思います。 ○森国務大臣 二次被害について御質問をいただきました。 特定適格消費者団体が対象消費者の個人情報を取得した場合に、当該情報を適正に保管することが必要で、被害回復関係業務の目的の達成に必要な範囲内で利用しなければならないこと、こう条文でもなっております。 ただし、やはり、こんな特定適格消費者団体と紛らわしい名称を名乗って、被害回復しますというような、そんな二次被害が発生すること、これはあってはならないことでございますので、誤認されるおそれのある表示をすることを禁止するとともに、これに違反した場合には五十万円以下の罰金に処する規定を設けておりますけれども、委員御指摘のとおり、制度の十分な周知が重要でありますので、高齢者などにも制度を十分知っていただくように、関係各所と連携をしつつ努めてまいりたいと思います。 ○小宮山委員 ぜひ大臣、よろしくお願いします。 ありがとうございました。